盗賊退治
明けましておめでとうございます。
今年も拙作をよろしくお願い申し上げます。
尚、本編には残酷な表現が含まれています。
苦手な方はお戻りください。
俺は王都の組合に向かっている。
え? 何故って、組合に来るように手紙が届けられたからだ。
「頼もう。」俺はそう言いながら組合の門を入った。
「組合にようこそ、今回はどのようなご用件で?」受付の娘が聞いてくるので、俺は手紙を見せる。
「まぁ、組合長の、す、少しお待ちください。」受付の娘は窓口に駆け寄り、そこにいた娘に耳打ちする。
耳打ちされた娘は、踵を返すとそのまま2階に駆け上がった。
暫くするとその娘が階段を下りてきて、俺の前にやってきた。
「組合長がお会いするそうなのでご案内いたします。」そう言って俺を案内する。
2階のある部屋の前に行くと俺を案内した娘がドアをノックする。
「入れ。」ドアの中から声が聞こえた。
俺は娘が開けてくれたドアに入った。
「おぉ、ムサシ、よく来てくれた。」組合長のムッシュ・ムラムラが俺に言う。
「俺に指名依頼か?」俺はすすめられる前にソファーに座りながら言う。
「あぁ、ここ数週間で、何組もの商隊が盗賊に襲われた。」ムッシュ・ムラムラが言う。
「ほぉ。」
「王都から、北に3日ほどの場所に、盗賊が根城を作ったようだ。」ムッシュ・ムラムラが言う。
「つまり、俺にその盗賊を討伐しろと言う事で良いか?」俺はムッシュ・ムラムラに聞く。
「話が早くて助かる、そう言う事だ。」ムッシュ・ムラムラが言う。
「あぁ、良いよ、請け負った。」俺はそう言って部屋を出ると北の門に向かう。
「おや、ムサシ様ではないですか。」そこにはハコベの商隊がいた。
「あぁ、ハコベさんこんにちは。」俺はハコベに挨拶する。
「ほほほ。もしかしてムサシ様が盗賊の討伐を請け負ったのでしょうか?」
「あぁ、まさかハコベさんが囮役ですか?」
「ほほほ、ムサシ様が護衛なら心強いですな。」
「組合長はなんて人を囮にするんだ。」
「ほほほ、良い報酬でしたので問題ありません。」
「はぁ、もし俺が護衛でなかったらどうするつもりだったんですか?」
「盗賊が出た瞬間に全速力で逃げるつもりでした。」ハコベが悪びれずに言う。
「はぁ。」俺はため息をつく。
「では早速出発しましょうか。」ハコベが嬉しそうに言う。
俺はいつも通り、馬車の屋根に座った。
「では、盗賊の撲滅に出発です。」ハコベが言うと商隊が動き出した。
「なんだかな。」
「くふふ、良いじゃないか。」
「はぁ。」俺は何度目かわからないため息をついた。
「王都を出て3日後に、テンプレのように盗賊に襲われた。」
「ぎゃははは、荷物と女を置いていけば命は助けてやる。」数十人いる盗賊の一人が叫ぶ。
「はぁ、まじで出やがった。」
「ほほほ、馬鹿な奴らですな。」
「俺は屋根から飛び降りて、盗賊たちの前に行く。」
「いつもなら見逃してやるんだけどな、今回はお前ら全員アウトな。」
「ぎゃはははは、なんか間抜けが戯言を言ってるぜ。」
「わははは、俺らの数が見えないのか?」
「いや、十分見えているぞ。」俺は答える。
「見えていてそのもの言いか、お前は馬鹿か?」その男が答える。
「ちなみにリーダーは誰だ?」俺はそいつらに聞く。
「あぁ、俺だ。」先ほどの男が答える。
「そうか。」
「それがどうした?」
「あぁ、丁重に扱わせてもらうよ。」俺は腕を振りながら言う。
「さて、女もいないようだし、荷物を置いていかないなら全員皆殺しだ。」リーダーだといった男が言う。
「はぁ、まじでお前らアウトだな。」俺はため息をつきながら魔法を唱える。
「スタン(闇魔法麻痺)!」
「ぐわぁぁ!」盗賊どもがその場で硬直する。
「ハコベさん、また全員の肩を外しますので後ろ手で縛ってください。」俺はハコベに言う。
「ほほほ、心得ました、これ、お前たち。」ハコベはハコベの部下たちに指示を出す。
「さて、作業だな。」俺は盗賊たちの肩を外していく。
え? どうやって? 簡単だよ、曲がらないほうに曲げればオッケーさ。
「ボキン!」
「ひぎゃぁぁ。」
「べきん!」
「あぎゃぁぁぁ。」
「五月蠅いな。」俺は肩を外した奴の腹に一発入れて静かにする。
そして、そこにいた36人すべてを同じ状態にした。
「さて、ハコベさん、盗賊のアジトを漁りましょうか。」俺はハコベに言う。
「ほほほ、役得ですな。」
「では、リーダーを起こしますか。」俺はリーダーの男に活を入れて目覚めさせる。
「うぁ。」リーダーの男が気付いたので、俺は威圧を込めて言う。
「お前たちのアジトに案内しろ。」
「誰が。」リーダーの男が横を向いて言う。
「ほぉ、良い度胸だ。」俺はリーダーの男の左手の小指を折る。
「ひぎゃぁぁ。」
「さて、何本耐えられるかな。」俺はそう言いながら左手の薬指を持つ。
「待ってくれ。」リーダーの男が言う。
「言う気になったか?」
「言ったら助けてくれるか?」
俺は無言で薬指を折る。
「あああぁぁ。」
「アジトは何処だ?」
「誰が言うか。」
「いい度胸だ。」俺は左手の中指を無表情に折る。
