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王都の孤児院

「オークションの結果が出ました。」リーンが言う。

「おう。」


「神龍の皮は国王様が30000Gで落札しました。」リーンが言う。

「あんなもん何に使うんだ。」

「軽くて丈夫な皮鎧になります。」

「へぇ。」

「兵士100人分ぐらいは製造できるんではないでしょうか?」

「ガキーンは入札しなかったのか?」

「されていましたが、競り負けました。」

「ふ~ん。」


「でも骨はガキーン様が同じく30000Gで落札されました。」

「骨は何に使うんだ。」

「削りだして、武器にします。」

「へぇ。」

「くふふ、龍骨刀と言って、龍の鱗も切り裂く武器になるよ。」

「そうか、俺も一本買おうかな。」

「くふふ、君には天叢雲剣を貸してあるじゃない。」

「まぁそうなんだけどな。」

「くふふ。」


「そして、神龍の肉なのですが。」

「あぁ。」

「精力剤になるそうなので、1Kg100Gで売りに出したところ、貴族の方々が我先にと買っていきました。」

「はぁ、そうなんだ。」


「え? 1Kg100G?」俺は反射的に思う。

「何Kgあったんだっけ?」


「3000Kg程かと。」リーンが答える。

「かはぁ。」俺はめまいに襲われる。


「どうしました、旦那様?」リーンが俺に聞く。

「300000Gって事ですよね。」俺は聞く。

「あぁ、そうですね。」リーンが事もなく言う。


「まぁ、マンモスの時よりは少ないか。」

「手数料を引いて299700Gを振り込みます。」


「いや、500G分だけ100Bコインでくれないか、100Gずつ袋に入れて。」

「構いませんよ、今用意しますね。」リーンはてきぱきと処理してくれる。

 俺は其れをミロクに持ってもらった。


「これからどうするのですか、旦那様。」リーンが微笑みながら聞いて来る。

「王都に行って来る。」


「そうですか、お気をつけて。」リーンに見送られて組合を出た。


*********


「ここが王都の孤児院か。」俺は、ボロっちいレンガ造りの家の前に立っている。


「ふむ、意外に広い庭があり、孤児たちも元気そうにしているな。」俺は孤児院の庭を見て思う。


「お兄ちゃん誰?」一人の孤児に話しかけられた。

「あぁ、俺はムサシだ、先生はいるか?」俺はしゃがんで言う。


「寮母先生?」孤児が聞いて来る。

「あぁ、そうだ。」俺は答える。


「こっち。」孤児が俺の手を持って孤児院に入っていく。


「ここの教育大丈夫か?」俺は不安に思う。

 見ず知らずの男を招き入れるとか。


「寮母先生、お客様連れてきた。」その孤児がそこにいた者に声を掛ける。


「あら、ご苦労様。」寮母先生と言われた女が答える。


「やばい!」俺は全身で危険を感じ取る。

「気を抜いたら一瞬で殺られる。」俺は冷や汗をかく。


「あらあら、初めまして、この孤児院にどのような?」寮母先生が言う。


「あ、あぁ、俺はムサシと言う、この孤児院に寄進に来た。」俺は組合のカードを見せながら言う。

「まぁ、神の身代わり様ですか、お噂はかねがね聞いております。」寮母先生が言う。


「と、とりあえずこれをお納めください。」俺はミロクから100G分のコインが入った袋を貰ってそこに差し出す。


「あらあら、これは、貴方にミロク神様のご加護がありますように。」寮母先生が言う。


「この孤児院は、ミロク神聖協会が運営しているのですか?」俺は聞く。

「いえ、この孤児院は王立です。」寮母先生が言う。


「王立?」

「はい、国王様が自費を投じて経営しております。」寮母先生が言う。

「アルゴンが?」俺は思わず口にする。


「その言葉は不敬罪ですね。」寮母先生の雰囲気が変わる。


「いや、待て、待て、アルゴンからそう言われているんだ。俺はアルゴンの友だ!」俺は言い訳をする。

「まだ言い続けますか。」寮母先生から殺意が溢れ出す。

 どこから出したのか、その手には剣が握られている。


「まて、俺はカリナ王女と婚約している。」

「それと国王様のファーストネームを呼び捨てにする事に関係は。」寮母先生が何かに気付く。


「まさか、国王様から通達のあった神の身代わりとは?」

「多分俺だ。」


「失礼いたしました。」寮母先生が跪く。


「解ってくれて良かった。」俺は溜め息を吐く。


「私は王国騎士団、第9親衛隊の団長、コバルトと申します。」コバルトが剣を収めて俺に膝まづく。


