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コナマス

「さて、ブラックドラゴンが復活したか」

「はい、主様」紅が答える。


「どこで復活したんだ?」


「此処より南に33000kmほどの場所に」

「33000km?」


「はい」


「俺が全力で走って3週間か」

「計算上は」


「はぁ、遠いな」

「くふふ、魔法で繋げばいいじゃないか」

「あぁ、そうか」


「くふふ、海の上を走っていくつもりだったのかい?」

「ははは、海の上は走れそうもない」


「くふふ」


「その近くは言った事があるから繋げるよ」

「そうなのか?」

「くふふ」


「いつ行く?」ミロクが聞いてくる。

「今でしょ」


「くふふ、繋げるよ」


「おぉ」

「主様、勿論お供します」紅が言う。


「ははは、好きにしろ」

「御意」


「早く潜れ」ミロクがそれを維持しながら言う。


「あぁ」

「お供します」俺と紅が其処を潜る。


「おぉ、ここは何処だ?」俺が言う。

「くふふ、人魚の町から30000km離れた所だよ」


「おぉ。」


 俺は町に入る列に並んだ。


「此処は、何が名物なんだ?」俺は前の男に聞く。


「なんだ、この町は初めてか、ならコナマスがお勧めだ」

「コナマス?」

「あぁ、この町でしか食えない物だ」その男が言う。


「そうか、ありがとう」

「なに、問題ない、楽しんでくれ」その男が門を潜っていく。


「なぁ、コナマスって何だ?」俺は門番に聞く。

「おぉ、あれを食べに来たのか、んじゃ通って良いぞ」


「いや、コナマスが何だか教えてくれ」


「ははは、食べてからのお楽しみだ」

「そんなぁ~」


「まぁまぁ、主様食べてから決めましょう」紅が言う。

「むぅ、で、それが食えるのは何処だ?」


「何処でも」門番が答える。


「何だと」俺は辺りを見回す。


 其処ら中にコナマスを提供する看板があった。


「くふふ、食べてみれば良いじゃないか」ミロクが言う。

「そうだな」俺はそう言いながらコナマスを提供する屋台に近づいた。


「いらっしゃい、コナマスは初めてかい?」

 店の主人が聞いてくる。


「あぁ、全く知らない」俺は答える。


「なら、最初はプレーンだね」店の主人が言う。

「プレーン?」


「コナマスの味は刺激的だからね」

「刺激的?」


「大丈夫、戻ってこれるよ」店の主人が言う。

「はぁ?」



「はいよ、お待たせ、コナマスだよ」俺の前にそれが提供される。


「紫色をしてるんだが」

「あぁそれがコナマスだ」


「微妙に動いているんだが」

「生きが良いだろう」


「これを食うのか?」

「いや、飲むんだ」


「はぁ?」


「一気に飲むんだ」

「マジで?」


「あぁ、そうだ」


「飲んだら死なない?」

「今までは」


「マジかぁ」俺は覚悟を決めてそれを持つ。


「死にませんように」俺はそう言いながらコナマスを口にする。



「あれ?」見た目とは違って清涼感のある味がする。


「って言うか、これ自体が口の中に入ってくる」


 俺はコナマスの浸食を受けた。


「だぁぁ、何だったんだ」

「くふふ、君のコナマスの洗礼が終わったみたいだね」


「洗礼?」

「うん、コナマスは自ら認めないと洗礼を与えてくれないんだ」


「はぁ?」

「ムサシ。君はコナマスに認められたんだよ」ミロクが良い顔で言う。


「はぁ?」

「何だい其の反応?」ミロクが言う。


「いや、コナマスが何なのか一切解らない」


「あ~」ミロクが苦い顔をする。


「おい!」


「寄生虫だよ」


「げぇ~」俺は吐こうとする。


「大丈夫だよ、自分から寄生するために口に入るけど、ほぼ胃酸で死ぬから」


「何だよその罰ゲーム」俺は口をぬぐいながら言う。


「胃酸で死ななくても腸で死ぬし」ミロクが言う。


「何の恩恵があるんだよ」


「くふふ、自分のステータスを見てみれば」

「え?」



名前  :ムサシ。

 ジョブ :神の身代わり レベル135

 生命力 :727 一般成人男性の平均は15

 力   :833 一般成人男性の平均は10

 魔力  :1002 魔力適正者の平均は30

魔法適正:有り

 使用魔法:4大属性魔法 (火、水、地、風)、天、闇、時、空間、?

スキル :剥ぐ者、統べる者 威圧 料理人 創造者

 耐性  :炎無効 水及び氷無効 土魔法、大地魔法無効、風魔法、暴風魔法無効、毒無効、麻痺無効、精神障害無効、幻術無効、石化無効、汚染無効、即死無効、呪い無効、時魔法無効、睡眠耐性、飢餓耐性、排泄耐性、水分補給耐性


「おぉ、わずかだがステータスが上がっている」

「くふふ、普通の人なら数十分上がるんだよ」


「へぇ~それは凄いな」


「ほぼ50パーセントで死ぬけどね」


「何だそれ?」


「でも、生き残る確率は51パーセントだから」

「何で確率が上がるんだ?」


「さぁ?」


「死んだら、それはそれで名誉になるんだよ」

「何だそれ?」


「家族たちに年金が支給される」

「完全に地雷じゃないか」


「明日を生きる力がない者が挑戦するんだよ」

「おぉ」


「もし生き残ったらそれなりの力を得る」

「うん」


「死んだら家族の保証がある」


「う~ん」


「くふふ、この町のシステムだ」


「納得しろと言う事なんだろうな」

「くふふ、そうだね」



「はぁ、ブラックドラゴンのところに急ごうか」

「くふふ、そうだね」


「お供します主様」


「そう言えば紅はコナマスを食っていないな」

「御冗談を、あんな虫は我らドラゴン族は食べません」


「あっそう」俺は少し落ち込んだ。


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