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救出

「よく無事だったな。」俺は二人に声を掛ける。

「ムサシ様~。」

「旦那~。」ルチアとアデルが俺に抱き着く。


「良し良し、よく頑張ったな。」俺は二人の頭を撫でる。


「ムサシ様、この方たちは?」タンクローが俺に聞いてくる。

「あぁ、俺が受けた依頼だ。」俺はそう言いながらミノタウルスを解体する。


「今気が付いたが、旦那の解体パねえな。」アデルが俺の解体を見て言う。

「ははは、俺が何体解体していると思うんだ?」

「100体ぐらい?」アデルが答える。


「ははは、数千だな。」

「マジかぁ?」


「今回も50体ぐらいは解体したからな。」

「旦那、マジでリスペクトする。」


「さて、腹が減っているだろう?」俺はアデルに聞く。

「面目ない。」


「あぁ、んじゃ。」俺は地魔法で机と椅子を人数分作る。

「なぁ、魔力の無駄遣い!」魔術師の女が言う。


 俺は無視して皿やコップを地魔法で作る。


「さぁ、座れ。」俺はそこにいた全員に言う。


 アデルとルチアはおとなしく座った。


「ありえない、魔力の無駄遣い。」

「ダンジョンの中でこんな。」魔術師の女や、僧侶の女がそう言いながら椅子に座る。

「現実だと受け入れよう。」斥候の男がそう言って椅子に座った。

「ははは、ムサシ様は規格外。」タンクローもそう言いながら椅子に座る。


「んじゃ、食って英気を養ってくれ。」俺はそう言いながら白パン、金鶏の唐揚げ、金鶏の照り焼き、オークカツ、オークの生姜焼き、オークのモツ煮、そして野菜スティックを机に置いた。

