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慕情  作者: yukko
令和
127/166

結衣

香澄は結衣に会いました。

結衣は無事出産を終えて母になり母としての美しさが、その笑顔まで輝かせていました。


「香澄ちゃん、良かったわ。」

「結衣さん、本当にご迷惑をお掛けして………。」

「迷惑なんか掛けてないわよ。」

「それから、おめでとうございます。」

「ありがとう。香澄ちゃんが居なくなった時に出産なんて……。」

「無事に生まれて来てくれて本当に良かったです。

 ご出産の直ぐ後なのに、押しかけてしまって…………。」

「いいのよ。病院に居る時の方が私は楽できるもの。

 実家に帰ってからの方が大変なのよ。たぶん睡眠不足になるわ。

 それと、田辺のお義父さん、お義母さんにとって初孫でしょう。

 病院だったら短時間で帰られるけれども、実家で1ヶ月過ごした後は

 田辺にも少し顔を出して欲しいって今から言われてるのよ。

 その頃の方が、私は大変なの。

 病院だったら、夜、子どもを見て貰えるでしょう。

 眠れるのよね。これ、凄く大きいのよ。」

「そうでしょうね。」

「香澄ちゃん……私が感じたことを一方的に言うわね。」

「はい。」

「貴女が思って言った言葉は間違っていないのよ。

 死んでいい人なんて一人もいないもの。

 私も同じように怒るわ。

 ねぇ、医師や看護師のような人の命を守る、助けるのが仕事だとね。

 先ず、人の死に何度も直面するの。初めての時、私も、ま~くんも泣いたのよ。

 大きな病院だと人の死は身近なのよ。

 最初は泣いて乗り越えられないんじゃないかと思うほど………。

 でも、そのうち慣れてくるっていうと語弊があるけれども、最初の頃のように

 泣かなくなるの。でも、後悔したり、反省したり、大泣きしなくなるだけ……。

 慣れてはいけないけれども、乗り越えられなかったら医療従事者は務まらない。

 だから、大泣きしなくなるのね。

 そしてね、医療従事者は命を預かる身だからね。

 簡単に『亡くなって良かった。』なんて、思わない。

 そんなことを思う人は医療従事者には不適格だと私は思うの。

 それは、香澄ちゃんの仕事でも同じじゃないのかしら?

 香澄ちゃんの仕事は子どもの命を守る仕事だと私は思うから………。

 だから、香澄ちゃんがショックだったのが私は分かるの。

 香澄ちゃん、間違ってないよ。ショックを受けて当たり前だと思うわ。」

「結衣さん…………。ありがとうございます。」


香澄は泣いてしまいました。

香澄の心を癒してくれたのは結衣が産んだ赤ちゃんでした。


「可愛い♡ 」

「でしょう! 私の天使♡ 」

「正樹さんは、このままアフリカなんですか?」

「ううん、ま~くんは来年の春に帰って来るの。」

「そうなんですね。」

「日本で育てるのよ。二人で…………。」

「いいですね。」

「でしょ!」

「………………あの…。」

「なぁに?」

「あの………ま~くんって?」

「あ……っとぉ……出ちゃったか…… 正樹さんと二人っきりの時の呼び名。」

「可愛い呼び名ですね。」

「内緒にしておいてね。」

「はい。」


赤ちゃんの寝顔に癒されて香澄は帰路に就きました。

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