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慕情  作者: yukko
令和
124/166

畝傍駅

香澄は新幹線に乗り、京都に着き、そこから奈良に行きました。

智樹と行った時と同じコースで…………。

まほろば万葉線で畝傍駅に着くまで、その車窓から飛鳥の風を感じながら流れる景色が香澄の心をそっと優しく包んでくれるような気がしました。

両親の気持ちが分からない訳ではありません。

分かっているつもりです。

でも、「死んでいい子はこの世に居ない!」と香澄は誰にでも言い切れるのです。

自分の大好きな両親の言葉だったから、悔しくて辛くて悲しくて耐えられなかったのだと………。


畝傍駅に着いた時には、もう夜になっていました。

図書館を後にしたのは、5時過ぎだったのに……遠いなぁ!と香澄は思いました。

畝傍駅に佇み大和三山を香澄は眺めていました。


「♪ かぐぅや~まはぁ~ うねびを おしと

  みみなしと あいあらそいきぃ~♪ 」


無意識にこの歌を口ずさんでいました。

そして………


「この後が分かんないや。あはは……。

 変なの、涙しか出ない…………。

 帰らないとね。お父さん、お母さんが心配してるよね。」


涙しか本当に出ないのです。

頭がしっかり動いていないのです。

畝傍駅にどのくらい佇んでいたか分かりません。

声が聞こえて来たのです。


「香澄ちゃん!」


振り向くと、そこに智樹が居ました。

香澄は身動きできずに、ただ泣いていました。

電車から出て走って来た智樹の胸に顔を埋めて泣き続けました。

智樹は優しく背中を撫でて続けてくれました。

香澄が落ち着くのを待つように、泣き止むのを待つように………。

その智樹の優しさが、香澄の心に静かに、そして深く染み入りました。

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