マンモス
グロいシーンがあります。
苦手な方はお戻り下さい。
「次の獲物は何処だ?」俺はミロクに問う。
「くふふ、王都から馬車で5日程行った先にいるよ。」
「あぁ、俺が全力で走れば2時間か。」俺が言う。
「くふふ、そこにいるのは筋肉馬鹿だよ。」
「筋肉馬鹿?」
「くふふ、話は通じないからね。」
「うわぁ、実力行使?」
「くふふ、否定しない。」
「いやだなぁ。」俺はそう言いながら、王都の西の門から対象のいるところに走る。
*********
食べられるお肉は、勿論狩ったよ。
「金鶏が多いな、コカトリスもそれなりだった。」俺はそれらを処理しながら言う。
「くふふ、もう少し行けば獲物のテリトリーだよ。」ミロクが嬉しそうに言う。
「話が通じないのは嫌だな。」。
「くふふ、残念。」ミロクが言う。
「何だよ!」俺が言う。
「見つかった。」ミロクがにこやかに言う。
「なんで?」
「くふふ、ムサシのせい。」
「え? 俺?」
「闘気を抑えていないから?」
「うわぁ、忘れてた!」俺は今気づく。
「わははは、そこのお前、此処は我のテリトリーだ。」その存在、マンモスが言う。
「おぉ、話せるんだ。」俺は狼狽える。
「我のテリトリーに入ったことを後悔するが良い!」俺はいきなり踏み潰された。
「ぐはぁ、きついな!」俺はそれを耐えた。
「何だと、我の踏みつぶしを耐えるか?」マンモスが言う。
「警告も無しに踏みつぶすとか、俺に対する敵対行動で良いよな?」俺はマンモスに言う。
「なぁ、我の踏みつぶしを耐える貴様は何だ?」マンモスが言う。
「俺は、神の身代わりだ、神に代わってお前の神気を貰いに来た。」俺は半身を構えて言う。
いや、昔姉御から聞いた漫画に影響されただけだ。
「くふふ、ジョジョポーズ?」ミロクが俺の心を抉る。
「黙れ!」
「くふふ。」
「さて、神気を返してもらおうか。」俺はマンモスに言う。
「我の踏みつぶしが効かないお前が言うのだ、返したいのはやまやまだが返す方法がわからない。」マンモスが言う。
「くふふ、融合しちゃっているね。」ミロクが言う。
「融合?」
「魂レベルでくっついちゃっている。」
「はぁ?」
「つまり返してもらうには。」ミロクが真顔で言う。
「返してもらうには?」俺が復唱する。
(くい。)ミロクが右手の親指を立てて、首を横に切る。
「はぁ、それしかないか。」俺は溜め息をつく。
「俺はお前を殺す。」俺は宣言する。
「ぐはははは、面白い、我を滅せるのならやってみろ!」マンモスがその巨体を躍らせる。
マンモスがその鼻を俺に振り下ろす。
俺は、その鼻を受け止めて、そのまま鼻を持ってマンモスを振りぬいて投げた。
「どっせ~い!」
「なぁ、3000Kgある、我の体を投げるのか!」マンモスが驚愕しながら飛んでいく。
森の木々を倒しながら、マンモスの巨体が森の中に消える。
「さ~て、狩るか。」俺は天叢雲剣を抜いて言う。
「くふふ、あまり知られていないけど、マンモスの鼻は美味しいよ。」ミロクが言う。
「おし、まず確保だな。」
「あと、体の肉はもちろん、毛皮も高く売れる。」ミロクが言う。
「う~む、やる気が出てきた。」俺は首をコキコキ鳴らしながら言う.
