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慕情  作者: yukko
飛鳥
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藤原鎌足

中臣鎌足は天智天皇8年10月16日 669年11月14日にこの世を去りました。

山科の御猟場に狩りに行き、馬上から転落して背中を強打した後に亡くなりました。

その亡くなる前に天智天皇が授けた姓が「藤原」でした。

「藤原」という姓を天皇から賜った翌日に亡くなったのです。

彼はその賜った姓を使うことなく亡くなりました。

あの日、天智天皇の傍近くに控えている姿を見たのが、鸕野讚良皇女にとって中臣鎌足の姿を見た最後でした。

天智天皇の信頼を得て、腹心として様々な政治に関り……そして、天智天皇が即位前・中大兄皇子であった頃には、中大兄皇子の妃だった鏡王女(かがみのおおきみ)を正室に迎えました。

そして、即位後の天智天皇から、采女(うねめ)安見児(やすみこ)を賜ったのです。

采女とは、各国の豪族から女官として天皇に献上された美女たちで、数は多しといえども天皇の妻ともなる資格を持つことから、当時、采女への恋は命をもって償うべき禁忌でした。

鎌足の天智天皇からの信頼の厚さが分かります。


⦅信頼されているんだろうけど……女性は物じゃない! 

 酷すぎるくらい物扱いじゃないっ!!⦆


⦅父上様の妃だったのに、采女の安見児(やすみこ)ほど切望されたわけでもない鏡王女様は、

 どうお思いになったのかしら?⦆


鏡王女は鎌足の病気平癒を祈り、山階寺を建立したと聞いた時、それは妻だから行ったことなのか……

それとも、鎌足を妻として愛していたからなのか……分かりませんでした。

「神奈備の石瀬の社の呼子鳥いたくな鳴きそ我が恋まさる」という歌を詠まれたと聞いた時に、鏡王女が鎌足を愛していたのかもしれないと思うようになりました。


⦅それにしても…娘二人をちゃっかり大海人皇子様へ嫁しさせて……

 鎌足は、父上様、大海人皇子様、政権の中枢を担うのが

 どちらに転んでも良いようにしたのね。⦆


鎌足のような行動がこの世界では正しいのだろうと思いました。

誰が大和政権の中枢に座しても、生き残る正しい方法なのかもしれません。

自分が生き残らなくても、血を分けた息子が生き残ってくれたら……

その家は存続します。

恐ろしいと思いました。

令和の庶民の生活では考えられないのことです。



あれから、一目姿を遠くからでも……恋い慕う雄鹿の姿を見ることも叶いません。

中臣鎌足の葬儀の際に舎人は居ても雄鹿の姿を目にすることは叶いませんでした。


大海人皇子は、妻である鸕野讚良皇女の元に訪れることはあまりありません。

訪れた時も嫁した時から変わらずに「キツネとタヌキの化かし合い」のような会話をするだけです。


雄鹿を恋い慕う心は密かに持っていても許して欲しいと思うのです。

誰にも何の迷惑を掛けないように……心の中で恋い慕うだけの恋なのですから………。

雄鹿への想いを叶えようという気持ちは全くないのですから……。

もし、そんなことを望んだら、鸕野讚良皇女だけではなく、雄鹿の命が絶たれてしまいます。

恋い慕う相手の命を奪うような愚かな行動だけは慎まねばなりません。

雄鹿のことを全く知らないのに……雄鹿には既に妻がいるだろう…と思っても………。

そう思いたくない女心を………この世界に居るうちは秘めねばなりません。


「忍ぶれど 色に出にけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで」

色に出したら命が終わる……気を付けないと……いけません。

乙巳(いっし)の変で躍り出た中臣鎌足は、その後の大化の改新の立役者であり、天智天皇の片腕でした。

天皇から姓を賜った最初の臣下でもありました。

その次に姓を賜ったのが県犬養橘三千代で、「橘」を………。

そして、清和源氏が有名な「源」嵯峨・清和・宇多天皇などの子が臣下に下った時に授けた姓です。

次が桓武天皇の子が臣下に下った時に「平」を賜ったのです。

最後が「豊臣」。

これを見ても、如何に天智天皇が中臣鎌足を大事にしていたか分かります。

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