ダンジョン
「ムサシ様、新たなダンジョンが発見されました」リーンが俺に言って来る。
「ダンジョン?」
「はい、城塞都市の西の森にあるそうです」
「何でそんなところに」
「薬草採取をしていた冒険者が偶然見つけたそうです」
「へぇ」
「いかないんですか?」
「其れは行ってこいと言う事かな?」
「はい、ダンジョンの素材は組合の利益になりますから」リーンが言う。
「ははは、いっそ潔いな」
「はて。何のことやら?」
「流石はリーンだ」
「おほめにあずかり光栄です」
「ほめてないよ」俺はそう言って城塞都市の家に向かった。
「あら、ムサシ様」シーナが出迎えてくれる。
「何か、西の森にダンジョンが見つかったみたいだから行って来る」
「へぇ、頑張って」
「あぁ」俺は西の門に向かった。
「うわぁ、並んでる」俺はその列を見て萎える。
「ダンジョンが見つかったからな、冒険者が一攫千金を求めて集まっているんだ」前に並んでいた冒険者が言って来る。
「そうなんだ」
「あぁ、良いものがドロップすると良いな」そう言ってその冒険者は門を出て行く。
「俺は、行かないことを進めるが」門番が言って来る。
「俺もそう思うが、奥さんが行って来いってさ」
「あぁ、お互い苦労するな」
「ははは」俺はそう言いながら門を潜った。
「全員が向かっているから、迷う事は無いな」俺はそう思いながらその列に続いた。
「おぉぉ、本当にダンジョンだ」俺はそこを見て言う。
地面にぽっかり空いた穴、そこから地下に階段が続いている」
「俺は入らないことを推奨する、10日前から誰も帰ってこないんだ」ダンジョンの前にいた組合の人間が言って来る。
「そうなのか?」
「あぁ」
「んじゃ、行って来る」俺はダンジョンに入った。
「行くんだな」
「あぁ」俺はダンジョンに入った。
「一階層は大した魔物はいないみたいだな」
「くふふ、ゴブリン程度だね」
「んじゃ、サクサク行こうか?」俺は一階層を踏破した。
「くふふ、ゴブリンの魔石はどうする?」
「無視だ」
「くふふ、其処に2階への階段があるよ」
「あぁ」俺はその階段を無造作に降りていく。
魔力感知で、脅威になる魔物がいないことが分かったからだ。
「この階層は、何がいるんだ?」
「くふふ、ゾンビだね」
「まじかぁ」
「くふふ」
「あいつら臭いから嫌いなんだよ」
「くふふ」
「インフェルノ!」俺はゾンビを見付ける度に火魔法で焼却していった。
「くふふ、3階層への階段があるよ」
「あぁ」
「くふふ、他の冒険者に会わないね」
「あぁ、そうだな」
「まさか、ゾンビ相手に全滅するパーティーもいないだろう」
「くふふ、そうだね」
俺は3階層への階段を下りた。
「なんだ、この気配?」
「くふふ、これは凄い」
「何がいるんだ?」
「コカトリスの上位種、ハイコカトリスがいるよ」
「ハイコカトリス?」
「うん、ほとんどの冒険者がここで石になっているよ」
「凶悪だな」
「くふふ、美味しいお肉だよ」
「あぁ、俺にとってはそうだな」
「おっ、早速出てきたぞ」
「くふふ、先手必勝」
「あぁ」俺は天叢雲剣を抜いてハイコカトリスに襲いかかる。
5匹のハイコカトリスが一瞬で倒れた。
「あれ? 3匹が魔石に代わった」
「くふふ、ダンジョンだからね」
「でも2匹残ったから良しとするか」俺はハイコカトリスをミロクに渡した。
「くふふ、楽しみだね」
「そうだな」
「4階層への階だな」
「くふふ、下から凄い魔力を感じるよ」
「この階には何がいるんだ?」
「オークキングと、マスターオーク」
「其れは、普通の奴には無理だろう」
「誰も帰って来ない訳だね」
「あぁ」
俺は階段を下りた。
「ぶもぉぉぉ!」
「ぶきゃぁぁぁ」
「いきなり現れたな。」俺は天叢雲剣を抜いて言う。
「初見殺しだね」
「嫌な情報だ」俺はオークキングとマスターオークの首を落としていく。
全部で10匹現れたが、7匹が魔石に変わった。
「マスターオークが2匹とオークキングが3匹残ったね」
「あぁ、上々だな」
「ミロク」
「クフフ、解ったよ」ミロクはその3体を持ってくれた。
俺は周りに散らばっている冒険者カードに気付く。
「あぁ、20枚ぐらい落ちてるな」
「くふふ、せっかくだから拾っていけば?」
「あぁ、そうする」俺は辺りの冒険者カードを拾い集めた。
「成仏しろよ」
「くふふ、次の階段だ」ミロクが言う。
「なぁ、このダンジョン、俺以外は無理じゃね?」
「くふふ、そうかもね」
「で、この階は?」
「アークデーモンだね」
「何だよその無理ゲー」
「くふふ、でもいるからしょうがない」
「はぁ、解ったよ」
「アークデーモンは聖属性に弱いよ」
「そんなもの無いぞ」
「くふふ、そうかな?」
「え?」
俺はステータスを展開した。
名前 :ムサシ。
ジョブ :神の身代わり レベル142
生命力 :834 一般成人男性の平均は15
力 :420 一般成人男性の平均は10
魔力 :1104 魔力適正者の平均は30
魔法適正:有り
使用魔法:4大属性魔法 (火、水、地、風)、天、闇、時、空間、聖
スキル :剥ぐ者、統べる者 威圧 料理人 創造者
耐性 :炎無効 水及び氷無効 土魔法、大地魔法無効、風魔法、暴風魔法無効、毒無効、麻痺無効、精神障害無効、幻術無効、石化無効、汚染無効、即死無効、呪い無効、時魔法無効、睡眠耐性、飢餓耐性、排泄耐性、水分補給耐性
「あれ? あるな」
「くふふ、良かったね」
「あぁ」俺は5階層に降りた。
「うん? 広場になっているな」
「くふふいるよ」
「あぁ、感じる」
「一番奥にいるな」
「くふふ、そうだね」
「くっくっく、よく来たな、歓迎してやろう」アークデーモンがそう言う。
「要らないなぁ」
「くっくっく、お前に選択肢はない」
「ほぉ」
「我に蹂躙されるがいい」
「ホーリー」俺は聖魔法をノータイムで唱えた。
「ぐぎゃぁぁぁ」アークデーモンがのたうつ。
「おぉ、凄い効き目だな」
「貴様、よくも」アークデーモンが何とか耐えて攻撃を仕掛けようとする。
「ハレルヤ!」俺は更に呪文を唱えた。
「ひぎゃぁぁぁぁぁ!」アークデーモンが塵になって霧散していく。
「あっけないな」
「くふふ」
「おっ、宝箱だ」アークデーモンが消えた所には宝箱がポップしていた。
「罠とかかかっているかな?」俺は宝箱を鑑定する。
「毒ガス?」
「くふふ、君には無効だね」
「そうだな」俺は躊躇せずに宝箱を開けた。
「ぶしゅ~」毒ガスが噴き出してきた。
「全く効かないな」
「毒無効を持っているからね」
「さて、何が入っているのかな」俺は宝箱の中を見た。




