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湯の村へ

「とりあえず、今日は野宿だな。」

「はい。」


 俺達は、村を出て、湯の町に向かった。


 湯の町まであと半日と言う所で、野宿をする事になった。


「今日は、オークの良いお肉を提供するぞ。」俺が言うとそこにいた全員が喜んだ。


「私でも、良いオーク肉を食べるのは、年に数回です。」

「おや、ハコベでもそうなのか?」


「ははは、一応商品ですからね、其れを食べるのは。」

「そうか、おや、前回のオークの剥ぎ取りは、良い肉だけじゃなかったのか。」

俺は、ミロクが持っている物を見て言う。


「えぇ、オークは色々食べられる所がありますから。」


「今回は、良い肉を提供しよう。」

「え? お祝い事でもないと食べられない物をですか?」

「あぁ、構わない。」


「ありがとうございます。」ハコベが礼をする。

「おぉ、やった、俺初めてだ。」

「俺もだ、楽しみだ。」

「今日は最高だな。」ハコベの部下が喜んでいる。


「あっしも、ご相伴にあずかれるので?」御者が言うので、俺は首を縦に振る。

「ありがてぇ。」


 その野宿では、オーク肉パーティが開かれた。


 オーク肉は、美味しかった。

 その後、オークの並肉はハコベに提供することになった。

「本当に良いのですか?」

「あぁ、売るもよし、自分で消費するもよし、捌いてくれた対価だ。」

「いえ、その対価は、オークの軍団から守っていただいた・・」


「ははは、んじゃ、ボーナスだ。」

「ぼーなす?」

「俺じゃ、食いきれないからな。」

「ありがとうございます。」ハコベが首を垂れる。


************


 今回は、ミロクがちゃんと夜警をしてくれたので、俺も朝までぐっすりと寝れた。


 湯の町までは、其処から半日だった。


 途中魔物の襲撃は、オーク28、ワイバーン1だった。

 ワイバーンの襲撃は珍しいらしく、ハコベもびっくりしていた。


 ワイバーンの素材は、皮、肉、翼の幕、魔石だった。

 すべて、俺が捌いてミロクに持ってもらった。


「おぉ、湯の町が見えてきました。」御者が言う。


「あれが、そうか。」俺は遠くに見える門と、その周りの壁を見て言う。


「はい、湯の町ですね。」ハコベが言う。


 俺達は、門の前に着いた。


「お疲れ様です、身分を証明する物を。」

「はい。」ハコベが商人ギルドのカードを見せる。

「はい、確認しました、ハコベ様とその部下4人、それと御者の方。」

 俺も、組合のカードを見せる。


「え? 神の身代わり様?」

「あぁ。」


「どうぞお通り下さい。」

 俺達は、村に入った。


「さて、護衛は此処迄だったな。」俺はハコベに言う。

「ありがとうございます。」ハコベが俺に礼をする。


「これは今回の報酬です。」ハコベが俺に革袋を渡してくる。

「あぁ。」俺はそれを受け取るとそのままミロクに渡す。


「ふふふ、今回も中身を確認しないのですね。」

「あぁ、信用している。」

「ふふふ、また、是非お願いいたします。」


「あぁ、んじゃ、またな。」


「はい、宜しくお願い申し上げます。」


「あぁ。」俺は湯の街に繰り出す。


************


「ふ~ん、温泉街なんだ。」


「おっ、温泉饅頭か。」俺はそれを買う。


「美味いなぁ。」

「くふふ、今日お宿はどうする?」

「適当に、その辺の宿で良いよな。」

「くふふ、それで良いなら。」


「なんだよ、含みがある言い方だな。」

「温泉も、食事も良い所があるんだよ。」

「なんだ、んじゃ、其処にしよう。」


「くふふ、こっちだよ。」ミロクが俺の前を歩く。


「で、たどり着いたのがここか。」

「くふふ、どうなってるんだろうね?」


 目の前にあるのは廃墟。


