後輩
相談に来てくれた父親より前に児童養護施設に香澄は行きました。
受け入れられるかどうかを聞くためです。
香澄が以前勤めていた施設です。
施設に着くと懐かしさが込み上げてきます。
施設長に会いました。
「お久し振りです。ご無沙汰してしまい申し訳ありませんでした。」
「いやいや。そんなことは、どうでもいいんだよ。良かったよ。元気そうで!」
「その節はご心配をおかけしました。」
「君がそんなこと言わなくてもいいんだよ。悪いのは加害者だからね。」
「その優しさで私は救われたんです。」
「当たり前のことだよ。………で、今日は資料を頂いた男の子のことだね。」
「はい。知的発達障害の男の子です。お母さんが最近亡くなられて………
お父さんは限界だと思います。」
「だね。日本は子育てに厳しいからね。
うちは、1人空きがあるから受け入れられるよ。」
「そうですか。助かります。受け入れ可能でしたら、近々、お父さんとお子さんと
見学を希望されているのですが………。」
「うちは、いつでもOKだよ。ただ、日によっては私が居ないけれども……。
別に居なくても、ね。」
「いいえいいえ、施設長がいらっしゃらなければ!」
「持ち上げてくれるね。ありがとう。……そうそう、君の後輩が居るんだよ。」
「私の後輩ですか?」
「うん。じゃあ、皆に会いに行きますか?」
「はい。是非に!」
職員室に行きました。
そこには、懐かしい顔がいっぱい………。
その中で一人若い男の子が居ます。
「香澄ちゃん~! 元気ぃ~?」
「お陰様で!」
「元気そうだわ。」
「本当だね!」
「良かったよ。元気そうで!」
「ありがとうございます。」
「先輩! 紹介してくださいよ。」
「あ………。」
「ほらほら、そこ! 紹介してあげるから急がせない!」
「あ、すみません。施設長。」
「香澄ちゃん、この子だよ。君の後輩は……。」
「後輩、僕が? じゃあ、福祉大学出て児相に入った先輩なんですね。」
「おいこら、施設長が紹介してるのに……。」
「あ! すみません。」
「香澄ちゃん、君と同じ大学を出て、今実務経験を積んでいる所なんだよ。
児相勤務を希望している子なんだ。」
「まぁ、そうなんですね。」
「先輩、よろしくお願いします。僕、辰巳涼太です。」
「私は杉本香澄です。私こそ、よろしくお願いします。」
「香澄さんっ♡ 可愛いお名前ですねっ♡ 」
「ありがとう。そんな風に言って貰えたのは初めてよ。」
「うおぉ~~っ! 香澄さんの初めてをゲットしましたぁ!」
「ちょっと、落ち着きなさい! 恥ずかしいからね。」
「そうですか?」
「香澄ちゃん、あちらで続きを話そうか。」
「はい。」
「あ~~~っ、行っちゃったぁ。」
「あらっ、恋に落ちたのかしら?」
「落ちてるね。」
香澄はそんな騒ぎを知りません。




