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慕情  作者: yukko
令和
132/166

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児童相談所近くのファミレスで吉井真人の相談を受けていた時、急に声を掛けられました。


「香澄さん! と……かずくんのお父さん?

 どうなさったのですか? こんな時間に………。」

「貴方こそ…… どうしたの?」

「僕は用があって…… まさか、お二人、お付き合いされてるんですかっ?」

「違うわよ。時間外だけど相談を受けてたの。」

「そうです。和真のことで………。」

「良かったぁ~。 相談なんですね。かずくんのことでっ!」

「ええ。あ! かずくんの担当だったわよね。」

「はい! だから、ご一緒しても?」

「いいわ。 というか、お願い。時間があるのなら………。」

「大丈夫です! 友達に変更のメッセージを送りますね。」

「すみません。お二人にご迷惑をお掛けして……。」

「そんなことないですって! 俺はいつでもOKっす。……でっ、相談内容は?」

「和真を引き取りたいんです。一緒に暮らしたいんです。」

「かずくんのこと、すっごく愛されているんですね。」

「妻の忘れ形見ですから………。」

「そうですよね。俺の目から見たかずくんですけど、最初は泣いてばかりでした。

 そりゃあそうでしょう。大好きなお父さんが居ないんですから……。

 でもね。子どもの力って凄いなぁ~。もう慣れて来てくれたんですよ。

 初日、抱っこしてブランコでゆらゆらしてたら、やっと寝てくれたんですね。

 そのブランコでゆらゆらも泣いてたんですよ。

 泣き疲れとゆらゆらが良かったんじゃないかと俺は思うんです。

 翌日も、その翌日も、就寝するのはブランコで俺の抱っこでゆらゆら、でっ!

 でした。」

「お世話になって……… 本当にありがとうございます。」

「いいえ~ 仕事ですから………。

 あんなに可愛いんですから、そりゃあ取り戻したいですよね。」

「はい。」

「でも、俺みたいなこと、お父さん出来ませんよ。寝付かせるのにブランコでゆら

 ゆら……… 出来ませんよね。だって、家事があるですもんね。

 仕事しながら、家事をして、子育てって、どんだけ働くんですか?」

「………………うっ………。」

「俺は寝かしつけるだけに集中できますよ。だって、家事しなくてもOKなんです。

 他の職員がしてくれるからです。

 でっ! 香澄さんはどういうお返事したんですかっ! 後学のために!

 教えてください。」

「貴方と同じ返事です。」

「よっしゃぁー!」

「吉井さん、見てくださいよ。こんなに可笑しな職員でも、かずくんは馴染んでい

 るそうですよ。かずくん、人が好きなんですよね。言葉で気持ちを伝えられない

 だけで、人を拒絶していませんよね。」

「そうっす! それから、めっちゃ見てますよ。

 誰なら優しいとか、誰ならしつこいとか………。分かってます。かずくん。」

「吉井さん、もう少し、施設で和真君を見させて貰えないでしょうか?

 不満、それから不安はその都度、伺います。」

「もう少し考えます。」

「はい。お願いします。」

「今から、夕飯を一緒に…というのは、いけないでしょうか?」


香澄は涼太と目を合わせました。

涼太は目をキラキラさせて言いました。


「OKっす! 俺はいつでも大歓迎っす。」

「じゃあ、このままファミレスでお食事しましょうか?」

「OKっす!」

「ここで宜しいのでしたら…………。」


3人はファミレスで夕食を摂りました。

涼太は終始にこやかで賑やかでした。

涼太のお陰で真人は、この瞬間だけ父ではない一人のただの人間として過ごせたのかもしれません。

香澄は真人が心配でした。

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