表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
慕情  作者: yukko
平成
42/166

図書館

福祉大学で学び、バイトして……普通の大学生の日々を送るようになりました。

「好きな人を作ればいい。」と、言われたけれど……そんな気にはならなかったのです。

香澄は時々、ぼんやりとスマホを見ます。

スマホの画面に映し出される名前と電話番号を………。

でも、その中には憧れていた先輩の名前はありませんでした。


⦅だよね。一方的に見てただけだもんね。

 記憶が可笑しいから、もしかしたら………って、思ったけど…。

 無いよねぇ~。⦆


⦅あ……、そ……だ………。

 飛鳥時代の、あの…私の体験は……本物だったのかな?

 調べよう~!⦆


香澄はネットで調べるのではなく、何故か図書館に行きました。

母に「図書館で調べ物をするの?」と、聞かれて、「うん。」と、答えつつも、「もしかしたら、前の私と全く違うことしているのかなぁ?!」と、少し不安に思ったのです。


図書館に着いて、飛鳥時代の歴史を調べようと、「日本史」のコーナーに行きました。


⦅え~~~っとぉ……、これと………これ、と……これも…かな?⦆


本を3冊取り、席に着いて読み始めました。

読み進めていくと、大津皇子についての記載を見つけました。


⦅あぁ~~~、大津…… 想い出せるわ。顔も、姿も、声も……。

 我が子、草壁よりイケメンだったなぁ………。⦆


「あ……!!」


大きな声を上げてしまったので、周囲に何度も「すみません!」と謝りました。

すると、その声がまた大きかったようです。

口に人差し指を当てて、囁くような小さな声で「静かに…。」と言われました。

無言で頭を下げました。


⦅大津、死んでなかった……。天皇になって……岡宮天皇に……

 それから、岡宮太上天皇に……。⦆


⦅じゃあ、草壁は………。

 あ、ごめんね。草壁………。罪については書かれていない……。

 けど、大津を無実の罪に陥れようとしたこと、それが、たぶん……

 あの子の命を奪ったんだわ。⦆


⦅不比等が……死罪になってるもの……。

 あの体験のまま、なんだ。⦆


⦅長屋王の変なんて、無いし……。⦆


⦅持統天皇……は………火葬されてる!

 大津……ありがとう。私の希望を叶えてくれて……。

 醜い姿を晒さないようにしてくれたのね。

 ありがとう。大津……!⦆


図書館で本を読んで、あの体験が事実だったと分かりました。

手首のミサンガを香澄は「吉備内親王、私の孫娘……ありがとう! これ、私好きよ。」と、そっと優しく撫でました。


ただ、当たり前なのでしょうが……

身近に使えてくれていた者の名前はありませんでした。

唐津の名前も、舟坂の名前も………そして、雄鹿の名前も………見つかりませんでした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