「ミロク?」

「くふふ、300年の間に潰れたみたいだね。」ミロクが悲しそうに言う。


「まぁ、しょうがない、今ある温泉宿を探そう。」

「うん。」


 俺は、宿を求めて温泉街をさまよった。


「お兄さん、宿が決まっていないなら、うちなんかどうだい? 一泊2食付きで1Gだよ。」

「あぁ、決めたよ、案内してくれ。」


「ははは、即決は気持ちいいねぇ、あたしはユーバって言うんだ、宜しくね。」


「なぁ、この先にあった廃墟は何だい?」

「あぁ、あれを見たのかい?」

「あぁ。」


「あそこはね、今から30年ぐらい前に、当時の主人と、その息子がいがみ合って、家族を巻き込んだ修羅場になってね。」


「ほぉ。」

「当時の主人が、息子夫婦とその子供を切り殺し、その後、包囲したギルドの職人の魔法で家族ごと殲滅させられたんだよ。」

「はぁ、それは何とも。」


「以来、誰もあそこに行かなくなり、今では廃墟さ。」

「痛ましい限りだな。」


「辛気くさくなっちまったね、宿に着いたよ。」

「おぉ。」


「さぁ、宿帳に名前を書いておくれ。」そう言いながらユーバが宿帳を俺の前に出す。


 宿帳に書かれた項目。

 名前 「うん、ムサシだ。」

 職業 神の身代わり

 住所 不定。


(この宿帳に意味はあるのか?)


「部屋に案内するから、付いて来ておくれ。」

「あぁ。」俺はその後に続く。


「この部屋を使っておくれ。」

 案内されたのは、最上階の豪華な部屋だった。

 洋室12畳、ベランダからは温泉街が見渡せる。


 勿論、部屋にも風呂が付いていた。


「俺には、分不相応の部屋だな。」

「この時期は、誰も来ないから、遠慮なく使っておくれ。」


「あぁ。」


「食事は、食堂で提供するから時間になったら来ておくれ。」

「解った。」


 俺は、素材を確認することにした。



ゴブリン46、オーク361、オークキング1、リザードマン18、ワイバーン1



「ふむ、オークキングと、ワイバーンが破格だよね。」

「くふふ、リーンに売るかい?」

「まぁ、その時次第で良いかな。」

「くふふ、そうだね、資金はたくさんあるしね。」

「あぁ。」


 荷物をごそごそあさっていたら、ユーバが呼びに来た。」


「少し早いが、晩飯を食べれるよ。」


「あぁ、行くよ。」俺は、素材をミロクに渡して、食堂に行く。


「今日は、オーク肉を卸してくれる商隊がいたから、オーク料理だよ。」ユーバがにっこり笑いながら言う。


「おぉ、そうか。」ハコベは町に卸したんだな。


「さぁ、ジャンジャン食ってくれ。」ユーバが言う。


「出された料理は、味は良かった、でも、それ以上の肉質を知っている身にはつらかった。」


「小食なんだね?」ユーバが言う。


「あぁ。」そう言いながら、部屋に戻った。


「久しぶりに、風呂に入るよ。」

「くふふ、浄化の魔法で済むのに?」


「あぁ、お湯につかると精神的に癒されるんだ。」そう言いながら、風呂にお湯を張る。

「おぉ、温泉なんだ?」俺は、そのお湯に手を入れて言う。


 数分後に、風呂が溜まる。

「どれ?」俺は全裸になり、風呂に向かった。

「まず、身体を洗って。」俺は、手ぬぐいに石鹸をこすり、身体を洗っていく。」

「頭も石鹸か?」と思いながら鏡の横を見ると、なんかの容器があった。

「ん~?」その容器には頭皮用石鹸と書かれていた。


「頭を洗う石鹸で良いんだろうな?」俺は、容器からドロッとした液体を手に取り出し、頭を洗う。

「おぉ、何か髪の毛がサラサラになった気がする。」


 数十分湯につかり、その後乾燥魔法で全身を乾かし、更に、ミロクの浄化魔法をかけてもらった俺は、安らかに眠りについた。


 勿論、ミロクは撃沈させた。

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