 勿論、レタスやサンチュは当然だ。


「ははは、やっぱり旦那は規格外だな。」そう言いながらアデルが白パンにレタスと金鶏の照り焼きを挟んで口に入れる。

「かぁ~、美味いなぁ。」

「良かったな。」


「やっぱりこれだよな。」ルチアも白パンにサンチュとオークカツを挟んで食べ始める。」


「なぁ、ダンジョンの中でこれは?」タンクローが驚愕する。

「早く食べないと無くなるぞ。」俺はタンクローたちに言う。


「いただこう。」タンクローが白パンにオークの生姜焼きを挟んで口に入れた。

「ぬをぉぉ。」

「? どうした?」

「美味い!」

「良かったな。」


「くふふ、白パンにレタスとオークの生姜焼きとサンチュを挟んで食べさせろ。」

「はぁ。」俺はため息をつきながら、ミロクの要求通りにする。


「ムサシ様、食材が消えているような。」タンクローが言う。

「ムサシ様は神の身代わりだから、ミロク神に供物を奉納しているのだ。」ルチアが俺に代わって説明してくれた。


「何と。」

「はぁ。」俺は再びため息をつきながら左手をタンクローの前に差し出す。

「?」タンクローが怪訝な顔をする。

「手を持ってみろ。」俺はタンクローに言う。


「はぁ?」そう言いながらタンクローは俺の左手を持つ。 


「お前たちに幸あれ。」ミロクが口の周りを生姜焼きのたれだらけにして言う。

「残念だよ。」


「み、ミロク神様!」タンクローが椅子から降りて平伏する。

「普通で良い。」ミロクが尊大に言う。


「ははぁ!」タンクローがさらに礼をする。

「普通にしろってさ。」俺はタンクローに声を掛ける。


「はい。」タンクローは椅子に座りなおして食事を続けた。




「さて、人心地着いたか?」

「はいムサシ様。」


「んじゃ最下層まで行くか?」

「いや、いや、いや、無理ですよ。」タンクローが言う。


「何で?」

「俺たちは戦力外です!」

「だから?」


「旦那と一緒なら余裕だよ。」

「ムサシ様はパナイから。」ルチアとアデルが言う。


「さっと行って、さっと帰れば今日中に終わるぞ。」

「しかし。」

「さっきからムサシ様の戦いと言うか蹂躙劇を見てたじゃない、行ってみようよ。」魔術師の女が言う。

「まぁ、あたしら何もしてないもんね。」僧侶の女が言う。

「いかないと、一生行けない処ですぜ。」斥候の男が言う。


「解った。」タンクローが言う。


「んじゃ、サクサク行くぞ。」俺は安全地帯を出て12階層に進む階段を下りた。


*******


「俺たちは何を見せられているんだろう?」タンクローが言う。

「考えたら負けな気がする。」魔術師の女が言う。


「さすがにこの階層は単体では出てこないな。」俺はマスターミノタウルスを解体しながら言う。

「へへへ、旦那の役に立たないとな。」

「あぁ、ムサシ様に良い所を見せないとな。」ルチアとアデルが解体を手伝ってくれる。


「あぁ、組合の窓口でポーターを雇った方が良いと言っていたのはこのためか。」タンクローが言う。


「よし、解体が終わったら、魔石とお肉と内臓と皮を俺に渡せ。」俺は二人に言う。

「はいよ、旦那。」

「はーい、ムサシ様。」二人がそれを渡してくる。

 俺はそれをミロクに渡して、先に進んだ。




 結局、最下層までは2時間かかった。

「ふむ、最下層を踏破すると、またダンジョンが変わるのかな?」

「くふふ、だろうね。」


「旦那がやばいことを言っている気がするんだが。」

「安心しろルチア、私にもそう聞こえる。」


「まさか、ダンジョンが変わったのって?」タンクローが言う。

「あぁ、俺が前回踏破したかららしい。」

「マジかぁ?」タンクローが言う。


「あぁ、だが浅い階層で良いお肉が出るようになったから良い事じゃないか。」俺はあっけらかんに答える。

「確かに2階層で金鶏が出たと聞いたが。」斥候の男が言う。

「前のダンジョンの情報で、自分たちの力量以上の階層に入ったあたしらが悪いんだけどさ。」僧侶の女が言う。

「組合に報告する案件だな。」タンクローが言う。


「あぁ、それならお前たちに頼むよ。」俺は言う。

「え? ギルドポイントになりますよ。」ルチアが言う。


「別に要らない。」

「うわぁ~、マジで旦那は男前だ。」


「さて、ボス部屋のボスが変わったかな?」俺はそう言いながらボス部屋のドアを開けた。


「ぶもぉおぉぉぉぉ!」マスターキングミノタウルスが叫ぶ。

「おぉ、マスターキングミノタウルスになってる。」俺は嬉しそうに叫ぶ。


「ははは、絶対に普通の人間じゃ無理だよ。」アデルが言う。

「旦那以外は絶対に無理だわ。」ルチアも言う。


「人を人外みたいに言うなよ。」俺はそう言いながらボス部屋に入った。

 とたんにドアが閉まった。


「おや、一人で攻略しろと言う事か?」

「くふふ、君以外には無理だね。」


「このダンジョンは俺専用?」

「くふふ、最下層はそうかもね。」


「で、また全く攻撃をしてこないんだが。」

