変なのに懐かれたが、全力で拒否した。
後半の妖狐娘が付いてくる描写を消しました。
拾えませんでした><。
「ムサシ様、国王様より謁見の申し入れがありました。」執事が言って来る。
「やっぱりおかしいよね。」俺が言う。
「いえ、国王様からの申し出です。」執事が言う。
「ふ~ん、では国王に答えてくれ。」俺が言う。
「この家に出向いてくれ。」
「ははぁ、申しつかわりました。」執事が俺に礼をして下がる。
「え?」俺は狼狽える。
「国王を呼び付けて良いの?」俺は思う。
「くふふ、気にくわない国王なら狩っちゃえ!」ミロクが言う。
「其れで良いの?」
「くふふ、問題ないかな。」ミロクがにっこりとほほ笑む。
**********
「ムサシ様、国王陛下がお付きになられました。」執事が言って来る。
「本当に来ちゃったよ。」俺はそう思いながら、国王を出迎える。
「おぉ、ムサシ様、御尊顔を拝謁でき、恐悦至極で御座います。」国王はそう言いながら、俺の前で膝を突く。
「いや、いや、国王様、お立ち下さい。」俺は国王に手を差し伸べる。
「おぉ、何と恐れ多い。」国王が感無量で泣き出す。
「いや、止めて。」俺は天を仰ぐ。
「くふふ、慕われているね。」
「国王様、お願いしますから、私には普通の対応をして下さい。」
「おぉぉ、ムサシ様がそうお望みなら、喜んで。」
「助かります。」
「それと、私の事はアルゴンとお呼びください。」
「はぁ? 国王様のファーストネームを呼べと?」
「勿論呼び捨てで構いません。」
「俺が構います!」
「えぇ、良いではないですか?」
「国王様、俺がそれをやったら、貴族連中に袋叩きになりますよ。」
「その様な貴族は、私が爵位を剥奪いたします。」国王が俺の前で頭を下げる。
「はぁ、その時はよろしくお願いします。」俺は言う。
「この度は、我が娘、第三王女『カリナ』も同行させました。」国王が胸を張って言う。
「あぁ、そうですか。」俺は絶望を感じながら言う。
国王の後ろから現れた、カリナ様がしずしずと俺の前にやってきて言う。
「ムサシ様、御尊顔を拝謁でき恐悦至極で御座います。」カリナ様が平伏して言う。
「デジャブ?」俺が思う。
「カリナ様、私に対しては、普通に接して頂かないと離縁しますよ。」俺はカリナ様に言う。
「なぁ!」カリナ様は途端にワタワタして挙動不審になる。
「カリナ様、取り合えずムサシ様に普通の挨拶を。」カリナの横にいたメイドのサノアさんが耳打ちする。
「あぁ、ムサシ様、ご機嫌よう。」カリナ様がその場を取り繕って挨拶してくる。
「あぁ、カリナ様、今日も御綺麗ですね。」俺は社交辞令を口にする。
「な! 私は綺麗ですか?」カリナ様が狼狽えながら言う。
「? えぇ、カリナ様は本当に御綺麗ですよ。」俺は答える。
「あぁぁあ、ムサシ様が、私を綺麗と。」カリナ様が固まる。
「あれ?」俺は考える。
今の俺から見ても、カリナ様は物凄く綺麗だ。
何で、固まっているんだろう?
「くふふ、殿方から容姿を褒められた事が無いのかもね。」ミロクが耳打ちするウ。
「そんな事あるの?」俺はミロクに聞く。
「くふふ、箱入りの娘さんなら有るかもね。」ミロクが言う。
「カリナ様。」俺はカリナ様の前に行って言う。
「カリナ様は本当に御美しいです、私はカリナ様のご容姿が大好きです。」
「はぅぅ。」カリナ様がフリーズする。
「あれ?」俺は疑問に思う。
「なんで?」
「くふふ、色男!」ミロクが俺を揶揄する。
「え?」
「純粋培養の御姫様に、豪速球で褒めるとか、無いわ。」ミロクが呆れる。
「え? 俺は又やらかしたの?」俺がミロクに聞く。
「う~ん、そうかもね。」ミロクが目を逸らして言う。
「マジかぁ。」俺はその場で崩れ落ちた。
「ははは、ムサシ殿、我が娘への直接の求婚、私も嫉妬しますなぁ。」
「はぁ、何言ってるのこの馬鹿親。」俺は思うが、今は良いや。
「で、この度はどのようなご用件で?」俺は国王に聞く。
「はい、1週間後の定例会議で、ムサシ様への陞爵とカリナとの婚約を公表します。」国王がにっこりとほほ笑見ながら言う。
「はぁ、解りました。」
「ほほほ、一週間後には、張れてイチャイチャできますね。」カリナ様が顔を赤くしながら言う。
「ちゅ!」俺は、カリナ様の唇にキスをする。
「なぁ!」カリナ様が固まる。
「ほほほ、ムサシ様、それ以上は正式に婚約を発表してからにして下さい。」カリナ様付きのメイドのサノアさんが言う。
「はぁ、お前も其れに付き合うんだろう?」俺はサノアさんに言う。
「はて、何の事やら。」サノアさんがとぼける。
「まぁ、良いですけどね。」
姫様付きのメイドは、姫様の負担を軽減するために、性的な事を受け入れるとミロクに聞いた。
どうでも良いけどな。
俺は溜め息をつきながら国王に言う。
「一週間後に登城すれば良いのか?」俺は国王に聞く。
「はい、ムサシ様。」国王が俺に礼をする。
「解った。」俺は国王に答える。
