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慕情  作者: yukko
令和
129/166

後輩

相談に来てくれた父親より前に児童養護施設に香澄は行きました。

受け入れられるかどうかを聞くためです。

香澄が以前勤めていた施設です。


施設に着くと懐かしさが込み上げてきます。

施設長に会いました。


「お久し振りです。ご無沙汰してしまい申し訳ありませんでした。」

「いやいや。そんなことは、どうでもいいんだよ。良かったよ。元気そうで!」

「その節はご心配をおかけしました。」

「君がそんなこと言わなくてもいいんだよ。悪いのは加害者だからね。」

「その優しさで私は救われたんです。」

「当たり前のことだよ。………で、今日は資料を頂いた男の子のことだね。」

「はい。知的発達障害の男の子です。お母さんが最近亡くなられて………

 お父さんは限界だと思います。」

「だね。日本は子育てに厳しいからね。

 うちは、1人空きがあるから受け入れられるよ。」

「そうですか。助かります。受け入れ可能でしたら、近々、お父さんとお子さんと

 見学を希望されているのですが………。」

「うちは、いつでもOKだよ。ただ、日によっては私が居ないけれども……。

 別に居なくても、ね。」

「いいえいいえ、施設長がいらっしゃらなければ!」

「持ち上げてくれるね。ありがとう。……そうそう、君の後輩が居るんだよ。」

「私の後輩ですか?」

「うん。じゃあ、皆に会いに行きますか?」

「はい。是非に!」


職員室に行きました。

そこには、懐かしい顔がいっぱい………。

その中で一人若い男の子が居ます。


「香澄ちゃん~! 元気ぃ~?」

「お陰様で!」

「元気そうだわ。」

「本当だね!」

「良かったよ。元気そうで!」

「ありがとうございます。」

「先輩! 紹介してくださいよ。」

「あ………。」

「ほらほら、そこ! 紹介してあげるから急がせない!」

「あ、すみません。施設長。」

「香澄ちゃん、この子だよ。君の後輩は……。」

「後輩、僕が? じゃあ、福祉大学出て児相に入った先輩なんですね。」

「おいこら、施設長が紹介してるのに……。」

「あ! すみません。」

「香澄ちゃん、君と同じ大学を出て、今実務経験を積んでいる所なんだよ。

 児相勤務を希望している子なんだ。」

「まぁ、そうなんですね。」

「先輩、よろしくお願いします。僕、辰巳涼太です。」

「私は杉本香澄です。私こそ、よろしくお願いします。」

「香澄さんっ♡  可愛いお名前ですねっ♡ 」

「ありがとう。そんな風に言って貰えたのは初めてよ。」

「うおぉ~~っ! 香澄さんの初めてをゲットしましたぁ!」

「ちょっと、落ち着きなさい! 恥ずかしいからね。」

「そうですか?」

「香澄ちゃん、あちらで続きを話そうか。」

「はい。」


「あ~~~っ、行っちゃったぁ。」


「あらっ、恋に落ちたのかしら?」

「落ちてるね。」


香澄はそんな騒ぎを知りません。

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