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獲物がやって来た

「ムサシ、獲物が向こうから来てくれた。」朝一番でミロクに言われた。


「ほぉ、どっちだ?」俺は、昨日の残りのすき焼きを、ご飯にぶっかけて食べながら聞いた。


 因みに、リーンとシズカも、同じものを美味しそうに食べている。


「東、あと半日ぐらいで門まで来る。」


「それは、それは、お迎えしないとな。」

「くふふ、そうだね。」


「旦那様、誰とお話ししているのですか?」リーンが俺を見ながら言う。

「ミロクと言う、神様だ。」


「旦那様、お気を確かに。」

「別に狂っちゃいねーよ、俺は何だか思い出せ。」


「はっ、『神の身代わり』。」


「リーンさんは見えないんですか?」シズカが言う。

「し、シズカは見えるの?」


「はい、見えますし、声も聞こえます。」


「ま、まさか、シーナも?」リーンはシーナに聞く。


「勿論、見えるし聞こえる、」

「そんな。」リーンが崩れ落ちる。


「私だけ、仲間外れ。」


「くふふ、ムサシと一発やれば見えるかもよって言ってやれば?」

「言えるか!」


「ムサシ様と一発やれば見えるかもと仰っています。」シズカが空気を読まずに言う。

「シズカ、ステイ!」俺は言うが。


「本当に? 旦那様に抱かれれば、私も仲間に入れてもらえるのですか?」リーンさんが俺に詰め寄る。

「知りません、かもって言ってるじゃないですか!」俺はリーンさんを引き剥がす。


「旦那様は、私の旦那様だ、いつでも私を抱いて良いんですよ。」

「はいはい、そのうちに気が向いたら。」俺はそっけなく返す。


「酷いな!」リーンさんが拗ねる。


「はい、はい、取り合えず、俺はミロクの獲物を狩りに行きます。」

「むぅ、解った、組合で待っているから。」頬を膨らませながら、リーンさんは家から出ていく。


「まったく。」俺はそう言いながら、支度をして家を出る。

「留守を頼むな。」俺はシーナに言う。

「行ってらっしゃいませ。」シーナが深々と礼をする。


 シズカは普通に付いてきた。


 俺は東の門に向かった。


「あ~、この門から出るのは止めた方が良いぞ。」門番の衛兵が俺に言ってくる。

「あぁ、俺もそう思う。」


「あぁ、武運を。」

「ありがとう。」そう言いながら、俺は門を潜る。

 シズカもお辞儀をして門を潜る。


「あぁ、君の闘気を抑えないとね。」ミロクが振り向いて言う。

「闘気? 抑える?」


「うん、獲物を狩りたいんだろう?」

「そうだったな、どうすれば良い?」


「君の闘気を感じてごらん。」

「闘気を感じる?」


「やってごらん。」

「あぁ。」


「うん、俺の身体から放出している物を感じる、これが闘気か。」

「くふふ、優秀、優秀、それを出さない様にしてごらん。」


「ふむ、体中を包むような感じで、こうか?」

「くふふ、とりあえず合格。」


「んじゃ、進むか。」俺はゆっくりと歩きだした。




「ぜはー、ぜはー、やりきったぜ。」

「ご苦労様。」

 オーク136、ミノタウルス18を解体した。



「くふふ、そこまで来てるよ。」

「おぉ、任せろ。」

「私の神気を持っていないから、別に駆らなくても良いんだけどね。」


「ぐをぉぉぉぉぉぉ!」咆哮、威圧効果付き。


「ふぅ、効かないな。」俺もシズカも耐性がある。


「我が夫を屠ったのは貴様か!」全長15mはあるレッサードラゴンが言う。

「おぉ、レッサードラゴンなら俺の連れが屠ったな。」俺は何食わぬ顔で言う。


「ふふふ、我を前にしてその物言い、豪胆なのか、痴れ者なのか?」

「どうなんだろうな?」俺は両手を広げながら言う。



「くふふ、あの時は私がやったけど、今回は君がやってみるかい?」

「あぁ、やってみる、死んだらごめんな。」


「くふふ、死ぬ気はないくせに。」

「まあな。」俺は天叢雲剣を抜く。


