表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/132

次の町へ

「あっけなかったな。」俺はコボルドの襲撃を退けて言う。


「いやいや、ムサシ様、普通は死んでいます。」ハコベが言う。

「そうなの?」


「コボルドとは言え、100体もいれば脅威です。」

「え? あんなのが?」


「流石はムサシ様ですな、コボルド100体をあんなのが呼ばわりですか。」


「え~、だって、なぁ。」俺はミロクを見る。

 ミロクは、笑って答えない。


「とりあえず、先に進みましょう。」俺が言うと、ハコベはそれに頷く。


「皆、先に進むぞ。」


「解りました!」ハコベの部下が答える。




「襲撃だ!」御者が叫ぶ。

「はぁ、またか。」俺は馬車の屋根から降りる。


「盗賊です!」御者が叫ぶ。


「え~、実入りが無い奴か。」俺はがっかりする。

 盗賊は、付近の村の食い詰め者や、食にあぶれた者達の集団で、倒しても何も得られない物だ。


「荷物を置いていけば、命までは取らないぞ。」先頭にいた奴が大声を上げる。


 俺はそれに答える。

「黙って通せば、命だけは助けてやる。」


「貴様!」先頭にいた男が激高して俺に向かって走ってくる。


「はぁ。」俺はため息をつきながら、天叢雲剣を抜く。


 今の俺の身体能力は、普通の人間の能力を凌駕している。

 そして、天叢雲剣は、何でも切れる。


 その男は、粗末な刀を俺に向けて走って来た。

 俺は、その攻撃を半歩ずらして躱し、天叢雲剣で首を切った。


「くそう、避けやがばsぢお。」意味不明の言葉を残してその男が躯になった、


「貴様!」

「よくもやったな!」盗賊たちが俺に向けて攻撃を仕掛けてくる。


「はぁ。」俺はため息をつきながら、盗賊たちの攻撃をいなし、撃退する。


 50人ほどの盗賊は、半刻で全滅した。


「死体は消して良いですか?」俺はハコベに聞く。

「組合のカードをお持ちなら、記録されるはずなので大丈夫かと。」

「解りました、ミロク。」

「くふふ、任せて、塵に成れ。」盗賊たちの死体が消えた。


「盗賊のアジトを散策すれば、お宝が得られますよ。」ハコベが嬉しそうに言う。

「先を急がなくて良いのですか?」


「少しなら、大丈夫です。」

「まぁ、ハコベさんがそう言うなら。」


「ほほほ、楽しみですなぁ。」ハコベは嬉しそうだ。


「ミロク。」

「うん、ここから北に300m行った処に、それらしい建物があるよ、見張りが2人、中に10人ほどいるね。」


「ハコベさん、ここから北に300m行った処に、その拠点があるみたいです、盗賊の仲間もいますが、本当にいきますか?」


「ムサシ様がご一緒なら、心強いです。」

「はぁ、護衛ではないですよ。」

「解っておりますとも。」ハコベは楽しそうだ。


 周りにいる、御者やハコベの店の従業員もニコニコしている。


(あれ? 俺がおかしいのか? 盗賊のアジトを襲うんだぞ。)

「くふふ、君のさっきの戦いを見ちゃったら、そうなるよね。」


「え? 俺のせい?」

「くふふ、君のせい。」


「はぁ、んじゃ行きますよ。」俺はそう言って、北に向かった。

 

