その後
「はぁぁ、面倒くさい。」俺は腰の天叢雲剣に手を掛ける。
「このお方は、我に名をくれた」
「え?」俺は声のした方を見る。
そこには、絶世の美人がいた。
「え? 誰?」俺は呆ける。
「我は紅、ここにいるムサシ様より名を授かった。」
「貴様はレッドドラゴンか」ブルードラゴンが言う。
「そうだ、そして我が主は今剣を抜こうとしている」
「剣?」ブルードラゴンが言う。
「我らを容易く滅する事が出来る剣だ!」
「なぁ? 天叢雲剣!」ブルードラゴンが驚愕する。
「そうだ、その威力は知っておろう!」レッドドラゴンが言う。
「さっきは俺のブレスを防いだ」
「その程度は我が主なら可能だろうな」
「何者なのだ、その男は!」ブルードラゴンが叫ぶ。
「神の身代わり様だ!」紅が言う。
「神の身代わり・・様?」ブルードラゴンがわなわなしながら問い返す。
「あぁ、俺は神の身代わりだ」組合のカードを見せながら言う。
「ははぁ、ご無礼をいたしました、平に、平に~」ブルードラゴンが綺麗に土下座をする。
「ドラゴンの土下座を始めて見たよ」
「くふふ、私もだ」ミロクが俺の横でびっくりしている。
「此度はどのような?」ブルードラゴンが言って来る。
「此処にいるミロク神の神気を返してもらいに来た」俺は普通に答える。
「神気?」ブルードラゴンが呆ける。
「まさか、それが解らないのか?」紅がブルードラゴンに問う。
「解らない」ブルードラゴンが言う。
「お、お前、神気を解らないのか?」紅が語気を強める。
「神気とは何だ?」ブルードラゴンが言う。
「そこからか?」紅があきれる。
「訳の分からない物が有るのは判る」ブルードラゴンが言う。
「ふむ」
「100年程前に食らった者が持っていた物だ」
「解っているじゃないか」紅が言う。
「だが、これをどうすれば良いかが解らないのだ」
「どれ、私が見てやろう」紅がブルードラゴンに手を翳す。
「む~」紅が難しそうな顔をする。
「天叢雲剣の出番かな?」俺は剣に手を掛けながら言う。
「それは最後の武器です!」紅が言う。
「お前は忍者部隊〇光か?」俺は突っ込みを入れる。
「何ですかそれは?」紅が言う。
「あれぇ?」俺は肩透かしを食らった。
「ふむ、こうか?」紅が言う。
「おぉ、力が集まっていく」ブルードラゴンが感極まって言う。
「あぁ、解ったぞ!」紅が言う。
「くおぉぉ、力が吸われる!」ブルードラゴンが弛緩しながら言う。
「ははは、我ながら上手くいった。」紅が言う。
「どうなっているんだ?」俺は紅に聞く。
「お任せください!」紅が言う。
「おぅ」
「くふふ、凄い事になっているよ」
「そうなのか?」
「見た目は、少女がドラゴンから力を吸っている?」
「なんだよそれ?」
「くふふ、それ以外に説明できない」
「つまり、紅がブルードラゴンからミロク神の神気を吸い上げているって事か?」
「くふふ、そう」
「それ、大丈夫なのか?」
「さぁ」
「おい」
「紅が自らやっているんだから大丈夫じゃないかな?」
「そうなのか?」
「くふふ、知らない」
「おい」
「終わったみたいだよ」ミロクが言う。
「おぉ。」俺は紅を見る。
「主様」紅が俺を見て言う。
「おぉ」
「ミロク神様に」そう言いながら紅が右手を差し出す。
その手にはミロク神の神気があった。
「ミロク?」俺はミロクに言う。
「くふふ、いっぱい戻って来た」
「良かったな」
「くふふ、うん」
「あ~、大儀であった」俺は紅に言う。
「勿体無いお言葉」紅がその場で礼をする。
「え~っと、紅」俺は紅に聞く。
「はい、主様」紅が答える。
「お前自身に問題はないのか?」俺は聞く。
「はい、全く問題ありません」
「そうか」
「はい」
「でだな」
「はい」
「その姿はなんだ?」俺は紅に突っ込む。
「私に名を与えてくれました」紅が言う。
「確かに与えた」俺は答える。
「なので主様に添い遂げるために来ました」紅が言う。
「くふふ、フラグ回収」ミロクが嬉しそうに言う。
「てい!」俺はミロクの腹に一発入れる。
「くふぅ。」ミロクが昏倒する。
「はぁ、紅」
「何でしょう?」
「俺には妻が三人いる」
「はぁ、そうなのですか」
「其れだけか?」
「強者が複数の妻を娶るのは普通の事かと」
「そうなの?」
「お前の常識はそうなのか?」
「強者が複数の妻を娶るのは常識かと」
「え? そうなの?」
「はい」紅が答える。
「くふふ、常識に従え」
「紅を妻にしろと?」
「くふふ、良いんじゃない?」
「え~っと、ドラゴンだよね?」
「くふふ、そうだよ」
「俺は普通の人間だけど?」
「くふふ、普通の人間?」
「え? 違うの?」
「くふふ、違うかなぁ」
「え?」
「くふふ」
「どう言う事だ?」
「君は人間であって人間ではない」
「意味が解らないよ」
「あの~」ブルードラゴンが声を掛けてくる。
「何だ?」
「私はどうすれば?」
「別に、もう帰って良いぞ」
「そうなのですか?」
「あぁ、もう用はない」
「名付けは?」
「しない、これ以上面倒は良い」
「そうですか、ではこれで」ブルードラゴンが山に帰って行く。
「名残惜しそうに振り返ってるんじゃない!」俺は怒鳴る。
「くふふ、可哀そうに」
「知らない」
さて、ドラゴンを花嫁とかどーなるんでしょうね?




