ナーガ
「くふふ、ナーガは石化のスキルがあるよ。」ミロクが言って来る。
「お前たち、ナーガは石化のスキルが有るらしい、ここで待っていろ。」俺は二人に言う。
「石化?」
「ムサシ様は大丈夫なのか?」
「俺は、石化耐性がある。」そう言いながらドアを潜った。
「ははははは、懐かしい気配だ!」部屋の奥でナーガが言う。
「おぉ、初めましてだな、俺はミロク神より『神の身代わり』を仰せつかった『ムサシ』と言う、以後お見知りおきを。」俺は片膝をついて言う。
「ははははは、良くできた従者だ。」ナーガが言う。
「さて、早速だが、神気を返してくれないか?」俺が言う。
「無理だな、既に我の魂に融合している。」
「はぁ、んじゃ、死んでくれ。」俺が冷たく言う。
「断る、まだ死ぬわけにはいかん。」ナーガが答える。
「俺の知った事じゃない。」俺は冷たく言い放ち天叢雲剣を抜く。
「我に仇名すか?」ナーガが吠える。
「あぁ、死んでくれ!」俺は天叢雲剣を構えながら走る。
「小童が!」ナーガが俺に攻撃を加える。
「甘い。」俺はそれを受け流す。
尻尾の一撃は受け流すことができた、だがその後上半身の攻撃を受けてしまった。
「ぐはぁ。」俺は弾き飛ばされる。
「ははははは、その程度かい?」ナーガが俺を見て笑う。
「はぁ、んじゃ、本気で行くぞ。」俺は闘気を全開にする。
「ぐはぁ、尋常じゃない闘気か。」ナーガが苦しそうだ。
「さらに雷魔法だ!」俺はナーガに稲妻を落とす。
「はぎゃぁぁぁぁ!」ナーガが叫ぶ。
「もう一発だ!」俺は再び稲妻を落とす。
「がはぁぁあ!」ナーガが悶絶している。
「そろそろ楽になるか?」俺は聞く。
「ふはははは、笑止!」ナーガが俺に攻撃をしてくる。
「はぁ。」俺は溜め息をつきながらその攻撃を受ける。
その力のない攻撃は、俺に届かなかった。
ナーガは既に死んでいた。
「はぁ、解体は後ろの二人に任せれば良いかな。」俺が思うと、部屋の雰囲気が変わった。
「くふふ、本来のダンジョンの主が現れるよ。」ミロクが言う。
「何だと。」俺は驚愕する。
「くふふ、来るよ。」
「ぐもぉぉぉぉ!」現れたのは、キングミノタウルスだった。
「何だ、その程度か。」俺は落胆する。
でも気を取り直した。
「マスターミノタウルスより美味いんだな。」
「くふふ、そうだね。」
「なんか現れてから、叫んでいるだけなんだが、攻撃しても良いのかな?」
「良いんじゃない?」
「んじゃ、てい!」俺は瞬歩で間合いを詰め、キングミノタウルスの首を天叢雲剣で切る。」
何の抵抗もなく、キングミノタウルスの首が落ちた。
「マジか?」俺は疑問に思う。
「くふふ、このダンジョンが君のレベル以下って事だよ。」
「はぁ、考えたら負けってやつだな。」
「くふふ、そうかもね。」
「はぁ。」俺は溜め息をつきながら、ドアの前にいる二人に声をかける。
「終わったから、入って良いぞ。」
「旦那、マジで大丈夫か?」
「マジで平気?」アデルとルチアが聞いて来る。
「大丈夫だ、入ってこい。」俺は二人に言う。
「おじゃま~。」
「何だよ、普通に入って来いよ。」俺は二人に言う。
「ダンジョン踏破ですよ、普通じゃないです。」
「あたしらも初めてです。」
「そうか、良かったな、箔が付いて。」
二人は其処にいた獲物に驚愕する。
「なななナーガと、キングミノタウルスですか?」
「あぁ、そうだ。」
「ナーガとか初めてです。」
「キングミノタウルスは、ミノタウルスと変わらないです。」素材を解体しながら二人が言う。
「うっす、解体終わったよ。」
「キングミノタウルスは舌も素材だぞ。」
「え? 初めて聞いたよ。」
「あぁ、組合案件だ。」俺は二人に言う。
「解ったよ。」二人はキングミノタウルスの舌も確保した。
「ダンジョンコアを壊さなければ、またダンジョンの主が復活するんだよな。」俺はそう言いながら、ダンジョンの出口に向かう。
「マジでムサシ様、ぱねえ。」
「ダンジョン踏破の箔、ごちです。」二人が言う。
「あぁ気にするな。」俺はそう言いながら二人のギルドに向かった。
「くふふ、凄くいっぱい戻ってきた。」ミロクが嬉しそうに言う。
「よかったな。」
「ん? 何ですか旦那?」
「独り言だ。」
「そうですか。」
*********
「帰った~。」ルチアが間延びした声で帰還を告げる。
「お帰りなさいルチア、守備はどうでした?」受付のお姉さんが聞いて来る。
「凄かったぜ、旦那の奴最下層迄踏破しちまった!」ルチアが興奮気味に言う。
「はぁ? ダンジョンに潜って2時間もたっていませんよ、冗談を言うのはやめてください。」受付のお姉さんが怒りながら言う。
「俺も証言するぜ、ムサシ様は最下層迄踏破した。」アデルも言う。
「偽証すると、資格を剥奪しますよ。」受付のお姉さんが怖い顔で言う。
「確認してくれ。」俺はギルドカードを差し出す。
「こほん、では。」受付のお姉さんが端末にカードを差し込んで顔色を変えた。
「何ですか、この討伐記録は?」受付のお姉さんが俺に詰め寄る。
「事実だ。」俺は冷たく言う。