 おあつらえ向きなのか、馬車が通れる道があった。

「くふふ、盗賊たちが、自分達の獲物を運ぶために作ったんだろうね。」

「こんなに目立つのに?」


「くふふ、普段は隠してるんだろうけど、今回は、襲撃した馬車を通すためにそれを無くしていたんだろうね。」


「はぁ、そう言う事にしておこう。」


**********


 暫く歩くと、それが見えて来た。


「ハコベさん。」

「はい、わくわくしますね。」


「はぁ、緊張感を持ってください。」

「むふふ、解っておりますとも。」


「とりあえず、見張りを潰すか。」俺はそう言って、足元の拳大の石を拾う。


「せーの!」俺は、その石を見張りに向かって投げた。

 距離は300m程。


我々は森の中で、多分見張りは気が付いていない。


 命中。

 見張りの頭が消えた。

「うわぁ、やっておいてなんだけど、グロい。」

「おぉ、流石はムサシ様です。」ハコベの目が痛い。


「敵襲だ!」もう一人の見張りが、ドアを開けて叫ぶ。

 すると、数人の男がドアから出て来た。


「おぉ、ぞろぞろと出て来たな。」俺が言う。


「何もんだ、貴様ら!」出て来た男の一人が叫ぶ。


 俺は一人皆と離れ、200m迄近づいた。


「あぁ、お前らの仲間に襲われたから、礼を言いに来た。」

「はぁ? 仲間? いや、あいつら何人が行った?」その男が横の男に聞く。

「50人です。」


「そいつらは?」その男が俺に聞く。

「死んだ。」俺は答える。


「なっ!」その男は顔をゆがませる。

「貴様がやったのか!」その男は俺に聞いてくる


「あぁ、降りかかった火の粉を払った。」俺は答える。


「ほぉ、良い度胸をしているな。」その男が言う。

「なぁ、聞いても良いか?」俺はその言葉を無視して言う。

「なんだ!」


「お前たちのボスはどいつだ?」

「俺だ!」さっきから答えていた男が言う。


「おぉ、そうか。」俺は魔法を唱える。

「アイスジャベリン!」

 その男以外の男が、全員その場に倒れる。


「な!」その男は驚愕する。

 倒れた男達の心臓には、氷のやりが突き刺さっていた。


「俺が、お前だけ残したのが解るか?」俺が言うと。

「うわぁぁ!」その男がドアに入ろうとした。

「フリーズ!」俺は再び魔法を唱えた。」


 その男は、その場で転んだ。

 その男の両足が凍り付いていた。


 俺は、その男にゆっくりと近づく。


「く、来るな、来るなぁ!」その男は叫びながらその辺りの石や土を投げてくる。

「フリーズ!」その男の両手が凍り付いた。


「ムサシ様、その男は生かしたまま連れて行きましょう。」ハコベが俺に追いついてきて言う。

「はい、解りました、シズカ。」

「はい、ムサシ様。」

「このロープで、その男をぐるぐる巻きにして下さい、凍った手や足はロープを巻きやすいように、適当に折って良いです。」

「はい、ムサシ様!」シズカは嬉しそうにそれを実行した。


 その男の壮絶な悲鳴が聞こえたが無視だ。


「ミロク、数が合わないんだが。」俺はミロクに言う。

「中に何人か残っているね。」

「敵か?」


「う~ん、違うと思う。」ミロクが思案顔で言う。


「ハコベさん、俺が突入します、ここで待っていてください。」俺はハコベに言う。

「はい、仰せのままに。」ハコベが俺に礼をする。


(違う、何かが違う!)俺はそう思いながら、天叢雲剣を抜き、ドアの中に入る。


 その部屋には誰もいなかった。


「何だよ。」俺はそう言いながら、隣の部屋を開けた。

 其処にいたのは、高貴なお方と思える女性、いわゆる姫様だった。


「私を犯すつもりですか!」俺を見て姫様が言う。


「はぁ? 助けに来ました。」俺は答える。

「え?」姫様が狼狽える。

「私を犯しに来たのでは?」

(この姫様は、犯され願望でもあるんかい!)そう思ったが、普通に答えた。

 

「いえ、私はあなたに興味はありません。」

 その答えに、姫様は少し落胆したようだが、俺には関係ない。

「姫様、違うみたいです。」姫様の隣にいた侍女らしき女性が姫様に声を掛ける。


***********


 ハコベ達にも部屋に入ってもらい、質問をすることにした。

「え~と、盗賊に捕らえられたって事で良いですか?」俺が問う。


「城塞都市から、王都迄向かっておりましたが、昨日この辺りで盗賊に取り囲まれて、護衛の冒険者は我先にと逃げ出し、御者は殺されて・・。」


「この建物の裏に、馬車が有りました。」ハコベが言う。

「我々も、王都に向かっております、宜しければご一緒に。」ハコベが言う。


「はい、お願いしても宜しいですか?」姫様が嬉しそうに言う。

「姫様、私たち助かったのですね。」

「えぇ。」


「助けていただかなければ、慰み者にされて、奴隷商に売り払われたところでした。」


 その後、屋敷を手分けして探し、盗品と思しき物品と、金貨や銀貨を発見した。

「これは、どうすれば良いんでしょうか?」俺はハコベに聞く。


「物品は、組合に届け出て、盗難届が出ていれば、相応の賞金になります。」

「盗難届が出ていなければ?」

「私が、買い取って現金を山分けしましょう。」

「はぁ。」


「現金は、姫様の取られた分を姫様にお返しして、私とムサシ様で山分けでいかがでしょうか?」

「其れで良いのであれば。」俺は曖昧に頷いた。


 言葉通りに実行すると、ハコベは自分の取り分から、御者や、部下たちに金貨を1枚手渡していた。

「素晴らしい人だ。」

「くふふ、そうだね。」

 金貨と銀貨合わせて420Gが俺の取り分になった。

 因みに、金貨が10G、銀貨が1Gだ。


 姫様の馬車は、何処も壊れておらず、馬も小屋に繋がれていた。

 御者がいないが、ハコベの部下が操作出来るらしいので問題は無かった。


「さぁ、先を急ぎましょう。」俺の言葉で、隊商が動き始めた。


馬車6台の大所帯だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