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慕情  作者: yukko
令和
113/166

まほろば万葉線

飛鳥への旅に香澄と智樹は行きました。

新幹線の中で智樹は言いました。


「香澄ちゃん、僕は僕なりの覚悟をして来たんだ。

 だから、香澄ちゃんの知りたいことで僕が知っていることは全て話すよ。

 でも、それは……あの飛鳥で……飛鳥の地で……話すよ。

 だから、それまでは何も聞かないで欲しいんだ。

 今は、この時間を僕は大切にしたいから……我儘でごめんね。」

「いいえ、我儘なんて思いません。先輩、ありがとうございます。

 先輩、私、父から頼まれまして、和歌山に行きます。」

「和歌山?」

「はい。」

「飛鳥の後で?」

「はい。」

「そう………。」


智樹は「香澄ちゃん、今日、誰と行くか話したの?」という言葉を飲み込みました。

それからの二人は静かに流れる景色を眺めていました。

新幹線の中で言葉を交わすことが少なかった二人でした。

二人の胸に去来するものが何だったのか………。


智樹が香澄に聞きました。


「JRと近鉄の二つがあって、近鉄の駅からバスが出てるけど、どっちで行く?

 駅から歩くことも出来るけど、歩くとどの駅からも30分かかるんだ。」

「歩きたいです。歩いてたから……。」

「……そうだったね。歩いてたね。」

「ええ、徒歩しかなかった……ですもの。」

「じゃあ、30分歩こうか?」

「JRはまほろば万葉線で…。」

「それがいいです。まほろば万葉線……それで行きたいです。」

「じゃあ、そうしよう。」


新幹線の京都駅を下りて、在来線に乗り換えてJR奈良駅に行きました。

そこから、香澄は選んだまほろば万葉線で畝傍駅から藤原宮へ行くことにしました。

奈良駅に着いて、昼食を摂ることにしました。

駅に直結された商業施設の中で食べることにしました。

その商業施設で、香澄は緊張しているからか……食欲が無くて、うどんを注文しました。

智樹も同じうどんを注文しました。

食べてから、まほろば万葉線で畝傍駅に向かいました。

途中の駅名を読むことが出来なかった香澄に智樹は教えてくれました。

「京終駅=きょうばて駅、帯解駅=おびとけ駅……。」という風に教えてくれたのです。

南下していくにつれて、電車の車窓から見える景色が万葉集の景色だと書かれている通りの景色でした。

それは、懐かしい香澄の飛鳥の記憶の景色に近いものでした。


「来て良かった……。」


思わず香澄は呟きました。

すると、智樹も……。


「僕も来て良かったよ。」


そう言いました。


天理駅を過ぎると、そこからの景色は大和三山を眺められる景色でした。

畝傍山、香具山、耳成山が見えるのです。

香澄は無意識に歌ってしまっていました。


「♪ かぐぅや~まはぁ~ うねびを おしと

   みみなしと あいあらそいきぃ~♪」


小さな声で呟くような歌だったのに、智樹の耳には届いたようでした。


「〖あかねさす紫の花〗だね。」

「先輩?」

「知ってるよ。宝塚だろう。」

「先輩! やっぱり……。」

「茉美が好きで観に行ったよ。」

「……そうなんですか……。」


藤原宮跡に着いたら聞こう!と香澄は思いました。

全てを知りたい。教えてくれるのは先輩だけなのだ!と思っています。

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