飛鳥への旅
香澄は飛鳥に行きたいと思ったのです。
あの飛鳥の地で、雄鹿だった智樹と一緒に居たいと……
そして、全ての疑問を智樹に……智樹に話して欲しいと思いました。
「香澄ちゃん、僕は一応……男、なんだよ。
だからね…… 僕と二人っきりでの旅行は良くないよ。
第一、ご両親がお許しにならないだろう!」
「先輩、私、高校生じゃありません。」
「香澄ちゃん……。」
「もう社会人ですよ。」
「ごめん。子ども扱いした訳じゃないんだ。逆で………逆なんだ。
大人の女性だから……愛し合っても居ない男との旅行は……。」
「先輩、分かっています。」
「香澄ちゃん、分かっているなら……。」
「でも! 先輩と行きたいんです。先輩と行けないと終わらない……。」
「終わらない?」
「はい。」
「先輩、言いましたよね。私が飛鳥の記憶に引っ張られてると…………。
だから、引っ張られないために行くんです。
前を向くために、行くんです。
お願いします。一緒に行ってください。」
「……………………………。」
「先輩! お願いします。前を向くために…お願いします。」
「分かった。行くよ。泊る所は別にしようね。僕の分だけ予約しておく。
新幹線とかの予約は一緒にしておこうか?」
「はい。お願いします。」
「じゃあ、日にちを決めようか。」
「はい。」
二人は飛鳥への旅に向かいます。
二人にとって、二度目の人生を過ごした場所、そして初めての転生の場所に…………。




