表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/132

商隊を助ける

「くふふ、次の獲物が見つかったよ。」

「おぉ、次はなんだ?」


「王都から北の彼方にいる『ベヒモス』だよ。」

「ベヒモス?」


「あぁ、重力を操る怪物だよ。」

「なぁ。」

「何だい?」


「そいつ美味いの?」

「知らないよ。」


「なんだ、意欲がそがれるな。」

「君のモチベは食欲なのかい?」

「今頃気づいたのか? あぁ、食欲が優先だな。」


「くふふ、初めて知ったよ。」


「で、いつ行くんだ?」

「君が良ければ直ぐにでも。」

「そうか、カリナ。」


「ふふふ、聞いていましたよ、行ってらっしゃいませ。」

「あぁ、行って来る。」俺はカリナとキスをして立ち上がる。


「んじゃ、行こうか。」俺は王都の家を出る。


「くふふ、妬けるねぇ。」

「何言ってるんだ、神様のくせに。」


「くふふ、ムサシのいけず。」

「?」


「くふふ、色男。」ミロクは通常運転だ。


 俺は北の門に向かった。


「おぉ、アラクネを討伐してくれた君か。」門番が言う。

「あぁ。」


「森は安全になったが、その先にある山には近づくなよ。」

「何でだ?」


「噂では、ベヒ何とかと言う怪物の住処らしい。」

「へぇ~、それは怖いな。」

「だろう?」


「忠告感謝するよ。」俺は北の門を出て、北に向かって走る。

「くふふ、普通なら一週間は掛かる距離だけど、この速さなら1日で着きそうだね。」

「そうか?」俺はそう言いながら全力で駆ける。

 

