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慕情  作者: yukko
令和
131/166

涼太と真人

児童養護施設の辰巳涼太は何かにつけ香澄に連絡をするようになりました。

最初は児童相談所へ涼太から電話が架かってきました。

入所した吉井和真についての相談でした。


「香澄さん、俺、かずくんの担当になったんで、これから相談しますんでっ。

 香澄さんへ直接電話したいんですよね。だから、電話番号教えてください。

 あ! LINEもお願いします。」

「いいですよ。」

「よっしゃー!」

「よっしゃ?」

「あ、気にしないでくださいね。じゃあ、電話番号教えてください。

 俺から電話しますんで、登録してくださいね。

 LINEも! よろしく。」

「はい。」


それからというもの…………涼太からの連絡は電話もLINEも頻繁になりました。

香澄は、かずくんの相談よりも雑談の方が多いような気がしています。


「う~~ん。どうしたものか?」




辰巳涼太への対応を考えるようになった香澄に、吉井真人からの連絡がありました。


「すみません。相談したいことがあります。」

「はい。今、私はお話を伺うことが出来ます。」

「いいえ。お会いしたいのですが………………。」

「分かりました。ご希望は?」

「はい。急ですが、今日か明日………。」

「今日?」

「駄目ですか?」

「いいえ、では今日の何時にどこでですか?」

「ありがとうございます。では、7時には児童相談所前に着きます。」

「こちらに来てくださるんですか? ありがとうございます。

 本来は就業時間内で受けるのですけれども、今回だけ就業時間外でも受けます。

 次回からは、予約をなさってください。」

「はい。申し訳ありません。」

「では、後ほど………。」


児童相談所に来た吉井真人と近くのファミレスへ行きました。


「ここで宜しいでしょうか?」

「はい。私は………… それで、どのようなご相談ですか?」

「和真のことです。やはり一緒に居たいのです。

 僕が一緒に居たいのです。いけないことでしょうけれど………。

 寂しいのです。家に帰っても誰も居ないので……。

 前は妻と和真が待っていてくれました。今は一人なので…………。

 まだ三回忌も終わって無いのに、僕はマッチングアプリで出逢いを求めました。

 再婚者希望者同士のアプリです。

 再婚出来たら、和真を……引き取れます!

 でも、その再婚は困難だと思います。和真が障害児だから…………。 

 再婚してなくても和真を取り戻したいんです。妻にも申し訳ない………。」

「吉井さん、就業時間外で児童相談所外で個人的にご相談を伺うと決めた理由。

 私は、多分、和真君を施設から自宅へ戻すこと!ではないかと思いました。

 だから、受けたんです。」

「では!」

「吉井さん、施設から家に戻ることは出来ますけれど!

 また、吉井さんが追い詰められませんか?」

「追い詰められるかどうか、そうお聞きですが………僕は今も追い詰められていま

 す。

 再婚するしか方法が無いとマッチングアプリに登録したり、時間外に相談したり

 以前の僕では考えられないことをしています。

 僕にとって和真は亡き妻がこの世に残してくれた宝物です。

 誰にも渡したくはありません。」

「ご自宅で和真君と生活をなさるのには、サポートがより必要になってきます。

 悲しいことに、今の日本では障害児に対してのサポート体制も不十分です。

 まして、ご家族へのサポートは皆無と言っても差し支えありません。

 現状、一番サポートできるのは施設に入ることです。

 和真君へのサポートとお父様へのサポートです。」

「マッチングアプリで出逢った女性は、たった一人でした。

 障害児が居るだけで除外されます。

 やっと………障害児でも育てる。子どもを2人育てているから大丈夫!って…

 そう言ってくれる女性が現れてくれて、僕は僕の好みなどどうでもいいと…

 でも、今日メッセージが届いたんです。

 他の方と寝ました。貴方とどちらとも決めれらていません。と……。

 どういう意味なのでしょうか?

 僕はその方だけだったんです。

 もし、他の方とマッチングしても、そんなに簡単に寝られるわけがない!

 女性も子ども2人を育てるために必死なのだと思います。

 天秤にかけるのは分かります。条件のより良い人を求めるのは当然です。

 でも………。僕には不誠実な方と………そういう風に映りました。

 そのメッセージの返信を 僕は、その方とお幸せに!と送りました。

 もう、再婚は考えていません。再婚しなくても和真と暮らす方法を

 お願いです。教えてください。」


吉井真人は頭を深く下げました。

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