報告
「ふざけるなぁ!」サタンが俺に攻撃する。
「うぉぉ」俺は防御をしながらその攻撃を受ける。
俺はそのまま壁に向かって跳ね飛ばされた。
だが、ガキーンの鎧の恩恵で俺にダメージは無い。
壁まで飛ばされた俺は、体勢を立て直す。
「なかなかやばい攻撃だ」
「何故無事なのだ?」
「ミロク神の加護と、ガキーンの鎧を見につけているからな」俺は答える。
「何だと?」
「サタンと言ったか?」
「あぁ」
「今の攻撃は、俺に対する敵対行動だと認識する」
「其れがどうした?」
「では、遠慮なく」俺はサタンの元に飛ぶ。
「なぁ?」
「遅い!」俺はサタンの下腹部にこぶしを入れる。
「ぐははははぁぁあ!」サタンは反吐を吐きながら反対側の壁に飛んでいく。
「まだ、まだぁ!」俺はサタンを追いかけ、その顔に全体重を乗せた蹴りをお見舞いする。
「うぎゃぁぁ」
「さらに追撃だ!」俺は踵落としをサタンの頭に叩きいれる。
「ぐはぁぁぁ」
「まだ終わらないぞ」
「うぐうう」
「楽に死ねると思うなよ」俺はサタンを見下ろしにやりと笑う。
「くふふ、悪魔より恐ろしい顔だよ」
「失礼な」
「待ってくれ」サタンが懇願する。
「はぁ?」
「いや、感服した、これからは貴方の下に付こう」
「は?」
「最早力の差は歴然、貴方に下ります」サタンが言って来る。
「要らない」
「え?」
「悪魔如きの部下や下っ端は不要だ」
「そんな」サタンが驚愕する。
「俺に敵対した、それがすべてだ」俺はサタンの首に蹴りを入れる。
「うぎゃぁぁ」サタンは首を潰され、塵になって消えていく。
「くふふ、ムサシ怖い」
「普通だ」
「で、底に淡く光っているのがダンジョンコアか?」俺はその部屋の片隅を見ながら言う。
「くふふ、そうだね」
「これは壊しても良いんだな?」
「このダンジョンの構造を見る限り2階層以降は普通の人間には無理だから、それで良いんじゃないかい?」ミロクが言う。
「では俺の裁量でダンジョンを潰す」
「くふふ、頑張れ」
「てい!」俺はダンジョンコアに天叢雲剣を突き入れた。
「ひぎゃぁぁぁ」ダンジョンが悲鳴を上げ、静かになった。
「くふふ、ダンジョンが死んだね」
「其れで良いだろう、冒険者が数十人死んでいるんだ」
「しかも石化した冒険者は、ギルドカードも集められないからな」
「その通りだね」
「んじゃ、リーンに報告に行くか」
「くふふ」
**********
「リーン」
「まぁ、旦那様」リーンは何時ものように俺の首を抱いて口付けをしてくる。
「ちぃ!」
「くそ、見せつけやがって」
「俺たちのリーンを独り占めしやがって」組合員が五月蠅いが最後だけ気になった。
「俺たちのリーンって何だ?」俺はそう言った冒険者に詰め寄った。
「いや、その」
「はぁ?」
「えっと、右手のお供と言うか」
ドゴッ!
俺は無言でその男の腹に一発入れていた。
「俺の嫁をおかずにするのはギルティだ」俺はそいつの意識を刈りながら周りの男たちに目配せする。
「これでリーンをおかずにしない奴が消えれば良いな」
「まぁ、旦那さまったら」
「で、報告だ」俺は真面目な顔をして言う。
「はい、お聞きします」リーンも仕事モードになって言う。
「まず一階層は、ゴブリンの巣窟だった」
「それは、厄介な」
「だが、楽勝だったぞ」
「そうでしょうね」
「あぁ」
「で、煮階層はゾンビだらけだった」
「嫌な階層ですね」
「全くだ」
「次に三階層だ」
「はい」
「ハイコカトリスがいた」
「まさか」
「本当だ、多くの冒険者が石になっていた」
「そうなのですね」
「あぁ」
「次は四階層だ」
「はい」
「降りた瞬間にオークキングとマスターオークの襲撃を受けた」
「それは、なんとも」
「おれは平気だったが、そこで死んだ奴のギルドカードを20枚拾ってきた」俺はギルドカードをカウンターに取り出した。
「あぁ、誰も帰って来ないはずですね」リーンが悲しそうに言う。
「冒険者は自己責任だ」
「そうですけど」
「続けるぞ」
「はい」
「五階層はアークデーモンがいた」
「何と」
「聖魔法が使えれば一発だったぞ」
「そんな人間めったにいません」
「そうか?」
「はい」
「ふ~ん」
「あぁ、そこでこんな魔道具を手に入れた」俺は鑑定の魔道具をカウンターに置いた。
「まぁ、これは」
「俺には必要ないからな」
「これはかなりのGになりますね」
「そうなの?」
「はい」
「んじゃ任せる」俺は組合に納品した。
「はい、承りました」
「あぁ」
「そして、その後ドラゴンゾンビに襲われた」
「はい?」
「ドラゴンゾンビだ」
「それは」
「まぁ。一瞬だったが」
「はぁ?」
「そして、その後オークキングが再び現れた」
「其れは何とも」
「楽勝だったけれどな」
「最後は極寒の地にサタンと名乗る悪魔がいた」
「ネームドですか?」
「あぁ」
「其れは」
「瞬殺したけどな」
「はぁ」
「そして、最後の階層はキマイラが現れた」
「何ですと」
「本体頭の毒ブレス、しっぽの蛇の石化能力、爪の麻痺能力」
「あぁ、全て俺には無効だった」
「そうなのですか?」
「あぁ、納品はどうする?」
「其れではハイコカトリスを一体、ドラゴンゾンビの魔石とキマイラの魔石を納品してください」
「別に良いけど」
「旦那様は太っ腹ですね」
「意味が解らない」
「くふふ」
「オークションで凄い値段が付きそうです」
「其れは楽しみだ」