「オークロード68、ミノタウルス37、マスターミノタウルス25、マスターオークロード38、マスターコカトリス34、そしてナーガとキングミノタウルス各1?」受付嬢がわなわなと震える。
それを聞いていた周りの者たちも唖然としている。
「きしし、凄いだろう。」ルチアが嬉しそうに言う。
「かっ、はっ。」受付嬢が目眩を起こした。
「おい、大丈夫か?」俺は回復魔法を唱えながら受付嬢を抱きとめる。
「し、失礼いたしました、このまま私を貰って下さい。」受付嬢が戯言を言うので、俺は手を離した。
「ごちん!」受付嬢の頭が組合の床に叩きつけられる。
「ぐわぁぁ。」およそ女性と思えない言葉を受付嬢が吐く。
「冗談はその位にしろ。」俺は冷たく言う。
「ごほん、失礼いたしました。」受付のお姉さんが何もなかったように答える。
「とりあえずこの二人に報酬を払いたい。」俺が言う。
「はい、承りました、二人の振り込みは。」受付のお姉さんが固まる。
「あの、魔物の配達は無いのですが?」受付のお姉さんが言う。
「あぁ、今回は全部俺が持った、彼女らへの報酬は解体の分だけだ。」俺が言う。
「二人とも、104体を解体してくれたから、ボーナス込みで110Gを二人の口座に振り込んでくれ。」俺は受付のお姉さんにカードを渡しながら言う。
「マジかよ旦那!」
「嬉しすぎる!」
「あと、ミノタウルスを1体ずつ二人に渡す。」俺が言う。
ミノタウルスは1Kgが5Gだ。
渡したミノタウルスは、それぞれ10Kgあったから一人50Gだ。
「旦那、次も指名してくれ!」
「他の仕事は旦那以外受けないぞ。」ルチアとアデルが俺に言って来る。
「ははは、次が有ったらよろしく頼むな。」俺はそう言いながら組合を後にする。
「くふふ、色男。」ミロクが俺に言って来る。
「? はぁ?」俺は疑問に思う。
「くふふ、刺されないようにね。」ミロクが言うが俺には解らなかった。
*********
リーンの所にやってきた。
「リーン。」俺はリーンに声をかける。
「まぁ、旦那様、お帰りなさい。」リーンは嬉しそうに、カウンター越しに俺の首を抱く。
「ちっ、リア充爆発しろ!」
「もげる呪いをかけてやる。」
周りにいる男たちが俺を睨んでくるが無視だ。
「今回はどのような?」リーンが期待を込めた目で俺を見る。
「あぁ、ナーガはデフォだ。」俺はそう言いながらナーガをミロクから貰おうとする。
「ちょ、待ってください! あちらの方に。」リーンが言う。
「あぁ、そうだったな。」俺は納品場所に行く。
「出してもいいか?」
「はい、存分に、いっぱい出してください。」
「卑猥に聞こえるのは、俺の心が汚れているからか?」
「なんの事でしょう?」
「いや、何でもない、出すぞ。」俺はミロクからナーガを貰う。
「まぁ、これは立派な!」リーンはそう言いながらナーガを仕舞う。
「これはオークションです。」
「だよな。」
「他に納品するものは?」
「今から言うから、欲しい物を言ってくれ。」
「解りました。」リーンが答える。
「オークロード、ミノタウルス、マスターミノタウルス、マスターオークロード、マスターコカトリス、キングミノタウルスだ。」俺が答える。
「はぁ?」リーンが狼狽える。
「何でそんなものが納品できるのですか?」リーンが俺に詰め寄る。
「王都の肉ダンジョンを踏破した。」俺はあっけらかんと言う。
「はぁ? ダンジョンを踏破?」リーンが米神に青筋を立てながら言う。
「あぁ。」
「はぁぁ、何をやって、いや、別に良いんですけど。」リーンがため息を吐く。
「?」
「第3王女殿下を嫁にするお方は、この程度は朝飯前ですよね。」リーンが何かを思って言う。
「どうした?」
「いえ、ミノタウルスと、マスターコカトリスを一体づつ納品してください。」リーンが言う。
「え? それだけで良いの?」
「はい、ここの組合ではそれを捌くのが精一杯です。」リーンが言う。
「え? マンモスはあれだけ売れたのに?」
「このあたりの貴族は、あまり美食に興味はありませんから、マンモスが売れたのはステータスのためですよ。」リーンが言う。
「今俺が持っている食材はステータス的に足りないと?」
「はい。」
「んじゃ、国王に丸投げして、残りは俺たちで食うか?」俺はリーンに言う。
「それが良いかもです。」リーンが言う。
「そうするわ。」俺は王国に戻った。
*********
「アルゴンに面会を頼む。」俺は門番に言う。
「なぁ? ううう、承りました、此方へどうぞ。」門番が狼狽えながら俺を先導する。
そして、そのまま執事に引き継いだ。
「どうぞ此方へムサシ様。」執事が俺を国王の居る所に連れていく。
そして、騎士が守るドアの前に到着する。
「ムサシ様をご案内いたしました。」執事が恭しく報告する。
「入れ。」ドアの奥から声がする。
騎士二人が、ドアを押し開ける。
俺は、それを潜った。
「おぉぉぉ、ムサシ様、御尊顔を拝謁できて恐悦至極!」国王が俺にすり寄る。
「アルゴン、前にも言ったが、親友にそう言う態度をとるのか?」俺は冷たく言う。
「はぁ、そうでした、これは失敬。」アルゴンは起き上がり俺に両手を広げる。
「ムサシ、よく来たな。」
「あぁ、其れで良いよ。」俺はにやりと笑いながら言う。




