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買取

本日3話目の投稿です。

先に前の2話をお読みください。

「俺のギルドは消滅してるから、買取してくれるところがないよ。」

「大丈夫、組合に行って。」

「え?」


「組合に行って、あたしの石を見せて、『神の身代わりになった。』と言えば大丈夫。」

「神の身代わり?」

「うん。」

「聞いたことないんだけど。」


「大丈夫だから、組合に行け!」

「あぁ。」


************


 俺は、言われるまま、ギルドを纏める組合の前まで歩いた。

 そこは、レンガ造りの荘厳な建物だった。

 俺が、入口を潜ると、綺麗なお姉さんが声をかけて来た。

「こんにちは、初めての方ですね?」

「はい。」

「今回は、どのような御用でしょうか?」

「あの。」

「ギルドの立上げ申請なら、1番窓口へ。」

「ギルドの規模拡大申請なら2番の窓口へ。」

「その他、ギルドの解体、他ギルドへの吸収合併、その他は3番の窓口にお進みください。」


 俺は、さっき言われた通り、石を見せて言う。

「神の身代わりになった。」



「はい?」お姉さんが固まる。

「神の身代わりになった。」俺はもう一度言う。


「はい、こちらへ。」お姉さんが笑顔を張り付けたまま、俺を案内した先は組合長の部屋だった。


「組合長。」そう言いながら、お姉さんがドアを3回ノックする。

「入れ!」


「失礼します。」そう言いながら、お姉さんがドアを開けてそこに入る。

 俺もそれに続いた。


「どうした?」其処にいた、恰幅のいい男が言う。

「こちらの方が。」

「あぁ?」

「神の身代わりになったと。」


「あ?」

「あぁ、初めまして、俺が神の身代わりになった男だ。」


「がはははは、神の身代わりになっただと?」

「あぁ、不本意ながらな。」

「がははは、その根拠は?」

「これだ。」俺は石を見せる。


「なぁ?」その石を見た途端に、其処にいた男が固まる。

「組合長?」


「言い伝えは、本当だったのか。」

「?」


「代々、俺たち組合長に伝えられた言葉がある。」

「ほぉ。」

「曰く、虹色に輝く石を持ったものが現れ、神の身代わりになったと告げた場合、その身分を保証して、全ての権利を許可した証明書を与えると。」


「おぉ、それは助かる。」

「このお方に、許可証の発行を!」

「はい、組合長。」


「恩にきる。」

「何を言う、俺の代でその存在が現れた事を誇りに思うよ。」

「神の身代わりは、300年前には普通に存在したらしい。」

「だいたい30年位で、世代交代をしていたと言う事だ。」

「それぞれが、素晴らしい働きをしたと伝承にある。」

「それが、300年前に、急に廃れた。」


(あぁ、ミロクが食われたからか。)


************


「こちらが、身分を証明する物です。」お姉さんがカードを渡してくる。

「ありがとう。」

「いえ、どういたしまして。」


「早速、買取をお願いしたいんだけど。」

「はい、こちらへどうぞ。」お姉さんが、奥のカウンターに案内してくれる。


「こちらへお出しください。」

「え?」

「どうしました?」


「すみません、全部出せないかも。」

「は?」


「何を言ってるんですか?」

「いや、数回に分ければ出せなくもないです。」


「え~っと?」


「兄ちゃん、裏に回れ。」其処にいたおっちゃんが言う。

「あの?」

「姉ちゃん、後は引き継ぐぞ。」おっちゃんが言う。

「では、お願いいたします。」お姉さんが奇麗にお辞儀をして受付に戻る。


************


「で、何を出してくるんだ?」

「はい、これです。」俺はミロクが持っていたものを取り出す。


「なぁ?」


「え~っと、オーク肉1280kg、オークの魔石128、オーガの魔石72個、オーガの爪1440、オーガキングの爪20とオーガキングの魔石1.」


「おいおい、勘弁してくれ、とんでもない納品だ。」

「そうなの?」


「オーク肉は1kgが600Bだから、768Gだ。」

※1000B=1G=10000円です。


「あぁ。」

「オークの魔石は、1個500Bだから64Gだ。」

「おぉぅ。」


「オーガの魔石1個1Gで、爪は10個で1Gだ。」

「つまり、魔石が72Gで、爪が144Gだと。」


「更にとんでもないのが、オーガキングだ。」

「はぁ?」


「オーガキングの魔石は30Gだ。」

「はぁ?」

「そして、その爪は一つが2Gだ。」

「えっと、40Gって事?」


「とんでもないものを納品してくれるぜ。」おっちゃんが言う。


「おれは、買取担当のオーマケだ、今後ともよろしく頼むぞ。」そう言って右手を出してくる。

「あぁ、宜しく。」そう言いながら俺が出した右手を、オーマケは握りしめてブンブンと振る。


「がははは、久々に楽しくなってきたぜ。」

「お、お手柔らかに。」


「今後とも、納品してくれることを望むぜ。」

「あぁ、都合が合えば。」

「だははは、頼むぜぃ。」


 俺は組合を後にした。


「なんか、凄いものを納品した気がする。」

「凄いものを納品したんだよ。」

「まじかぁ。」


「あたしに任せろ。」ミロクがニカっと微笑んだ。


「今日は、もう休もうか。」

「あぁ。」俺は同意する。


「昨日と同じ宿で、泊まろう。」

「いや、風呂に入りたい。」

「えぇ?」


「流石に、臭いが気になる。」

「あぁ、解ったよ。」

「?」

「浄化!」

「え?」


「これで、あんたの身体は奇麗になったよ。」

「は?」

「呆けてないで、魔法だよ。」


「確かに、臭いが消えている。」

「お風呂に入った以上の効果があるよ。」

「そうらしいな。」


「んじゃ、ご飯を食べて寝ようか。」

「邪な気を感じる。」

「ぐふふ、気のせいだよ。」ミロクがにっこりと微笑んだ。


 宿に着いた俺は、風呂無し、食事なしの部屋を頼んだ。

「食事しないの?」

「いや、近くの屋台で食ってくる。」


「あぁ、そう。」ミロクが詰まんなそうに言うが無視だ。


 俺は、その足で宿の前の屋台を冷やかした。


「良い匂いだな。」

「おぉ、此処はランナー鶏の焼き鳥の店だ、美味いぞ。」

「あぁ、良い匂いだ、2本くれ。」

「あいよ。」


「お待ちどうさま。」目の前の皿に2本の串が置かれる。

「どれ?」俺はその串を持って、口に入れる。


「あぁ、美味いな。」

「へへへ、そうだろう。」

「おやじラガーないか?」

「20Bだ。」


「あぁ。」俺は20Bを屋台に置く。

「毎度。」

俺はそれを煽る。

「く~、美味い!」

 俺は、それを堪能した。


 数件の屋台を冷やかし、満腹になった俺は、宿に帰ってベットに潜った。


 相変わらず、実体のない存在がウザかったので、今日もその存在の腹に一発入れた。


「安眠は正義だ。」俺は眠りに落ちた。


オーク肉の計算が違っていたので訂正しました。

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