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慕情  作者: yukko
飛鳥
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文武天皇即位

文武天皇元年8月1日(697年8月22日)。

草壁皇子が残した息子・軽皇子が即位しました。14歳での即位でした。

岡宮天皇(大津皇子)は退位し、太上天皇(上皇)になりました。

文武天皇が誕生したのです。

幼い文武天皇を上皇になった大津皇子がつきっきりで教えます。

その傍に長屋王が居て、彼は文武天皇と上皇を補佐しています。

幼い天皇ですが、周囲の助けを受け学びながら成長していくことでしょう。

その姿を誰もが草壁皇子に見せたいと思っている!と鸕野讚良皇女は思いました。

即位の儀式には何とか参列出来ました。


⦅立派よ。 軽皇子………。

 大きくなったわね。

 ううん。これから、もっと大きくなるわね。⦆


即位した文武天皇に嫁したのは、石川朝臣の娘と紀朝臣の娘です。

皇族からは紀皇女(きのひめみこ)が嫁しました。

紀皇女は天武天皇の娘です。

鸕野讚良皇女は…というよりも、香澄は近親婚なので紀皇女の入内は反対です。

他の女性の入内(じゅだい)を進言しましたが、それは皇族以外の女性が皇后になれない当時の大倭(おおやまと)では取り入れられない意見でした。

入内した3人の女性のうちの誰かが次の天皇を産むのでしょう。

それが誰になるのか分かりません。

藤原不比等を粛清したために、史実とは大きく離れてしまいました。

このことが、これから先の日本の歴史がどう変わっていくのか怖いと思いつつ、藤原氏によって滅せられた長屋王の命を守れたのです。

もう引き返せないので、「これは、これで良かった。」と思うことにしたのです。

14歳の文武天皇の姿に、亡き草壁皇子の姿が……

同じ年の頃の草壁の姿が……重なりました。

その重なった姿に鸕野讚良皇女は涙を落としました。



文武天王の即位の義、この直後から鸕野讚良皇女は床から離れられなくなりました。

その姿を見て雄鹿は思いました。


⦅可笑しい。この頃は史実では上皇として文武天皇に代わり

 事実上の政務を執っていたはず……

 可笑しい。こんなに衰弱しているのは可笑しいんだ!

 もう白粉(おしろい)は使っていない。なのに、何故?

 何がいけなかったのか!? どうすれば守れる?⦆


鸕野讚良皇女は日に日に衰弱していきました。

大津皇子はじめ皇族が次々と見舞いました。

言葉を掛けられない日も多く、見舞った者たちが「もう長くはない。」と思い始めました。

紀皇女(きのひめみこ)について、記録がほとんどない皇女です。

僅かにあるのも事実だと言い切れないものです。

『万葉集』を根拠に、紀皇女は文武天皇の妃であったが弓削皇子と密通し、それが原因で妃の身分を廃されたという仮説を述べている人が居ます。

正当な後継者の軽皇子(文武天皇)が皇族出身の妃を持たないことは考えられず、紀皇女こそ正妃であったが、将来の皇后の不倫という不埒な事件により公式記録から抹消されたということですが、真相は不明です。

この物語では、唯一皇族の女性で文武天皇と関係があったかもしれないという理由だけで皇后にしました。

なお、史実では皇后はおらず(皇族以外の女性しか妃になっていないから)、ただ一人夫人になれたのが藤原不比等の娘・藤原宮子でした。

本来は藤原不比等の娘の身分では、夫人という地位にも付けなかったのですが、藤原氏のごり押しでなれたようです。

しかも、宮子は男子出産後に精神的な病により子どもには一切会えなかったのです。

父親からの「男子出産」を願う気持ちに宮子の心は壊されたのかもしれません。

宮子が産んだ子が後の天皇になりました。

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