「解ってくれて何よりです。」


「で、この孤児院は、アルゴンが息をかけているから順調なのですよね?」俺は聞いた。


「順調ではありません」コバルトが言う。

「何と?」俺は聞き返す。


「国王様は孤児院に潤沢な資金を送ってくれるらしいのですが、途中で貴族が中抜きをしているようなのです。」

「アルゴンに進言すればいいではないですか。」


「貴族たちは誤魔化しが上手いのです。」コバルトが言う。

「はぁ、それは俺の仕事みたいですね。」俺は溜め息をつく。


「え? ムサシ様?」コバルトが疑問に思う。


「中抜きしている貴族をどうにかしろと言う事ですね。」俺は笑いながら言う。

「え? え?」コバルトが挙動不審になる。

「アルゴンに会ってきます。」俺はそう言って王城に向かった。


*********


「アルゴンに面会をしたい。」俺は王城の門番に言う。

「どわぁ、む、ムサシ様、いらっしゃいませ。」俺の顔を知っている門番が慌てながら言う。


「ご案内いたします。」門番が俺を先導する。

「許可を取らなくて良いのか?」俺は門番に聞く。


「国王様より、ムサシ様が来られた場合はそのまま案内せよとのご命令が出ております。」門番が答える。


「はぁ、アルゴン。 それで良いのかよ。」俺は心で突っ込む。


*********


「陛下、ムサシ様をご案内いたしました。」


「おぉ、これは、これは、ムサシ様、ようこそ!」アルゴンが俺を招いて言う。

「あぁ、アルゴン久しいな。」俺はアルゴンの肩を持って言う。

「おぉ、恐れ多い。」アルゴンが跪く。


「アルゴン、そう言うのは駄目だろう。」

「はぁ、そうでした、ムサシ久しぶりだな。」アルゴンは何かを思い出して俺に対応をする。


「して、今回はどのような?」アルゴンが俺に聞く。

「あぁ、お前が運営している孤児院について聞きたい。」俺が言う。

「はぁ? 孤児院ですか?」


「あぁ、そうだ。」

「何か問題でも?」


「お前が出した孤児院の予算を中抜きしている奴がいるらしい。」

「何ですと!」


「心当たりは有るか?」

「申し訳ありません。」アルゴンが頭を下げる。

「では、罠を仕掛けるか。」俺は言う。

「罠ですか?」アルゴンが問う。


「臨時で孤児院に寄付をすると通達しろ。」

「成程。」アルゴンは嬉しそうに言う。


「誰ぞあるか?」アルゴンが声を上げる。

「お傍に。」国王の暗部が答える。


「孤児院に食料と運営費を送る。」

「御意。」その存在が消える。


「アルゴン、流石だな。」俺は言う。

「ムサシ様にお褒めいただき恐悦至極。」アルゴンが俺にひれ伏す。

「やめろよ。」俺はそう言いながら貴族たちのもとに向かった。


*********


「これは王立の孤児院に送る物資ですよね。」王兵が言う。

「あぁ、だけど今回は違う場所に送る。」別の王兵が言う。

「そんな事をして大丈夫なんですか?」前の王兵が言う。

「大丈夫だ、上は馬鹿だからな。」別の王兵が言う。


「大丈夫な訳無いだろう。」俺が言う。

「げぇ、どこから?」


「全部見させてもらった、お前はアウトな。」俺は一人の王兵に言う。

「なぁ。」


「あぁ、逃げたらその場で殺す、神妙にしろ。」俺はその王兵に言う。

「あああ。」その王兵が狼狽える。


「さて、お前に命令をしていた貴族を吐けば楽になるぞ。」俺はその王兵に言う。


「言えない。」その王兵が言う。

「ほぉ、拷問が好みか。」俺が言う。


「隷属の魔法がかかった首輪をつけられている。」その王兵が言う。

「はぁ、首輪か。」俺はそう言いながらその男の首輪を破壊する。


「なぁ?」

「これで答えられるだろう?」俺が言う。


「あぁ、グヤトーン男爵だ。」王兵が言う。

「グヤトーン男爵?」俺は疑問に思う。


「下位の貴族です。」傍にいた王兵が教えてくれる。

「下位?」


「そんな奴がこんなことを出来るのか?」

「王兵に干渉できるのであれば可能かと。」


「王国は大丈夫なのかよ。」俺は思う。


「とりあえず、グヤトーン男爵家を包囲しろ。」俺は王国兵に指示する。

「は!」王国兵が俺の指示でグヤトーン男爵家を取り囲んだ。


「はぁ、何で俺が。」そう思いながらグヤトーン男爵家に向けて通告する。


「降伏しろ、今降伏すれば楽に死ねるぞ。」

「くふふ、脅し文句だよ。」

「本当の事だからな。」

「くふふ。」


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