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ガキーンに依頼

「何だ、うるさいぞ!」ガキーンが店の奥から出てきて言う。


「よう、久し振りだ。」俺は右手を上げて言う。

「お、おぉ、ムサシじゃないか、どうした?」ガキーンが俺に聞いて来る。


「あぁ、頼みたい事が有るんだ、出来るかどうかは解らないが。」

「ほぉ、まぁ入れ。」ガキーンは俺を店の奥に連れて行く。


「で、頼みとは何だ?」ガキーンが椅子に座りながら聞いて来る。

「あぁ、それなんだが、ガキーンは武器以外も作るのか?」俺は机をはさんで対面の椅子に座って言う。


「あぁ、気が向いたら何でも作るぜ。」

「おぉ、そうか、なら頼みたい!」俺は食い気味に言う。

「何を作れと?」ガキーンが嫌そうに言う。


「圧力鍋だ。」俺はにこやかに答える。


「何だそれ?」ガキーンが呆ける。

「あぁ、俺もよく知らない。」

「はぁ?」


「姉御に聞いた奴だ、空気を閉じ込めて、内部の圧力を高める鍋だ。」


「はぁ?」


「ただ、あまり圧力を上げ過ぎると爆発するそうだから、適度に圧力が抜けるような弁を付ける必要があるらしい。」

「う~む、漠然とした話だな。」


「あぁ、俺も見たことはないからな。」

「それを作るとどうなるんだ?」


「何でも、6時間以上煮込む料理が30分で出来たり、魚が骨ごと食べられるようになったりするそうだ。」


「ほぉ、それは凄いな。」

「出来上がったら、国王に献上する予定だから、貴族連中に広まるんじゃないか?」

「う~む、奥が深そうだ。」ガキーンが考え込む。


「ふたは固定しないと駄目だな、また、空気が漏れないようにパッキンも必要か。」ガキーンがぶつぶつ言い始める。


「圧力を逃がす方法が色々考えられるな。」ガキーンは俺を無視して図面を引き始める。

「あぁ、俺は必要ないな。」俺はウイスキーの瓶を5本ミロクから貰って、そこに置いて店を出た。


「職人の邪魔をしたら駄目だからな。」

「くふふ。」


*********


 俺は王都の孤児院にやってきた。

「あら、ムサシ様。」コバルトさんが声を掛けてきた。

「あぁ、コバルトさんもお元気そうで。」

「今日はどのような?」


「あの後がどうなったかを知りたくて、来ました。」

「あら、あら、律儀な方、国王様からの支援は順調に届いております。」

「そうですか、良かった。」俺は心が軽くなったように感じた。


「あ~、ムサシ様だ!」一人の孤児が叫ぶ。

「ムサシ様!」

「今日は何を食べさせてくれるの?」


「ありゃ、見つかったか。」俺はにこやかに孤児たちにあいさつする。


「コバルトさん、今日のお昼は何ですか?」俺はコバルトさんに聞く。

「今日はランナー鳥を使った料理にしようかと。」


「おぉ、そうですか、じゃぁ俺が作っても良いですか?」俺はニコニコしながら聞く。

「構いませんけど、大丈夫なのですか?」

「今日は何人いますか?」俺は聞く。


「今日は職員である私たちを含めて41人です。」