 2刻程駆けたら、その場面に遭遇した。

 オークが商隊を襲っていた。


「あぁ、羨ましいな、オークの食べ放題だ。」俺が言う。

「くふふ、ムサシの感性がバグっている。」


「ん? 何でだ?」

「くふふ、普通の人間には脅威以外の何でもないよ。」

「え? そうなの?」

「そう、 助けてあげれば?」


「まじかぁ?」


 俺は、襲われている商隊に声を掛ける。

「助け入りますか~?」



「その力があるなら、助けてくれ、だが力がないなら逃げろ!」冒険者らしき男が言う。


「喜んで。」俺はその商隊に近づいた。


「ミロク。」

「くふふ、任せて。」


「「「「「ぶきゃぁぁ!」」」」」オークが一瞬で死に絶える。


「なぁ?」その冒険者が呆ける。


「なんだ、オークキングはいないのか?」俺はつまらなそうに言う。


「何をしたんだ、いや、助けてくれてありがとう。」その冒険者が言う。

「あぁ、助かって良かったな、俺はこう言う者だ。」俺は組合のカードをその冒険者に見せる。


「神の身代わり? あの?」その冒険者が驚愕する。


「何のあのなのかは知らないが、その神の身代わりが俺だ。」

「あぁ、すまない、知り合いの冒険者に聞いたんだ。」


「何を?」

「ノダタ・モブから聞いた、ゴブリンの村を潰したと。」

「あぁ、あいつか。」俺は思い出しながら答える。


「で、報酬を言っても良いか?」俺はその冒険者に聞く。

「あぁ、なんでも言ってくれ。」


「周りのオークの良いお肉をくれ。」

「え?それだけで良いのか?」


「あぁ、並肉と魔石はいらない。」

「ムサシさんは良い人だな、あぁ、俺はこの商隊を護衛しているマナカと言う、宜しくな。」

「あぁ、短い付き合いだが宜しくな。」俺は答える。


「解体は任せて良いか?」

「あぁ、任せてくれ。」マナカと数人の冒険者がオークを解体していく。

 俺はオークの良い肉だけをミロクに持って貰った。


 すべての解体が終わったので、俺は北に向かって走ろうとした。


「待ってください。」商隊の商人が俺に声を掛けた。

「はぁ?」


「出来ましたら、次の村まで護衛を頼めませんか?」

「護衛なら周りにいるじゃないですか?」


「オークの集団に後れを取る護衛では不安しかありません。」


「あぁ。」

「マナカはそれで良いのか?」俺はマナカに聞く。

「ムサシの兄貴、俺たちは力不足だ、是非に頼む。」マナカが言う。


「はぁ。」俺はため息を吐く。


「今日中にベヒモスを倒せそうもないな。」

「くふふ、助けてあげなよ。」


「解った、次の村までだな。」俺は答える。

「おぉ、感謝いたします。」


「はぁ。」俺はため息をつきながら先頭の馬車の屋根に乗る。


「おぉ、ハコベ様の言う通りのお方なのですね。」商人が感激する。

「あ?」


「申し訳ありません、私はハコベ様の部下のヨコモチと申します。」

「あぁ、そう。」


「ハコベ様が、ムサシ様がいればその旅は終わったも同然とおっしゃっていましたが、その理由が解りました。」


「はぁ?」


「先を急ぎましょう。」俺は少しイラついて言う。

「はひぃ、解りました。」ヨコモチが慌てながら旅を続ける。


「オーガだ!」御者が言う。


「はぁ、ミロク。」

「うん。」オーガたちがこと切れる。


「魔石と爪は好きにしていいぞ。」俺はマナカに言う。

「マジか、兄貴。」


「あぁ、好きにしろ。」

「お前たち、すぐに解体するぞ。」

「おぉ!」マナカの仲間たちがオーガを解体する。


 解体が終わったら、俺はミロクに処理を頼む。

「ミロク。」


「くふふ、任せて。」オーガが一瞬で塵になる。


「おぉ、いつ見ても見事だな。」

「くふふ、私を敬え~。」ミロクが無い胸を張る。

「あぁ、凄い、凄い。」俺はそう言いながらミロクの頭を撫でる。


「むっき~! 馬鹿にして。」


「いや、本当に凄いと思うぞ。」

「そうなの?」


「あぁ、流石はミロクだ。」

「なら良し。」


(チョロい。)


「くふふ、何かな?」

「何でもない。」


 その後、コボルド、ゴブリンの襲撃を撃破して次の村に到着した。



「身分を証明できるものを。」村の門番が聞いてくる。


「はい、これを。」ヨコモチが対象の証明書を門番に見せる。

「商隊5人、確認した、通っても良いぞ。」門番が言う。

「ありがとうございます。」ヨコモチたちが門をくぐる。


「俺たちは冒険者だ。」マナカたちが其々ギルドカードを提示する。

「よし、お前たちも通って良し。」門番が言う。


「では、俺は先を急ぐから此処でお別れだな。」俺はそう言いながら北に走ろうとする。


「お待ちください、ムサシ様。」ヨコモチが俺に声を掛ける。

「何だよ?」


「まだ、報酬を払っておりません。」


「組合の俺の口座に振り込んでくれれば良いよ。」

「いえ、ハコベ様の教えで、報酬は現金で渡せと言われておりますので、店まで御同行ください。」


「はぁ、面倒くさい。」俺は門番に組合のカードを見せる。

「おぉぉ、神の身代わり様、歓迎いたします。」門番が俺に頭を下げる。


 俺はヨコモチに続いて、ヨコモチの店に行く。


「こちらでお待ちください。」ヨコモチに言われ、俺は応接室のソファに座る。

「どうぞ。」メイドが紅茶を配膳してくれる。


「あぁ、ありがとう。」俺はメイドに言う。

「ぷ、ぷぷぷ、噂通りのお方。」そのメイドが笑いを堪えながら壁際に行く。

「?」


「くふふ、ムサシはいつも通りっと。」

「?」


「おぉ、お待たせしました。」ヨコモチが部屋に入ってきて言う。

「あぁ、別に待ってはいない。」


「今回の報酬でございます。」ヨコモチは革袋を俺の前に置く。

「は?」

 どう見ても金貨50枚位入ってそうだ。


「お願いがあるのですが。」ヨコモチが言う。

「何だ?」


「オーク肉の良い所を、30kgほどお譲り頂けないでしょうか?」

「あぁ、それを含めての報酬か?」


「はい。」

「全然問題ないぞ。」俺はミロクから30kg分のオークの良いお肉を貰い、皿に乗せてそこに取り出す。

「おぉ、感謝いたします。」ヨコモチが頭を下げる。


「祝い事でもあるのか?」俺はヨコモチに聞く。

「近々娘が結婚するので、その祝いの席で振舞おうかと。」

「おぉ、それは目出度いな、では、俺からのお祝いだ。」俺はミロクから、ミノタウルスのお肉を受け取り、地魔法で作った皿に乗せて差し出す。


「なんと、ミノタウルスですか?」

「あぁ、余興に良いだろう?」


「ムサシ様、感謝いたします。」ヨコモチがその場でひれ伏す。

「あぁ、止せ、止せ、俺はただの冒険者だ。」

「ムサシ様?」


「ははは、お前の娘に幸あれと伝えてくれ。」

「何と?」

「ミロク神様からの祝いの言葉だ。」

「おぉぉ、恐れ多い。」


「くふふ、まさに神の身代わりの言葉だね。」

「俺は、神の身代わりなんだろう?」

「くふふ、そうだね。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