黒龍
「酷い物を喰った気がする」
「くふふ、あの町の名物だからね」
「因みに今まで何人死んだんだ」
「一人だよ」
「はぁ?」
「くふふ、コナマスが原因かどうかは知らないけど、その家族は年金を貰っているらしい」
「一気に力が抜けた」
「無駄に清涼感のある寄生虫を喰ったって事だな」
「くふふ、そうだね」
「今思い出しても気持ち悪い」
「くふふ、頑張れ」
俺はそこに向かって走った。
22
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「で、この山がそうなのか?」
「くふふ、感じない?」
「あぁ、びんびんに感じるぞ」
「主様」紅が俺に聞いてくる。
「何だ?」
「本当に戦われるのですか?」
「いや、ミロクの神気を素直に返してくれるなら戦わないぞ」
「あぁ、では戦うのですね」
「素直に返さないって事だな」
「えぇ、黒龍ですから」
「はぁ、面倒くさい」
俺たちは山を登った。
「そこで止まれ!」頭の中に声が響く。
「くっ、念話か」
「くふふ、大丈夫かい?」
「あぁ、大丈夫だ」
「我がテリトリーに何故入って来た? 人間!」
「あぁ、最初に言っておく、俺は『神の身代わり』だ」
「何だと?」
「黒龍よ、我もそれを証明する」紅が言う。
「なぁ? 貴様はレッドドラゴンか」黒龍が叫ぶ。
「そうだ」紅が答える。
「貴様、何故誇りあるドラゴンの姿を捨て、人間の姿を模しているのだ?」
「私は、ここにいる我が主、ムサシ様より名を賜った」
「何だと?」
「だから、ムサシ様に添い遂げた」
「馬鹿なぁ!」
「話を戻して良いか?」俺は二人の会話に割り込む。
「ぬぅ、人間のくせに我らの話に割り込むか」
「黒龍、ムサシ様は『神の身代わり』様だ」紅が言う。
「ぬぅ」
「お前が持っている、ミロク神の神気を返してくれれば、俺はそのまま帰る」
「ミロク神の神気だと?」
「あぁ」
「我をパワーアップしてくれているこれの事か?」黒龍が言う。
「そうだな」
「ははは、返すものか、この力が我を高みに上らせた」
「はぁ、ではお前はここで死ぬ」俺は天叢雲剣を抜きながら言う。
「わはははは、『神の身代わり』と言っても所詮は人間」黒龍が咆哮する。
「ブレスか」俺は防壁を展開して言う。
「おぉ、主様凄い」
「この程度は何でもない」
「なんと、我がブレスを防ぐか」黒龍が言う。
「ははは、これで力の差を解ってくれればいいんだがなぁ」
「笑止」黒龍は俺に腕を振り下ろす。
「どっせい!」俺はその腕を受け止める。
「なんだと?」黒龍が戸惑う。
「うりゃぁ」俺は黒龍の腕を持って投げ飛ばす。
「何と!」黒龍が驚愕する。
「我を投げ飛ばすかぁ」黒龍が飛んでいく。
ずばぁぁぁ!黒龍が地面に叩きつけられる。
「まだまだ」黒龍が立ち上がる。
「どっせい!」俺は黒龍の腹に一発入れる。
「ぐはぁぁ」黒龍がのたうつ。
「もう一丁!」俺は黒龍の腹に蹴りを入れる。
「ぐはぁぁ」
「まだまだ」俺は黒龍の腹にこぶしを叩きいれる。
「ぐばばばば」
「どうだ?」
「くははは、油断したわ、人間」
「油断ねぇ」
「では、我も本気を出そう」
「おぉ」
「これを食らえ!」黒龍がしっぽで攻撃してくる。
「おぉ、凄いな」俺はそれを受け止める。
「なぁ?」黒龍が驚愕する。
「くらえ!」黒龍は右足で俺を踏み潰す。
「どっせい!」俺はそれを受け止める。
「ば、馬鹿なぁ」黒龍が怯える。
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「さて、もう良いか?」俺は天叢雲剣をもう一度抜く。
「最後の通告だ、ミロクの神気を返せ」
「くはははは、無理だ」
「ほぉ」
「すでに我の気と混じっておる」
「はぁ、そうか」
「くははは、諦めろ」黒龍が言う。
「てい!」俺は黒龍の首を斬り飛ばした。
「くふふ、凄く一杯戻って来たよ」
「良かったな」
「で、黒龍は納品対象か?」
「くふふ、一生遊んで暮らせるGがもらえるよ」
「そうか、んじゃミロク」
「くふふ、解ったよ」
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「リーン」
「まぁ旦那様」リーンが俺に抱き着き口付けをしてくる。
「ちっ」
「捥げれば良いのに」いつも通り周りの冒険者が五月蠅い。
「黒龍を狩って来た」
「はぁ?」リーンが固まる。
「黒龍を狩って来た」俺はもう一度言う。
「旦那様」
「何だ?」
「黒龍を狩ったのですか?」リーンが言う。
「あぁ」
「マジですか?」
「あぁ」
「貴様、我が主の言葉を疑うのか」紅がリーンに言う。
「はぁ」リーンがため息をつく。
「黒龍を狩る力がある人間は普通ではありません」リーンが言う。
「はぁ?」
「ムサシ様、組合に納品を」リーンが言う。
「これを納品して大丈夫?」
「国王様がなんとかしてくれます」
「アルゴン頼みかよ」
「その肉は貴族連中に精力増強の薬になるので、1kg100G以上になりますが、奪い合いになるのでオークションにかけます」
「あぁ」
「鱗付きの皮や魔石や爪、牙頭などは全部オークションにかけます」
「そうなるな」
「組合が儲かり、私も昇進します、きっと」
「良かったな」
「はぁ」リーンがため息を着く。
「どうしたんだ?」俺はリーンに聞く。
「いえ、又忙しくなるなと思っただけです」
「苦労を掛けるな」
「いえ、いえ、ムサシ様のためですもの」
「ははは、悪いな」
「その分、今晩はサービスしてくださいませ」
「善処する」
「やっぱり捥げろ!」
「下半身事砕けろ!」ギルドの男たちが五月蠅いが俺は無視した。