「行くぞ。」俺はレッサードラゴンに言う。

「来い、踏み潰してくれる!」


 俺は、足に力を込めて飛び出す。


 勝負は一瞬だった。


 走りながら、レッサードラゴンの腹を横一文字に切った。


「なぁ?」レッサードラゴンは臓物をぶちまけながら、その場に倒れた。


「こふゅー、こふゅー。」苦し気な呼吸をしながらレッサードラゴンは俺に言う。

「止めを刺してくれ、とても辛い。」


「あぁ、解った。」俺はレッサードラゴンの首を撥ねる。


「くふふ、見事だね。」

「天叢雲剣のおかげだよ。」


「くふふ、謙遜を。」


「さて、解体は、前と同じか?」

「くふふ、そうだね。」


「まず、頭の角を根元から!」


「あぁ。」俺は角を切り取った。


「皮は、鱗を付けた状態で剥いで。」

「あぁ。」剣が良いから、するする剥げる。


「ん~、肉は臭いから廃棄、足と腕の骨は、良い武器の材料になるから持っていく。」

「お~、前よりでかいな。」肉をこそげながらその骨を持つ。

「太腿の骨も、脛の骨も3m近いな。」


「爪と牙も、あぁ、爪は指毎でいいよ、牙も顔からそのままスパッと行っちゃえ!」

「うぉ~、途端にグロくなった。」


「最後に、心臓の横にある魔石!」

「ほい。」


「ん~、こんなもんかな。」

「前よりも簡単だったな。」


「くふふ、君も成長しているんだよ。」ミロクはそう言いながらレッサードラゴンの残りを塵にする。


「そうか。」


「んじゃ、帰ろう。」俺は言う。


 シズカは何も言わないが、俺と一緒にレベルが上がっている。


「もう俺達を傷つけられる奴はいないんじゃね?」

「くふふ、そうかもね。」




帰りは、オーク155、ミノタウルス13を解体した。


「ふぅ、久々に解体したから、少し疲れたな。」


 シズカも解体を手伝ってくれた。


「良し、帰ろう。」俺はシズカに言う。


「はい。」シズカはにっこりとほほ笑みながら言う。


「よし、走るぞ。」俺は門に向かって走る。

「はい!」シズカも俺に付いてくる。



「お帰り。」門番の男が言う。

「あぁ、ただいま。」

「戻りました。」シズカは少し息を荒くして言う。


「さて、リーンの所に行くかな。」俺は誰に言うともなく言う。

「くふふ、前回と同じ結果になるね。」ミロクが楽しそうだ。




「頼もう。」俺は、組合のドアを開けて言う。

「げっ、いらっしゃいませ。」

 なんだよ、門番の女はいつもと同じ対応かよ。


 そう思いながら、俺はリーンの居るカウンターに向かう。

「いらっしゃいませ、旦那様。」


「あぁ、リーン、今回も前回と同じかな?」


「はい、旦那様。」


「レッサードラゴンの角2本はオークションです。」


「あぁ。」


「次はこれだ。」

 俺は、鱗の付いたレッサードラゴンの皮を取り出す。


「ななな、レッサードラゴンの皮、しかも鱗付を、又ですか?」

「あぁ。」

「前回と同じで、オークションにかけます。」


「え~っと、爪と牙は?」

「ほい。」俺はそこに取り出す。

「なぁ、冷凍!」そこにあった物が凍る。

「凍らせないと劣化しますから。」


「これは其々200Gで引き取ります。」


「骨もあるんですよね?」


「腕と足の骨、8本だ、前回より長いぞ。」

「まさか。」

「出すぞ。」俺はミロクが持っていたレッサードラゴンの骨を取り出す。


「なぁ、これは。」

「?」

「当然、オークションですね。」


「後は、レッサードラゴンの魔石だけだ。」


「これもオークションですね。」


「旦那様、私、出世しちゃいそうですよ。」

「良かったな。」

「はい。」リーンの笑顔がまぶしい。

お・お・お、ブクマが増えている。

ありがたや~、ありがたや~。

お気持ち程度で良いので、評価の方も一つ、良しなに。

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