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慕情  作者: yukko
令和
49/166

児童福祉司

児童相談所で働くために、香澄は児童福祉司になるつもりです。

児童福祉司になるには、公務員試験を受ける前に福祉大学を卒業し、公務員試験の前でも後でもどちらかで、福祉施設での実務経験が1年以上必要です。

大学卒業して直ぐに受けた公務員試験は無事に合格しました。

卒業して直ぐに福祉施設に就職しました。

児童養護施設です。


働き始めて直ぐに香澄は、虐待によって入った子が多いとは学んでいましたが、思っていたよりも多くて驚いたのです。

地域のボランティアグループの方々が、夏休み中に1日だけ、半日里親をしてくださっていたことも驚きでした。


慌ただしく過ぎていく日々。

そんな中、子どもが交通事故に遭いました。

連絡があったので、大急ぎで病院へ香澄が行くことになりました。

病院に到着して、受付で、「緊急搬送された小学生の施設の者です。」と告げると、救急の診察室へ通されました。


「田辺先生、事故の小学生の施設の方がお見えになりました。」

「あぁ……、ありがとう。」


⦅この声……先輩?⦆


振り返った医師は、先輩……。

医師の驚く顔に香澄が驚きました。


「先輩?……お医者さんになってたんですか?」

「あ……あぁ、………ところで、施設の職員さん?」

「あ……はい。」

「説明しますね。足を骨折していまして……

 入院は2週間程度です。

 入院中にリハビリを行います。」

「はい。」

「入院中、当院内の院内学級に入られますか?」

「はい。お願いいたします。」

「これからの連絡は、貴女にしても宜しいですか?」

⦅……? 貴女?⦆

「はい。私が担当している子なので、私にお願いします。」

「承知しました。これが入院計画書です。」


渡された書類には先輩の名前はなかった。


「あの……主治医は、どなたなんですか?」

「主治医の名前は記載されていますが……。」

「先輩じゃないんですか?」

「あ……違います。僕は主治医の代わりです。

 すみません。主治医は緊急で病棟に行っています。」

「……そうなんですね。」

「では、説明を終えましたので。」

「ありがとうございました。」


「あ……君、この方をお子さんの病室までご案内して。」

「はい。」


「じゃあ、失礼します。」

「あ…… ありがとうございました。」


医師が頭を軽く下げて行ってしまいました。

香澄は先輩が先輩らしくないことに驚きました。


⦅香澄ちゃん、だったのに……な。

 あ……職場だもんね。香澄ちゃんって呼べないよね。⦆


少し、寂しいと思いました。

それと、やはり()()()()なのです。雄鹿に……。

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