「がぁぁぁ。」
「ついでに人差し指も行っとくか。」俺は左手の人差し指を持つ。
「まっでくれ。」リーダーが言う。
「え? もっとやってくれ? お前Ⅿなのか?」そう言いながら俺は人差し指も折った。
「たのぶ、じゃめてくれ。」リーダーの男が言う。
「え? 攻めてくれ? そう言うなら。」俺は左手の親指をポキリと折る。
「あぁぁあぁぁ。」リーダーの男が五月蠅い。
「なんだ、そんなに気持が良いのか、んじゃ右手も行っとくか?」俺はにこやかに言う。
「おねぎゃいじまず、ぼう、じゃべてくだじゃい。」リーダーの男が泣きながら言う。
「ムサシ様、もうやめて下さいと聞こえるのですが。」ハコベが俺に言ってくる。
「え? 右手もやってくださいじゃないの?」俺はそう言いながら右手の小指を折る。
「はぎゃぁあぁぁ。」
「だのびばず、あじゃばりばす、アジトぼおしえまず、じゅるじてぐだじゃい。」リーダーが俺にすがる。
「なんだよ、さっさと教えれば痛い思いをしなくて済んだのにな。」俺はそう言いながらリーダーをつまみ上げる。
「で、アジトはどっちだ?」俺はリーダーに聞く。
「あっちです。」リーダーは右手を上げて言う。
「因みにアジトには何人残っている?」
「5人です。」
「そうか、んじゃ暫く眠っとけ。」俺はリーダーの腹に一発入れる。
そして、ハコベの部下を見張りに残してアジトに行った。
「あそこかな?」俺は草むらに隠れてその場所を見る。
そこは粗末な小屋が建っていた。
見張りらしい男が欠伸をしながら退屈そうに立っている。
「ほほほ、ムサシ様前回と同じように蹂躙ですか?」ハコベが嬉しそうに言ってくる。
「見張りは殺すけど、盗賊は生かしたまま捕らえるつもりだ。」
「おや、お優しいことで。」
「犯罪奴隷にして売ったほうが美味しいからな。」俺は悪い顔で言う。
「ほほほ、そういう事ですか。」ハコベが嬉しそうだ。
俺は手近にあったこぶし大の石を拾う。
「だけど、あれは駄目だな。」俺はそう言いながら見張りの男に向かって石を投げた。
「パキャ!」見張りの男の頭が消えた。
「さぁ、行きましょう。」俺はハコベさんを伴ってそこに向かった。
「ほほは、ムサシ様さっきと同じスタンの魔法を唱えればよかったのでは?」ハコベさんが言ってくる。
「ははは、考え付きませんでした。」俺はごまかした。
「俺はドアを蹴破った。」
「何だ? お前たち!」
「正義の味方だ!」俺はそう言いながらそこにいる全員にスタンの魔法を唱える。
「さて、あとは作業ですね。」俺は全員の肩を外した。
俺とハコベさんは、小屋の中を探し回った。
「かなりの量の金貨と銀貨、荷馬車に積まれていたであろう物品がそこら中にあった。
「前回と同じで、金は折半で良いですよね。」俺はハコベさんに聞く。
「勿論です。」
「物品は王都まで持ち帰って、組合案件にして、盗難届が出ていないものは私が買い取って、その売値を折半でよろしいですか?」
「構いませんよ、ミロク。」
「くふふ、任せて。」小屋の中には何も無くなった。
「さぁ、立って歩け。」俺は盗賊たちに言う。
「うぅ。」
「くそぉ。」盗賊たちは口々に文句を言うが俺の言葉に従った。
そして、馬車のところに戻った。
「さて、前回と同じように盗賊どもの首を縄でつないでください。」俺はそう言いながら盗賊の首を縄でつないでいく。
「8人ずつ5本の縄を馬車の後部に括り付けて。」
「あぁ、王都に戻りましょう。」俺はそう言って馬車を出発させた。
行きと違うのは、馬にヒールをかけながら、馬車の重さをなくして3日かかるところを1日で走ったところだ。
盗賊たちが大分すり減ったみたいだが、軽いヒールで最低限の治療をした。
俺たちは王族専用の門に向かい、そこにいた衛兵に盗賊を引き渡した。
「ムサシ様、奴隷にした賞金はいつもの口座に振り込んでおきます。」衛兵の一人が言う。
「あぁ、よろしく頼むよ。」俺はそう言いながら、組合に向かった。
そして、組合の門を入りムッシュ・ムラムラを呼んでもらった。
「おぉ、ムサシ、早かったな。」ムッシュ・ムラムラが俺の前に来て言う。
「盗賊は衛兵に引き渡した、それで、盗品をどこに出せばいい?」
「おぉ、盗品も引き上げてくれたのか、奥の広い部屋に頼む。」
「あぁ、ここに出せばいいんだな?」
「ミロク。」
「くふふ、はいよ。」
「おぉ、これはまたすごい数だな。」ムッシュ・ムラムラが驚愕する。
「ほほほ、盗難届が出ていないものは、私が買い取ります。」ハコベさんが言う。
「あぁ、ハコベさんよろしく頼むよ。」ムッシュ・ムラムラが言う。
「検品に1日かかる数だな、検品が終わったらハコベさんの店のほうに連絡するよ。」
「ほほほ、では今日はこの辺で。」ハコベが組合を出ていく。
「俺も帰るわ。」俺はそう言って組合を出ようとする。
「窓口にカードを提出してくれ、報酬を払う。」組合長が言うので俺は窓口に向かった。
「お待たせしました。」窓口の娘が俺にカードを返してくる。
「結構な金額が振り込まれていた。」