「はい、ムサシ様。」国王は俺に礼をすると出口に向かった。
「ムサシ様。」カリナ様が俺の前に着てウルウルした目で俺を見る。
「どうされました。カリナ様。」俺が言うと。
カリナ様が情熱的なキスをしてきた。
「むぐぅ!」
カリナ様の舌が俺の口内を舐めまわす。
「はぁぁ、気持ち良い。」俺はそれを受け入れる。
「カリナ様。」サノアさんがカリナさんの肩に手を置く。
「はっ。」カリナ様が俺から離れて顔を真っ赤にする。
「失礼いたしました。」カリナ様は顔を赤くしたまま国王に続いた。
「やばい、王族に伝わる性妓の秘儀なんだろう、俺はカリナ様との婚礼が楽しみになった。」
「くふふ、王族に伝わる性伎ねぇ、楽しみだね。」
**********
「コホン、時間が余ったから、狩に行こう。」俺が宣言する。
「んじゃ、今日は東の門に行こうか。」ミロクが言う。
「あぁ。」おれは東の門に向かった。
「この門を出るのは良いが、半日行った処の森には入るなよ。」門番が言って来る。
「へぇ、何でだ?」俺は門番に聞く。
「森に入ると、狐に化かされるんだ。」門番が言う。
「はぁ? 狐?」俺が聞き返す。
「何か害があるのか?」
「いや、大した害はないんだ、昼飯を盗まれるとかだな。」
「しょぼいな。」
「あぁ、だが中には大切な荷物を盗まれたと言う事案もある。」
「そうなのか?」
「あぁ、だから森には入るなよ。」
「盛大な振りに聞こえるんだが。」
「お笑い芸人じゃね~よ、マジで行くな!」門番が俺の両肩を持って言う。
「あぁ、解った。」俺は目を逸らして答える。
「あぁ、武運を。」門番はそう言って、俺を送り出してくれた。
「それだよな?」俺はミロクに聞く。
「くふふ、そうだね。」ミロクが答える。
「んじゃ、走るか。」俺はその森に向かって走り出した。
「うん、1時間で着いたな。」俺は息も切らさずに言う。
「くふふ、普通は半日かかる距離だよ。」ミロクが答える。
「だって、俺は神の身代わりだろう?」俺は普通に答える。
「くふふ、君って奴は。」ミロクがくねくねと悶える。
「? この森にも、神気を喰った奴がいるんだろう?」俺はミロクを無視して言う。
「あぁ、居るよ。」
「よ~し、サクサク行こうか。」俺は森に入った。
暫く進むと、結界が有った。
「ミロク、結界があるぞ。」
「うん、気にせず破って進め!」
「あぁ、解った。」俺は結界を破ってそこに向かった。
**********
「来るなぁ!」叫び声が響いた。
「俺に言ってる?」俺は其処に向かって言う。
「あぁ、お前にだ。」その声が言う。
「そうか、では行かなくても良いが、ミロクの神気を返してくれないか?」俺はその声の主に言う。
「神気?」
「あぁ、俺の相棒が取られて難儀しているんだ。」
「この訳が分からない力の事?」その声が言う。
「ミロク?」
「あぁ、その力だよ。」ミロクが言う。
「普通に持って行って、すごく気持ち悪い。」その声が言う。
「え~っと。」俺はその声の主に近づいた。
「え? 狐の女の子?」俺は声を上げる。
其処に居たのは、狐耳の幼女。
「御免なさい、俺は何もしていません。」俺は、訳もなく謝る。
「ムサシ、落ち着け。」ミロクに言われて気を取り直した。
「はぁ、君は妖狐かな?」俺が言う。
「そうだよ。」
「此処にいるミロクに神気を返してくれないか?」俺が言う。
「すぐに持って行って、気持ち悪くてしょうがない。」狐耳の少女が言う。
「ミロク?」
「神気が合わない者もいるんだよ。」ミロクがそっぽを向きながら言う。
「で、神気を取り戻せるのか?」俺はミロクに聞く。
「神気を手放したいと思っているから、楽勝だったよ。」ミロクが言う。
「ふ~ん。今後は楽勝かな?」俺が言う。
「くふふ、私の神気を普通に返してくれる奴は存在しないよ。」ミロクが宣言する。
「つまり、全員、説得するか、討伐するかって事か。」
「そう。」ミロクが答える。
「説得は面倒くさいから、全員討伐で良いよな。」俺はニカって笑いながら言う。
「え? ムサシ?」
「ははは、全員討伐しよう。」俺は良い顔で言う。
「ねぇ、私はどうなるの?」狐耳の妖狐が聞いてくる。
「え? 別に何もしないぞ。」俺が素で答える。
「え?」
「だって、もう関係ないからな。」俺が言う。
「え~、私、その気持ち悪い物を守って来たんだよ。」妖狐娘が叫ぶ。
「さっさと誰かに渡せばよかったのに。」俺が言う。
「だって、お母さまから貰った物だったから。」妖狐娘が俯く。
「うわぁ、罪悪感。」俺は天を仰ぐ。
「お前はどうしたいんだ?」俺は聞く。
「私を連れて行って。」妖狐娘が言う。
「え?」俺はその場で固まる。
「いや、無いな。」俺は冷酷に言う。
「え~、何で?」妖狐狐が言う。
「悪いな、俺はお前を救えないわ。」俺が答える。
「なんで?」
「お前を連れ帰って、その先が見えないわ。」俺は更に冷酷に言う。
「絶対に着いて来るなよ。」俺はそう言い残して、王都に走った。




