向かう先
智樹が真帆から電話を受け取ったのは高校以来でした。
スマホの通知を見た時に、一瞬、誰か分からなかったほどです。
LINEの高校サッカー部のグループから智樹に電話をしてきたのです。
「もしもし、田辺先輩ですか?」
「真帆ちゃん?」
「はい。真帆です。」
「あ……誰か分かんなかったよ。」
「田辺先輩ですよね。」
「あ………ごめん。そう田辺先輩です。」
「先輩、香澄が家を飛び出してしまったんです。」
「えっ? なんで?」
「担当している重度の障害児が亡くなって、ご両親が…………
良かったかもしれない!って言ったんだそうです。
その言葉を聞いて、香澄は家を飛び出したって!
先輩、図書館ってどこにあります?
行く先、図書館を一番先に思いついたんです。
場所を教えてください。行きます。香澄……居るかも……。」
「真帆ちゃん、落ち着いて! 落ち着いて探そう!」
「はい。」
「図書館は…………真帆ちゃん、今どこに居る?」
「駅前です。」
「図書館は病院の傍にあるんだけど……行って貰えるかな?」
「はい。……あの……。」
「何? 前に香澄が通っていた病院分かりますか? 精神科で……。」
「分かるよ。じゃあLINEメッセージで送るから………。」
「ありがとうございます。………先輩、一緒に来てください!」
「僕………真帆ちゃんなら一人でも大丈夫だよ。」
「先輩? 」
「気を付けて行ってきてね。香澄ちゃんのこと頼みます。」
「先輩?」
「それから、無事に家に帰ったら、帰ったら教えてね。LINEメッセージで……
頼みます。」
「分かりました。行ってきます。」
「うん。気を付けて!」
智樹は結衣に電話を架けました。
「結衣さん、僕です。智樹です。」
「どうしたの? 凄く慌てて………。」
「香澄が家を飛び出したんです。」
「えっ? 何があったの?」
智樹は大まかな事情を真帆から聞いた通りに話しました。
「智樹くん、香澄ちゃん、初めてなのかな? 担当した子が亡くなったの…。」
「それは、分からないんだ。聞いてないから……。」
「そう。初めてだと、より一層辛いからね。」
「そうでしょうね。」
「見つかったら、私に連絡してね。香澄ちゃんと話したいから………。」
「はい。分かりました。………結衣さん、その時はお願いします。」
「了解! 早く見つかるといいわね。」
「うん。無事に家に帰って欲しい。」
「ええ。」
電話を切った後、智樹は図書館へ向かいました。
会うつもりはありません。
もしかして、図書館に居れば………香澄の無事な姿だけを確認したくて図書館へ急ぎました。