「くふふ、一度攻撃されたらカウンターで攻撃するんじゃないかい?」


「あぁ、それなら。」俺は瞬歩で近付き天叢雲剣で首を落とした。


「一瞬だな。」俺がそういうとドアが開く。


「おぉ、やっぱり旦那はパない。」

「やっぱり一瞬かぁ。」ルチアとアデルが騒がしい。


「旦那、解体は任せてくれ。」ルチアがマスターキングミノタウルスに駆け寄る。


 そして、愛用の解体ナイフを突き入れて固まる。

「切れない。」ルチアが言う。

「まさか。」アデルもそれに駆け寄って解体ナイフを突き入れる。

「マジかぁ。」


「ははは、すごく固そうだな。」俺は天叢雲剣を抜きながら言う。

「旦那ぁ、これはマジで凄いよ。」

「こんなの聖剣か魔剣でないと切れないよ。」ルチアとアデルが言う。


「どれ?」俺は天叢雲剣を突き入れる。

 常温のバターにナイフを入れたように刃が入る。


「何だ、簡単じゃないか。」俺はそう言いながらマスターキングミノタウルスを解体する。

「魔石、お肉、内臓、皮。舌。」俺は何時ものように解体して全部ミロクに持って貰った。


「俺たちは何を見ているんだ?」タンクローが言う。

「今後一生見られない光景です。」斥候の男が言う。

「あたし冒険者止めようかな。」僧侶の女が言う。

「私もそう思った。」魔術師の女が言う。


「良し、今回もダンジョンコアは放置して帰るぞ。」俺はそう言いながらボス部屋を出てダンジョンを出ることにした。


 地上までの間もお肉は出てきたけど、俺が討伐してルチアとアデルが解体してくれた。


「ふわぁ、やっと出口だ。」俺はダンジョンの入り口を潜って言う。

「あぁ、帰ってこれた。」

「これも旦那のおかげだ。」アデルとルチアがその場で跪いた。


「あぁ、生きて帰ってこれた。」タンクローが言う。

「奇跡だ。」斥候の男が言う。

「いや幸運だった。」タンクローが言う。

「確かに、ムサシ様に出会えなければ、終わっていた。」僧侶の女が言う。

「やっぱり、あたしは冒険者をやめる。」魔術師の女が言う。


「引き留める事は出来ないな。」タンクローが言う。


「あぁ、感傷に浸っているのは良いが、俺はここで別れるぞ。」俺はタンクローがたちに言う。


「え? 報酬は?」

「あぁ、ミノタウルスの素材を貰ったからそれで良いぞ。」俺はそう言って、ルチアとアデルを連れて組合に向かった。


「いや、待ってくれ。」タンクローが俺に声を掛ける。

「何だよ。」


「俺たちを助けてくれた報酬はどうするんだ?」

「さっきも言ったが、ミノタウルスの素材を貰ったからそれで良い。」

「いや、そんなもんでは。」

「じゃぁ、適当にギルドで報告してくれ。」俺はそう言って組合に向かった。


「どう報告しろと?」タンクローが呆ける。

「ありのままを報告するしかないよ。」僧侶の女が言う。

「そうだよなぁ。」




「邪魔するぜぃ。」俺は二人を連れて組合のドアを潜った。


「ルチア、アデル、無事だったのかい!」受付のお姉さんが叫ぶ。

「あぁ、旦那に助けられた。」

「ムサシ様は神だ。」


「あぁ、まずこれからだな。」俺はミロクからダンジョンで拾ったカードをカウンターに置く。

「あぁ、ルチアとアデルを雇った冒険者の。」受付のお姉さんが言う。


「あぁ、オークロードに喧嘩を売ったらしいぞ。」

「はぁ、馬鹿だとは思っていましたが、本当の馬鹿だったのですね。」受付のお姉さんが辛辣だ。


「とりあえず、決裁してくれ。」俺は組合のカードを受付嬢に渡す。

「はい、緊急案件の依頼達成、二人の救出20Gです。」

「あぁ。」

「ギルドカード持ち帰り、5Gです。」

「あぁ。」


「おや、他パーティー救出とありますが?」受付のお姉さんが言う。

「あぁ、旦那は他のパーティをうちらと一緒に地上に連れ帰った。」ルチアが言う。

「おや、そうでしたか。 パーティー救出5Gです。」

「安いな!」

「冒険者は自己責任ですから。」

「まぁ、そうだな。」


「で、今回のダンジョン討伐なのですが。」

「あぁ。」


「オーク78,オークロード98、ミノタウルス42、マスターミノタウルス32、マスターオークロード45、マスターコカトリス28、マスターキングミノタウルス1ですが。」

「あぁ、狩ったなぁ。」


「オークは納品してください。」

「あぁ、良い所の肉しかないぞ。」

「構いません。」


「オークの良いお肉78頭分、62Gです。」

「おぅ。」


「あぁ、今回もルチアとアデルは解体を手伝ってくれたから、二人に60Gずつ振り込みたい。」

「マジかよ旦那。」

「ムサシ様は神。」


「お前らを雇ったパーティーが壊滅したから実入りはないだろう?」

「旦那、いっそ俺を嫁にしてくれ。」

「あぁ。第三王女に気に入られたら有かもな。」


「はぁ?」

「俺には、国王の第三王女、カリナ様が嫁ぐことになっている。」


「何それ?」

「マジかぁ。」

「あぁ、マジだ。」


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