塩焼き
実は、コロナとインフルエンザがダブルで陽性になりました。
週の前半は39度越えの熱を出して寝込んでいました。
なので今回は短いです、ごめんなさい。
「対価は、海老を1年間無償提供。」人魚が言う。
「あぁ、其れで良いや。」俺はそう言って情報を提供する。
「海老にも種類があってな。」俺は言う。
「あぁ、人間たちはそう言うな。」人魚が答える。
「さっき食べたのは、刺身に向いた海老だ。」俺が言う。
「成程。」人魚が答える。
「牡丹海老は、さっきと同じように刺身で食べても、塩焼きにしても美味い。」俺が言う。
「塩焼き?」
「車海老は刺身より、塩焼きかエビフライが良いな。」
「エビフライ?」
「ここには無かったが、伊勢海老なんかは刺身もいけるし、焼いても美味い。」俺は姉御から教わった知識を披露する。
「くはぁ。」その人魚が手をつく。
「人間たち教えてくれよ。」
「いや、俺と姉御しか知らない情報かもな。」俺が言う。
「前にも言ったけど、そんな秘匿情報を公開しても良いの?」人魚が言う。
「ははは、美味い物を食いたいだろう?」俺が言う。
「あぁ、あんたは良い奴だとわかる。」人魚が言う。
「んじゃ、そう言う事だ。」俺は言う。
「ははは、本当にあんたは良い奴だな。」人魚が言う。
「で、何を知りたい?」俺は人魚に聞く。
「塩焼きとエビフライ。」人魚が答える。
「ははは、だよなぁ。」
「んじゃ。エビを提供しろ。」俺は言う。
「さっきあんたが全部買った、ってそう言う事か。」人魚が言う。
「みんな、海老を確保!」
「あいよ。」
「任せな。」人魚たちが海に潜っていく。
「あれ~、手持ち無沙汰になった。」俺は思う。
ふと思って、俺は目の前の人魚に聞く。
「お姉さん。」
「何だい?」
「この店の隣の土地は誰のものだ?」
「あぁ、あたいらの物だけど。」
「あぁなら少し借りても良いか?」
「別に良いけど何をするんだい?」
「ちょっとな。」俺は表に出て隣に向かった。
「ふむ。」俺はその土地を見る。
「此れなら大丈夫か。」俺は地魔法を使って隣の店と同じような店を作り始める。
「まず、外観を作る、少し大きめにするか。」俺はそう思いながら店の外観を作っていく。
「お兄さん、マジで何を作っているんだい?」
「店だ。」
「そして、床を平らにして、竈と調理場を作る。それから揚げ物の場所も作る。」俺は其れを実行する。
「後そうだ、俺は店の片隅に枠を作ると、それを探しに表に出た。」
「くふふ、何を探しているんだい?」
「スライムだ。」俺は川が海に入る岩場を探した。
「おっ、いたぞ。」俺はミロクにそれを持ってもらった。
「ここにこいつをいれる。」さっき作った枠の中にスライムを入れた。
*********
「獲ってきたよ~、って何だいこれは?」帰ってきた人魚が驚愕する。
「臨時で調理場を作った、終わったら無くすよ。」
「いやいやいや、そんな勿体無い!」人魚が言う。
「え~、俺が勝手に作ったものだし。」
「いいから、処遇はあたしらに任せな。」
「そう言う事なら。」俺はしぶしぶ納得する。
「んじゃ、気を取り直して、塩焼きからだな。」俺は人魚たちが獲ってきた海老を見る。
「車海老が多いな、んじゃこれを使おう。」
「まず、海老を氷水に漬けて暴れないようにする。」
「ほぉ。」
「で海老が大人しくなったら、口先と尻尾の先を包丁で切り落とす。」俺は実行する。
「何故?」
「棘があって、刺さると痛いからな、尻尾は水分があるからだ、後でフライの時に教える。」
「そして、車海老の背ワタを取る。」俺は車海老の背ワタを取る。
「なんで?」人魚が聞いて来る。
「まずいからな。」俺は答える。
「え? まずいの?」
「あぁ、舌触りがざわざわして味もえぐい。」俺は答える。
「マジかぁ。」人魚が言う。
「これをしないとするとじゃ味に雲梯の差があるぞ。」俺は言う。
「まじで?」人魚が驚愕する。
「俺は嘘を言わないぞ。」俺が人魚に言う。
「あぁ、あんたは本当の事しか言わないのは解っているよ。」人魚が言う。
「後は塩を振って網で焼くか、フライパンで焼くかだが、今回はフライパンで焼く。」俺は竈にフライパンを乗せ、油を引く。
「フライパンが温まったら、海老を投入、この時暴れて飛び出す事もあるから注意な。」
「へぇ?」
「で、小さめの蓋を落とし蓋代わりにして海老を焼いていく。」
「ふむ。」
「たまに蓋を取って、塩を振りかける。」
「ほぉ。」
「両面焼けたら完成だ。」
「少し冷ましたら、ぱりぱりと皮を剥いていき、塩を振りかけてレモン汁を絞るか、醤油をちょいとかけて食べる。」俺はそう言いながら、さっき買った海老を焼いたものにレモンを絞って塩を振り、ミロクの口元に持っていく。
「ぱくり!」
「うん、美味しい。」ミロクが幸せそうに言う。




