解体タイム
「解体ターイム!」
「げぇ!」
「レッサーとは言え、ドラゴンはドラゴン、美味しい物ばかりだよ。」
「まず、頭の角を根元から!」
「俺のナイフじゃ、無理だよ。」
「そっか、んじゃこれあげる。」そう言いながら、ミロクが何処からか、40cm位の刀を取り出す。
「これは?」俺はそれを受け取り、抜いてみる。
「それは、天叢雲剣の小太刀だよ。」
「はぁ?」
「レッサードラゴン程度ならすいすい切れるよ。」
「マジか?」そう言いながら、角の根元に刃を当てる。
「げ!」何の抵抗もなく、角を切り取った。
「お~、流石、流石、じゃぁ、サクサク行こう!」
「お、おぅ!」
「皮は、鱗を付けた状態で剥いで。」
「あぁ。」剣が良いから、するする剥げる。
「ん~、肉は臭いから廃棄、足と腕の骨は、良い武器の材料になるから持っていく。」
「お~、でかいな。」肉をこそげながらその骨を持つ。
「太腿の骨も、脛の骨も2m近いな。」
「職人が、それを削って武器にするんだ。」
「ふ~ん。」
「爪と牙も、あぁ、爪は指毎でいいよ、牙も顔からそのままスパッと行っちゃえ!」
「うぉ~、途端にグロくなった。」
「最後に、心臓の横にある魔石!」
「ほい。」
「ん~、こんなもんかな。」
「はぁはぁ、疲れた。」
「んじゃ、残りは消滅するっと。」
ミロクが手を振ると、レッサードラゴンがチリになった。
「今回は、これで終わりか?」沢の水で手を洗いながら俺が言う。
「う~ん、そだね、終わりで良いかな?」
「助かったぁ。」俺はその場にへたり込む。
「よし、今日中に帰るよ。」
「へ?」
「門が閉まるのが、18時だから、後7時間、行ける行ける!」
「お昼ご飯は?」
「30分で食べ終えろ!」
「酷い!」そう言いながらも、オークの薄切り肉に、生姜と酒、砂糖と醤油を混ぜたタレに絡めて、フライパンで焼いていく。
「で、これを、そこらに生えてたヨモギと三つ葉と一緒に、パンにはさんで食べる。」俺は大きく口を開けて食べる。
「うみゃい!」
「ゴクリ。」生唾を飲み込むミロク。
「?」
「そ、それも、食べさせろ!」
「? あぁ。」
「絶対だよ!」
「あぁ。」そう言いながら、俺は食事を進めた。
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「キリキリ走る!」
「み、ミロクさん。」
「なに?」
「横っ腹がいたい!」
「知らないよ、走れ!」
「酷い!」そう言いながらも、俺は門に向かって全力疾走する。
勿論、立ちはだかる獲物は全部解体した。解体したよ。
「ぜはぁ~、ぜはぁ~、ぜはぁ~。」
「おぉ、閉門まであと1分だった、間に合って良かったな。」
「ぜはぁ~、ありがと。」そう言いながら門を潜る。
「ズズン!」という音を残して、門が閉じられる。
「疲れた。」
「いつものホテルに泊まるかい?」
「あぁ。」
俺は、いつものホテルにチェックインすると、そのままベットに倒れ込んだ。
「くふふ、添い寝タイム!」と言いながらミロクが俺の横に潜る。
「あれ?」
「スー、スー。」俺は一瞬で落ちていた。
「浄化!」
「ゆっくりとお休み。」ミロクの声がする。
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「ぷっは~、良い朝だ。」良く寝て復活した俺は、顔を洗って組合に向かう事にした。
「くふふ、楽しみだね。」
「何が?」
「買取。」
「あぁ、オーマケの驚愕する顔が目に浮かぶな。」
「くふふ。」
俺は、慣れたように組合のドアを開ける。
「いらっしゃいませ、げ!」其処にいたお姉さんが固まる。
「げ、は酷くないか?」そう言いながら、俺は買取カウンターに行く。
「がはは、今回は何を納品してくれるんだ?」
「はい、とりあえずこれを。」
「おぉ、なぁ?」
俺は、オーク肉を512頭分取り出す。
「これは?」
「オーク肉の良い所、512頭分だ。」
「おぉ、検分するぞ。」
「存分に。」
「なぁ、ここ以外にも食えるところがあるんだが。」
「金にならないから、捨てた。」
「かぁ~、勿体ねぇ!」
「重くて邪魔だ。」
「あぁ、狩人にはそうだなぁ」
「確認した、オーク肉5120kg、3072Gだ。」
「次は、オークの魔石514個。」
「ん? 肉の量と違うな。」
「あぁ、食ったからな。」
「マジかぁ、美味かったか?」
「それなりだった。」
「くそう、羨ましいぜ、オークの上肉なんか、何かの祝いの場でないと食えないぜ。」
「オークの魔石514個、257Gだ。」
「あぁ。」
「まだあるんだろう?」
「あぁ。」俺は、オーガの魔石24個とオーガの爪480個をそこに出す。
「ははは、想定内だな、オーガの魔石は24G、爪は48Gだ、」
「あぁ。」
「ん? まだあるのか?」
「あぁ。」俺はそこに、ミノタウルスの魔石45個、同じく皮45枚、肉450kgを置く。
「み。ミノタウルスだと?」
「?」
「此処数年、納品がなかったものだ。」
「ふ~ん。」
「ま、魔石が一個1G、肉が1kg1G、皮が1頭分5Gだ。」。
「おかしくないか?」ミロクが俺の声で言う。
「なんだ?」
「数年組合に納品されなかった物がその値段か?」
「うぅ。」オーマケが唸る。
「ミロク、良いよ。」
「え? でも。」
「組合が買取値段を間違えているなら、今後一切持ってこないから。」
「うん、解ったよムサシ。」
「待ってくれ、魔石は5G、肉も1kgが5G、皮は50Gだ。」
「其れで良いんだな?」
「あぁ、勿論だ。」
「次に、ウォーウルフの皮だ。」
「あぁ、1頭500Bだ。」
「其れで良い。」俺は24頭分の皮を取り出す。
確認した、良質だ12Gだ。
「おっけ~、最後の物だ。」
オーク肉の計算が間違っていたので訂正しました。