「解りました。」俺はそう言うと、地魔法で机といすを人数分作っていく。


「お前たち、自分の茶碗と箸とお皿を手を良く洗ってから持ってこい。」俺は孤児たちに言う。

「「「「「はーい。」」」」」孤児たちは返事をして各々がそれを取りに行った。


「そう言えば、お椀は有るのですか?」俺はコバルトさんに聞く。

「いえ、汁物は提供していないので。」

「では、俺が作りますね。」そう言いながら地魔法で机の上に41個のお椀を作っていく。


「そして調理台を作り。」俺は地魔法で調理台を作っていく。

「そしてキャベツの千切り。」俺はミロクからキャベツを貰って千切りを作っていく。


「とりあえずタッパー2個分も有ればいいか。」俺はタッパー2個分のキャベツの千切りを作る。


「そしてトマトを21個、4頭分にする。」俺はミロクからトマトを貰って4等分にした。


「次に、ランナー鳥の処理だ。」俺はミロクからランナー鳥を20羽貰って肉にしていく。

「ボール10個にたんまりと肉を盛る。」俺は其れを実行した。


「そして、ボールに俺特製の漬け汁を投入して良く揉み込む。」俺は風魔法を駆使して各ボールの中身を揉み込ませる。


「わぁ、ムサシ様凄い!」

「本当だ。」孤児たちが自分の箸と茶碗と皿を持ってきて言う。


「よし、次に竈を作って、火を入れる。」俺は地魔法で竈を作って火を入れた。

「そして、揚げ油の用意。」俺はミロクから大き目の揚げ鍋を貰い、そこに油を入れる。各ボールには片栗粉を投入して、更に風魔法でよく混ぜる。」俺は其れを実行する。


「油の温度が良い具合になってきたな。」俺はそう言うと、ボールからランナー鳥の肉を菜箸で取り出して、油の中に入れていく。


「ジュワ~!」ランナー鳥が良い具合に揚がっていく。


「ムサシ様、良い匂い。」

「涎が出る。」孤児たちが騒ぎ出す。


「もう少し待て、その前にお手伝いだ。」俺は孤児たちに言う。

「え~。」

「何をするの?」


「まず、ご飯を配る奴!」俺は言う。

「やる!」一人の孤児が手を上げる。

「おし、お前に御飯の提供を任せるぞ。」俺はそう言いながらミロクからお櫃を数個貰う。

「何これ?」

「あぁ、この中に御飯が入っているから、皆の茶碗によそってやれ。」俺は孤児に言う。

「わかったぁ。」孤児がそう言ってみんなの茶碗に御飯をよそっていく。


「次に、お付けを配る奴。」俺は孤児たちに言う。

「あたしやる。」孤児の一人が手を上げる。

「よし、んじゃ、俺が作ったお椀にこれを入れてやれ。」俺はミロクから貰ったアサリの味噌汁が入った鍋をそこに置く。

「無くなったら補充するから言えよ。」俺はその孤児に言う。

「は~い。」その孤児は言われた通りに俺が作ったお椀に味噌汁をよそって孤児たちに渡していく。


「次だ、手伝う奴手を上げろ。」俺は孤児たちに言う。

「やる!」

「あたしも!」


「よしお前らは、みんなの皿にキャベツの千切りとトマトを2掛け乗せて、ここにあるマヨネーズをキャベツに乗せたら、ランナー鳥の唐揚げを4個ずつ皿に乗せろ。」俺はそう言いながら、ランナー鳥の唐揚げをどんどん揚げていく。


