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リッチ

 俺はリーンに呼び出されていた。


「何だって?」俺はリーンに聞き返す。

「王都の東にある肉ダンジョンの10階にリッチが出たそうです」リーンが言う。


「リッチって食えるの?」俺は聞く。

「さぁ、骨ですからスープぐらいは取れるかも」リーンが言う。


「何でそんなのが肉ダンジョンに沸くんだよ?」

「攻略中の冒険者が罠のかかった宝箱を開けたら出現して居着いたそうです」リーンが言う。


「はぁ、それのレベルは?」

「測定不能ですが、Aクラスの冒険者のパーティーが全滅しています」


「大問題じゃん」

「その通りです」


「つまり、俺にそのリッチを討伐しろと?」

「そうです」


「はぁ、リーン」

「何でしょう?」


「今晩奉仕しろよ」

「はい、存分に」


「ちっ、捥げればいいのに」

「いっそ腎虚になれ!」組合の男たちが五月蠅いが無視だ。


**********


「潜る許可をくれ」俺は肉ダンジョンの組合の受付に言う。

「あぁ、ムサシ様、お願いします」受付嬢に懇願される。


「あぁ」俺はそう言いながらダンジョンに潜る。


「んで、何でいるんだ?」

「へへへ、あれが現れてから仕事がないんだ」ルチアが言う。

「旦那に着いて行けばおこぼれがもらえるかなって思って」アデルも言う。


「勝手にしろ」俺はダンジョンに足を踏み入れる。


**********


「ダンジョンが変わっているな」俺は思う。


「肉ダンジョンなのに、死霊系の魔物しかいない」

「旦那、周りがやばい」アデルが言う。


「ミロク」

「くふふ、解ったよ」ミロクが浄化を唱える。


 一瞬で周りの死霊が消える。


「さっさとクリアするか」俺はそう言いながら2階層に降りる。


「くわぁぁ」オークゾンビが襲って来る。


 俺は天叢雲剣でオークゾンビの首を跳ねる。

 オークゾンビは灰になり、魔石が転がる。


「面倒くさいな」俺は魔石を拾いながら言う。


「くふふ、私がフロア全部を浄化でやっつけるかい?」ミロクが言う。

「魔石を拾うのが面倒くさいから、このまま進もう」


「くふふ」


**********


「くはぁ、くはぁ、きつかった」俺は膝に手を当てながら言う。


「くふふ、結局オークをはじめ、ミノタウルスやコカトリスのゾンビを100体は切り伏せたからね」

「あぁ」


「くふふ、そして次がリッチがいる10階層か」


「旦那、全然儲からないっす」

「魔石が結構たまっただろう」


「この魔石がいくらになるのか?」

「魔石は全部お前らにやるよ」


「マジか、旦那」

「あぁ、好きにしろ」


「旦那、マジで神」


「さて、あそこがリッチがいるところか」俺はそのフロアに踏み込む。


「うっ」俺は魔力の重圧を感じる。


「何だこれ?」

「くふふ、それがリッチの重圧」

「マジかぁ」だが俺は一歩一歩其処に進む。


***********


「あいつか?」俺はそいつを視認して言う。

「くふふ、そうみたいだね」


 それはおぞましい姿をしていた。

 何かをするわけでもなく、只其処に居るだけだった。


「くふふ、生きる者の生気を吸っているね」

「え?」


「旦那、なんか身体がだるい」

「あたしもだ」


「マジか」俺は二人に結界魔法を唱える。


「あぁ、楽になった」

「あたいもだ」


「討伐しないとやばいな」


「くふふ、そうだね」


「俺は聖属性の魔法は無いぞ」

「天叢雲剣で物理的に攻撃すれば良いんじゃない」


「そうか」俺は天叢雲剣を抜く。


「***」リッチは俺を見て何かを言う。


 地面からドラゴンゾンビが現れる。


「なんだよこれ?」


「くふふ、ドラゴンゾンビだね」


「こんな奴、どうやって倒すんだ?」

「天叢雲剣で核を破壊する」


「核?」


「胸の辺りで薄く光っているだろう」

「あぁ、あれか」


 ドラゴンゾンビがブレスを吐く。

 俺は防御魔法を展開しながらドラゴンゾンビに向かって走る。


「ぐぎゃぁぁぁぁぁ!」ドラゴンゾンビが咆哮する。


「くふふ、麻痺と精神性への攻撃をレジストしたよ」


「耐性が無ければ厄介な奴だな」俺はそう言いながらドラゴンゾンビの核を天叢雲剣で刺す。


 ドラゴンゾンビは魔石に代わった。


 俺はドラゴンゾンビの魔石をミロクに持って貰いリッチに向かって走る。


「******」リッチがまた何かを言う。


「うぉ!」


 俺の目の前にデスナイトが10体現れる。


「リッチの奴、魔物を召喚しているんだな」

「くふふ、そうみたいだね」


「あぁ、鬱陶しい!」俺はデスナイトを天叢雲剣で魔石に変えていく。


 リッチは俺がデスナイトを倒していく様子を見てまた何かを言おうとする。


「させねーよ」俺はリッチに向かって足元にあった石を投げつける。


 俺が投げた石はリッチの顎を砕いた。


「@@@@」リッチが何かを言うが何も起こらなかった。


 俺は天叢雲剣を抜いて瞬歩でリッチの首を跳ねる。


「$$$$$$$$$」リッチが灰になる。


 そこには魔石と錫杖が残っていた。


 その瞬間にダンジョンが変わった。


 俺は魔石と錫杖を拾ってミロクに渡し、ダンジョンを進むことにした。


「旦那、肉ダンジョンに戻った」

「あぁ、そのようだな」


「ムサシ様、戻らないの?」


「ついでにダンジョンを攻略していこう」


「ははは、流石は旦那だ」


 俺は肉ダンジョンを攻略した。


 なんと、最下層のボスはマスターキング孔雀だった。


「くふふ、それを食べたらもう戻れないかもねぇ」ミロクが悪い顔で言う。


「かはは、保留にしよう」俺はダンジョンを出た。


**********


 ダンジョン前の組合にリッチ討伐を報告した俺は、リーンのところに戻った。


「リーン」

「まぁ、旦那様」リーンは何時ものように俺に抱き着いて口付けをしてくる。


「ちっ、捥げろ」

「砕け散れ」


 いつものように組合にいる男どもの目が厳しい。


「リッチを討伐してきたぞ」

「流石は旦那様です」


「で、ドロップは魔石と錫杖だ」


「まぁ、両方ともオークションです」


「それと、最下層のボスはマスターキング孔雀だった」

「初めて聞きます」


「ミロクが食べたら戻れないと言っている」

「まぁ」

「ふふふ」


「其れは是非食べないと」リーンがにこやかに言う。


「んじゃ、今晩王都の屋敷で食べようか」

「はい、旦那様」


「くふふ、忠告したのに」ミロクがぼそっと言う。


 因みに魔石は1個1Gになった。


「結構儲かった」


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