国王
「ふふふ、レッサードラゴンの次はフェンリルとワイバーンを出品するか。」国王が宰相に聞く。
「国王様?」宰相は疑問に思う。
「わははは、いったいどんな奴がそんな物を出品しているのだ?」
「はい、何でも『神の身代わり』を名乗る男が出品しているようです。」宰相は記録を見ながらそう報告する。
「なに? 『神の身代わり』だと?」国王が驚愕する。
「はい。」
「300年前に途絶えた、『神の身代わり』様だと。」
「国王様?」
「あぁ、我が家に伝わる伝承にある。」国王が震えながら言う。
「何と。」宰相が問う。
「『神の身代わり』様には、敬意を払え、決して怒らせるなと。」
「はぁ、そうなのですか?」
「かのお方に仇なした者は、一瞬で塵になったと伝えられている。」
「何と?」
「かのお方には、一度王国にご訪問いただこう。」
「御意にございます。」宰相が首を垂れる。
「神の身代わり様には、国賓として来ていただこう。」
「は、仰せのままに。」
「貴族たちにも、触れを出せ。」
「御意。」宰相が首を垂れる。
「まさかと思うが、『神の身代わり』様に敵対する者はおるまいな?」国王が言う。
「300年間、いなかった存在です、馬鹿な者もいるやもしれません。」宰相が答える。
「では、その様な者が現れた場合の対処もしておかねば。」国王が言う。
「ははぁ、仰せのままに。」宰相が答ええる。
「では、組合に早速連絡をするのだ。」国王が言う。
「解りました。」宰相は部屋を出て言った。
「早くお会いしたいものだ。」国王は玉座で物思う。
**********
「さて、神気はどの位戻ったんだ?」俺はミロクに聞く。
「う~ん、戻った神気は3分の1位だね。」
「そうか、その神気を持った奴は、後どの位いるんだ?」
「大きいのが12、中位のが30位?」
「おぉ、そうか。」
「うん。」
「で、近くにいる奴は?」
「今は感じられない。」
「あぁ、んじゃ、旅をしないとな。」
「くふふ、嬉しい事を言ってくれるね。」
「何を言ってるんだ、俺はミロクと契約したんだろう?」
「くふふ、くふふ、本当にもう。」ミロクがくねくねする。
「?」俺は判断に苦しんだ。
**********
俺は、自分を鍛える為、この町の周囲の魔物を狩り続けた。
「くふふ、そろそろ魔王を討伐するレベルになっているよ。」ミロクに言われて我に返った。
「え? そんなにか?」
「うん、自分のレベルが解るかい?」
「え?」俺は久しぶりに自分のステータスを見る。
名前 :ムサシ。
ジョブ :神の身代わり レベル88
生命力 :401 一般成人男性の平均は15
力 :556 一般成人男性の平均は10
魔力 :507 魔力適正者の平均は30
魔法適正:有り
使用魔法:4大属性魔法 (火、水、地、風)、天、闇、?、?
スキル :剥ぐ者、統べる者 威圧
耐性 :炎無効 水及び氷無効 土魔法、大地魔法無効、風魔法、暴風魔法無効、毒無効、麻痺無効、精神障害無効、幻術無効、石化無効、汚染無効、即死無効、呪い無効、時魔法無効、睡眠耐性、飢餓耐性、排泄耐性、水分補給耐性
「うむ、耐性関係はあまり変わっていないんだな。」
「くふふ、其処に干渉する奴はあまりいないからね、でも、その他の耐性も頑張るよ。」ミロクが良い顔で言う。」
「んじゃ、そろそろ、旅に出よう。」
「くふふ、嬉しいねえ。」
「どの位の旅になりそうだ?」
「そうだね、半年ぐらいで帰ってこようか。」
「解った、買い出しに行こう。」俺はシズカを連れて買い出しに出る。
「くふふ、何を買うんだい?」
「調味料だ。」
「おや、装備じゃないのかい?」
「別にこれで良いだろう。」俺は着た切り雀の皮鎧を指さして言う。
「くふふ、もっと良い物にすればいいのに。」
「これで充分だ、あぁ、シズカには新しい装備を買ってやろう。」
「え? あたしは別に。」
「良いから、んじゃ、店に行こう。」
**********
「邪魔するぜ。」俺はそう言いながら店に入る。
「はい、いらっしゃいませ。」品の良い女性が答えてくる。
「この娘に似合う、装備を見繕ってくれ。」
「はい、かしこまりました、どうぞこちらに。」店の奥に案内される。
「お見受けしたところ、後衛職のようですがいかがでしょうか?」
「あぁ、今のところはそうだな。」
「でしたら、こちらのローブはいかがでしょうか?」
「ほぉ。」
「くふふ、マジックアイテムだね。」