「そして、これは珍味になるけど。」ミロクが溜めて言う。
「マンモスの脳味噌は食通の間で高値で取引されているよ。」
「おし、すっぱり狩ろう!」俺が言う。
「我を投げ飛ばすとは、なかなかやるな!」マンモスがふらふらになりながら戻ってきた。
「う~ん、最初から天叢雲剣を使ったら、毛皮が痛むか。」俺はそう言いながら倹を鞘にしまう。
「おし、決めた。」俺はそう言うと、マンモスに向かい駆け出す。
「何をする気だ?」マンモスが聞いてくるが俺は無視した。
そして、マンモスの鼻を持つと、一気に一本背負いを掛ける。
「どっせ~い!」
「ぐをぉ!」マンモスの巨体が浮き上がる。
俺は、鼻から手を放さず、マンモスを地面にたたきつけた。
「ずし~~ん!」地面が揺れる。
「ぐはぁ!」マンモスは背中から叩きつっけられて、自分の体重でダメージを受ける。
「もう一丁!」俺はもう一度マンモスを投げつける。
「ずし~~ん!」再び地面が揺れ、骨が折れる音が聞こえる。
「ぐはぁ!」
「まだまだぁ!」
「ずし~ん!」
「ぐばぁ!」
*********
「数回目で、終わりが来た。」
「ずし~~ん!」
「・・・。」
「死んだかな?」俺は天叢雲剣を抜き、マンモスの首の血管を切った。
「ぶしゃ~。」首から血が噴き出す。
俺は地魔法を駆使して、マンモスを逆さ刷りにする台を作り、それを実行した。
「くふふ、牙が折れなくてよかったね。」ミロクが言う。
「あぁ、そういう風に叩きつけたからな。」
「脳味噌を持ち歩くのは骨だから、首事にするか。」俺はそう言いながら首を切り落とす。
「おっと、鼻は別に切り取って。」俺は鼻を切る。
鼻と首はミロクが持ってくれた。
「首だけで、オーク4頭分ぐらいあるから凄いよな。」俺はそう言いながら、時魔法でマンモスの時間を早めて血抜きを進めた。
「くふふ、血が出なくなってきたから、解体しようか。」ミロクがニコニコしながら言う。
「神気は戻ったのか?」
「くふふ、いっぱい!」ミロクがにま~って顔をして言う。
「そうか、良かったな。」俺はサクサクと皮を剥いでいく。
「うへぇ、縦横15mぐらいあるよ。」俺は剥いだ皮を見て言う。
「くふふ、幾らになるのかね。」そう言いながらミロクが皮を持つ。
「ははは、知らない。」俺はそう言いながら腕を間接で切っていく。
2mの肉の塊が4個になった。
「う~ん、本当に美味いのか?」俺は肉を少し切り取り、火魔法で焼いて塩を振って口に入れる。
口の中に脂の旨味が広がった。
「オークキング、いや、それ以上だ。」俺は思わず口にする。
「くふふ、狡い。」ミロクが恨めしそうに俺を見る。
「ほれ、ミロク、あ~ん。」俺は焼いた肉をミロクの口元に差し出す。
「ぐぬぬ、酷いことを。」そう言いながらミロクは肉を口に入れる。
「あれ?」
「おっ!」
肉が無くなっており、ミロクが美味しそうな顔をする。
「食べられたのか?」俺はびっくりしながら口に出す。
「くふふ、そうみたいだよ。」ミロクが本当に嬉しそうに言う。
「よかったな。」俺は笑いながら言う。
「くふふ、うん。」ミロクは涙を流しながらしんみりという。
「さて、解体の続きだ。」俺はそう言うと、解体を進めた。
肩肉、胸肉、腹身、足の肉も2mが4本、内臓も全部ミロクに持ってもらった。
「どこに納品しようか?」俺はミロクに聞く。
「マンモスの皮は、鞣してコートを作れば防寒に優れた装備になるよ。」
「ふむ。数人分しか作れないな。」
「クフフ、そうだね。」
「んじゃ、リーンだな。」
「それが良いかもね。」
「肉は、国王に少し分けてあげれば喜ぶんじゃない?」
「うん。」
「後は、リーンと相談して決めれば?」
「そうするか。」
俺は後始末をすると、王都迄駆け出した。
勿論、美味しいお肉は全て狩ったよ、当然じゃん。
*********
王都の入場待ちの行列に並んでいたら、数人の騎士が走ってきた。
「む、ムサシ様は彼方の門をお使いください。」騎士の一人が言う。
「え? 良いの?」俺は聞き返す。
「勿論です、国王陛下より申し賜っております。」騎士が敬礼をしながら言う。
「おぉ、ありがたい。」俺はその騎士の後に続いて、王族用の門を通った。