 揚げた唐揚げは、時魔法で時間を進め中まで火を通していく。


「さぁ、どんどん乗せていけ。」俺は孤児たちに言う。

「うん。」

「わかったぁ。」孤児たちは俺が言った通りに、唐揚げをキャベツの千切りを盛った皿に唐揚げを乗せていく。


「よ~し、全員の分が終わったかぁ?」俺は孤児に聞く。

「先生の分がまだ」孤児が言う。


「よし、先生の分は俺がやるから、みんな食べて良いぞ。」俺は言う。

「わ~い、頂きます。」

「「「「「いただきます。」」」」」


「そして、先生たちの分です。」俺は其れを差し出す。

「え?」コバルトさんが明らかに動揺する。


「どうしました?」俺は聞く。

「孤児たちの物と違うようなのですが。」コバルトさんが小声で言う。


「おぉ、解りますか? 先生たちの分は金鶏です。」俺は同じように小声で答える。

「き! きんけい?」叫ぼうとしたが小声で聞くコバルトさん。


「隊長、私たち戻れますか?」部下の一人が言う。

「知らん。」コバルトさんが答える。


「さぁ、良く冷えたラガーもありますよ。」俺は其れを先生たちの前に差し出す。


「鬼か、君は!」コバルトさんが叫ぶが、俺はにっこりと答える。

「いえ、神の身代わりです。」


「くそぅ!」コバルトさんが叫んで、金鶏とラガーの暴力にうっとりとしていた。

「まぁ、たまには良いんじゃないか?」俺は思う。


「うわぁ、このお味噌汁、凄く美味しい。」

「貝のお味噌汁は初めて。」


「おぉ、海辺の町で、人魚から買ったんだ。」俺は言う。

「へぇ~、人魚って本当にいるんだ?」孤児が言う。


「あぁ、普通に生活していたぞ。」俺はそう答える。


「いつか会ってみたいなぁ。」孤児がうっとりと答える。

「あぁ、大人になったらきっと会えるさ。」俺はその孤児の頭をなでながら言う。


 その孤児の頭がべたっとしていたのが気になり、コバルトさんにこっそり聞いた。

「風呂は月にどのくらいはいるんだ?」

「この孤児院には風呂なんてないので一度も入りません。」


「え? マジ?」

「はい。」

「うわぁ。」俺は孤児院を見る。


「ふむ、横に空間は有るな。」俺はその場所に行く。

「うん、排水にも問題はなさそうだ。」俺はその土地を見て思う。


「コバルトさん。」俺はコバルトに声を掛ける。

「何ですか?」


「ここに作っても良いですか?」

「はぁ? 何をですか?」

「お風呂を。」

「はぁ? 何を言っているのですか?」

「ですから、お風呂を作っても良いですか?」


「ここは国有地ですから、国王の許可がいります。」

「あぁ、それならちゃんと貰います。」

「はぁ、それなら。」


「よ~し、言質取りましたよ。」俺はにっこりと笑いながら魔法を使う。


「その前に、ミロク。」

「クフフ、何だい?」

「水源の位置が解るか?」

「くふふ、さっきの土地なら地下に30mも掘ればどこでも出るよ。」

「そうか。」俺は地魔法で穴を掘っていく。


 穴の周りはちょっとやそっとでは壊れないように固くする。

 暫く掘ったら水源に当たったのか、水が湧き出し始めた。


「よ~し、水源確保。」俺はニンマリとする。

「このまま地魔法で建屋を作っていく。」俺は地魔法を駆使して風呂を作っていく。


「うわぁ、凄い!」

「ムサシ様、かっけぇ。」

「うわぁ、魔法って本当にすごい。」孤児たちがご飯を食べながら感想を言う。


「旅の途中じゃ、水源迄見つけるのはやりたくないからやらなかったけど、ここなら可能だもんな。」俺はそう言いながら作業を続けた。


「ピロン。」

「を、スキルが増えたかな?」俺はそう言いながら、自分のステータスを見た。


名前  :ムサシ。

 ジョブ :神の身代わり レベル133

 生命力 :724 一般成人男性の平均は15

 力   :830 一般成人男性の平均は10

 魔力  :999 魔力適正者の平均は30

魔法適正:有り

 使用魔法:4大属性魔法 (火、水、地、風)、天、闇、時、空間、?

スキル :剥ぐ者、統べる者 威圧 料理人 創造者

 耐性  :炎無効 水及び氷無効 土魔法、大地魔法無効、風魔法、暴風魔法無効、毒無効、麻痺無効、精神障害無効、幻術無効、石化無効、汚染無効、即死無効、呪い無効、時魔法無効、睡眠耐性、飢餓耐性、排泄耐性、水分補給耐性


「創造者?」

「くふふ、物を作り出すスキルだね。」

「へぇ、おあつらえ向きだ。」俺はそう言いながらそれを作る。


「くふふ、それは何だい?」

「水をお湯にする魔道具だ。」俺は魔石を組み込んだその魔道具を水源の途中に組み込んだ。


「男湯と女湯に分けて、浴槽に排水用の蓋を付けて表に流せるようにして。」俺は作業を進めていく。


「洗い場はタイル張りにして、シャワーも付けよう。」俺はどんどん進めていく。

 コバルトさんたちが、脅威を見るような眼をしているが、無視しよう。


「洗い場と脱衣場はドアで仕切って。」

「脱衣場は少し広めにする。」


「換気のために、屋根と壁の間は隙間を開けて。」俺はどんどん進める。


「明り取りの窓ははめ殺しにして。」

「明かり用の魔道具も作るか。」俺は魔石を利用した明かり用の魔道具を作る。


「点灯しっぱなしじゃあれだから、明かりを感知して消灯するようにしよう。」

「くふふ、最早売れるレベルの物を作っているような気がするよ。」

「そうか? 普通だろ。」

「くふふ。」


「よし、出来た、後は桶と脱衣籠も作る。」俺は地魔法を駆使してそれを作っていく。

「石鹸は最初は寄付だな。」俺は石鹸をそこに数個出す。


「早速浴槽にお湯を溜めるか。」俺は魔道具を起動する。


「うん、良い具合だ。」俺は自分の作業に満足して言う。


「あ、あ、あ、ありえない物を見ました。」コバルトさんがぼそりと言う。


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