「おぉ、良いじゃないか、シズカ、着てみろ。」
「はい。」シズカはローブを持って試着室に入る。
「どんな効果がついているんだ?」
「くふふ、防刃だよ。」
「ふ~ん、普通に良いな。」
「君も、そう言う装備にすれば?」
「考えておく。」
数分後に、ローブを着たシズカが出て来た。
「どうでしょうか?」
「うん、似合っているじゃないか、これを貰おう。」
「毎度ありがとうございます。」
「それと、下着や靴下。靴も見せてくれ。」
「はい、こちらへどうぞ。」店員が案内した先には、俺が言った物が揃っていた。
「シズカ、数日分の下着を選べ、靴は3足だ。」
「はい、でも良いのでしょうか?」
「かまわん。」
「ありがとうございます。」
「ついでに俺の分も買っていくか。」俺は下着や靴下を物色する。
靴は、厚底のブーツが有ったのでそれにした。
「全部で12G500Bになります。」店員がニコニコしながら言う。
「これで決済してくれ。」俺は、店員に組合のカードを渡す。
「かしこまりました。」店員は店の奥に行き、端末を操作すると戻ってきて、俺にカードを渡す。
「くふふ、持つよ。」ミロクがそう言うと、買った者が全部消えた。
「え? お客様、荷物は何処に?」店員がおろおろする。
「あぁ、俺の魔法だ、気にするな。」
「はい、ありがとうございました、又のご来店をお待ちしております。」
店員がドアの前で深々とお辞儀をした。
「あぁ、又寄る。」俺はそう言い残して、店を出て組合に向かった。
**********
「邪魔するぜぃ。」
「げ、いらっしゃいませ。」
受付嬢の態度は相変わらずだが、俺はリーンの居るカウンターに行く。
「リーン。」俺は優しく声を掛ける。
「まぁ、旦那様、どのような御用でしょうか?」リーンが目をハートにしながらカウンターの所まで小走りで来る。
「そうでした、旦那様に指名依頼が来ています。」リーンは職員の顔に戻って言う。
「指名依頼?」
「はい、国王様が王国に来て欲しいとの事です。」
「え?」
「くふふ、やっぱり目を付けられたか。」ミロクが笑いながら言う。
「え? 目を付けられた?」
「レッサードラゴンや、フェンリル、バジリスクを短期間で納品したからねぇ。」
「あぁ、そうだった。」
「丁度良いじゃないか。」
「え?」
「旅行を兼ねて言って来よう。」
「そうだな、そうするか。」
「リーン。」
「はい、旦那様。」
「指名依頼を受けるよ。」
「はい。 え?」
「暫く留守にするから、家を頼むな。」
「はい、行ってらっしゃいませ。」リーンは少しだけ悲しそうにするが、にこっとほほ笑んで言う。
「あぁ、今夜詳しい事を話そう。」俺はそう言うと、買い物に戻った。
「おや、ムサシ様じゃありませんか?」俺に声を掛けて来たのは。
「おぉ、ハコベさん、奇遇ですね。」
「いえ、実は、ムサシ様に護衛を依頼しようと思い、組合に行くところでした。」
「あぁ、これから王国に向かうところなので、そっち方面であれば。」
「おぉ、何と言う偶然、私達は王国迄商品を運ぶ事に成りまして、神様の思し召しですね。」
「そう言う事なら、喜んで、あぁ、俺の成績になるので、組合に正式に依頼してください。」
「解りました、出発は明後日の朝6時に南門の前で。」
「はい、今回もよろしくお願い申し上げます。」俺は頭を下げる。
「いえ、いえ、ムサシ様、お願いするのは我々です、どうか頭をお上げください。」
そう言いながらハコベがおろおろする。
「ははは、解りました。」俺は頭を上げて言う。
「では、明後日に。」ハコベは頭を下げる。
ハコベと別れた俺は、最初の目的であった調味料を大量に仕入れた。
「ふふふ、これで、移動中の食事が楽しみになるな。」
「くふふ、身体が戻ったら、絶対に食べさせるんだよ。」
「解ってるよ。」
「くふふ、絶対にだよ。」
「因みに、今持っている肉はどの位ある?」
「くふふ、オークの良い所が300Kgくらいに、ミノタウルスのお肉が40Kg弱だね。」
「あぁ、ハコベ達に、何回か振舞ってやるか。」
「くふふ、ムサシへの信仰が高まるね。」
「何だよ、信仰って。」
「そういう目をしていたよ。」
「はぁ、そう言う事にしておくよ。」
「くふふ、たらしだね。」
「言ってろ。」
俺達は、買い物を済ませて家に帰った。
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