門を潜った俺は、その騎士に聞く。
「今、何人が当番している?」
「はぁ? 20名です。」騎士が答える。
「そうか、んじゃ、10羽もあれば足りるか。」俺はその騎士に金鶏を10羽渡す。
「なぁ、き、金鶏?」その騎士が狼狽える。
「鶏冠と足と内臓は生姜を入れて、砂糖と酒と醤油で煮込むと旨いぞ。」
「あぁ、腸は食えないからな。」
「いえ、頂けません。」騎士が俺に返してくるが、俺はそれを無視した。
「アルゴン、いや、国王には俺から話を通しておいてやるから、受け取れ。」俺は騎士の肩を叩いて言う。
「ありがとうございます。」そこにいた騎士たちが、俺に最敬礼をする。
「気にするな、あぁ、一つ頼みごとがある。」俺はその騎士に言う。
「何でしょう?」
「アルゴン、いや、国王にこれから行くと連絡をしてほしい。」
「はっ、畏まりました。」
「んじゃ、頼むな。」
「はっ!」
俺は、ぶらぶらと王城に向かった。
途中に酒屋が有ったので、ガキーン用に強い酒を数十本買い込み、俺用にラガーやワインを十数本買い込んだ。
*********
「ムサシ様、この度のお運び、恐悦至極で御座います。」国王が膝をついて言う。
「アルゴン、お前は友達にそう言う態度をとるのか?」俺はそう言い放つ。
「なっ!」国王が俺を見て震える。
「ん?」俺は国王を見る。
「私を友と言って下さるのですか?」国王が期待をした目で言う。
「なんだよ、俺たちはマブだろう。」俺はそう言って国王の肩を持つ。
「おぉぉ、恐れ多い。」国王が涙目になる。
「あらあら、良かったですね、あなた。」王妃が羨ましそうに言って来る。
「いやだなぁ、セレン王妃、貴女も私のマブですよ、お嫌でなければ。」俺はにこやかに言う。
「私も宜しいのですか?」王妃が聞いてくる。
「ははは、私からお願いしたい位ですよ。」俺はにこやかに返す。
「あらあら、求婚されました、どうしましょう。」王妃が身をくねくねする。
「してませんから!」俺は王妃に突っ込みを入れる。
「あら~、振られてしまいました。」王妃がよよよと崩れ落ちる。
「お母さま、茶番はお止めください、ムサシ様は私の婚約者です。」カリナ様が俺の傍に着て言う。
「ムサシ様、私はどのような立場で?」レニウム王子が言って来る。
「義兄(兄さん)ではないですか?」俺が答える。
「わ、私を兄と言ってくれるのですか?」レニウムはその場で天を仰ぐ。
「こいつら、面倒くさい。」俺は思うが顔には出さない。
「今回はどのような?」国王が聞いてくる。
「あぁ、アルゴン、マンモスを狩ったから、お肉のお裾分けをしに来た。」俺は言う。
「ま、ま、ま、マンモスですか?」国王が狼狽える。
「なんと、マンモスの納品は数十年ありません。」宰相が答える。
「へぇ。」俺は受け流す。
「お裾分けですか?」国王が言う。
「あぁ、少し食ったら凄く美味かった、どの位欲しい?」俺は聞く。
「そんなに美味しかったのですか?」国王が俺に聞いてくる。
「あぁ、腕の肉だったが、オークキングを超える味だったぞ。」俺は国王に答える。
「むむむ、それでは10Kg、いえ20Kg程を。」国王が言う。
「解った、時間停止のマジックバックを持っている料理人を。」
「既に控えております。」国王が言う。
「おぉ、用意が良いね、んじゃ出すぞ。」俺は其処に100Kg程のマンモスの肉を出す。
「なぁ、入りきりません。」マジックバック持ちの男が言う。
「すぐに手配せよ!」国王が側近に指示する。
指示された側近はドアから出ていく。
俺は、残った肉をミロクに持ってもらう。
「ムサシ様、お戯れを。」国王が俺に言うが俺は返した。
「嫌だなぁ、求められたら5倍を渡すのが男気だろう。」俺は歯を光らせながら言う。
「おぉぉ、流石はムサシ様、感服いたしました。」
「あらあら、本当に。」
「ははは、我が弟は豪胆だ。」
「流石は私の旦那様です。」王族ずが、勝手に俺を讃えているが無視だ。
後で解った話だが、マンモスのお肉は部位にかかわらず1Kgが1000Gらしい。
つまり、俺は1000000G(日本円にして100億円)を献上した事になった。
国王の褒美が心配だ。




