そして次の獲物に
「最後に残ったのは龍種だよ。」ミロクが言う。
「龍種?」俺は疑問を口にする。
「くふふ、残るのが龍種って本当に人外だね。」
「何を言っているんだ?」
「君が聞いた事に答えただけだよ。」
「俺は、神気を喰った奴が後どれだけいるかと聞いたんだが?」
「だから、龍種。」
「え~っと、龍種って何匹いるんだ?」
「くふふ、4匹だよ。」
「4匹?」
「くふふ、そうだよ。」
「はぁ、ゴールが見えてきたな。」
「ここからが遠いんだけどね。」
「そうなのか?」
「龍、ドラゴンだよ。」
「龍までミロクの神気を喰ったのか?」
「食物連鎖の果てだろうね。」
「そうか、300年だもんな。」
「くふふ、そうだよ。」
「で、最初の奴は何処にいるんだ?」
「最初はレッドドラゴン。」
「おぅ。」
「城塞都市から東に向かい、山を3個超えた先の山の頂上にいるよ。」
「レッサードラゴンが居た所から更に山2個か。」
「くふふ、そう。」
「はぁ、ドラゴン以外にも大物が居そうだな。」
「そうだね。」
「んじゃ、今から行くか。」俺は支度をして家をでる。
「行ってら~。」シーナが見送ってくれる。
「あ~、この門から出るのは止めた方が良いぞ。」門番の衛兵が俺に言ってくる。
「あぁ、俺もそう思う。」
「あぁ、武運を。」
「ありがとう。」そう言いながら、俺は門を潜る。
「くふふ、あの門番も最早馬鹿の一つ覚えで言っているね。」
「日常茶飯事なんだろう。」そう言いながら、ある程度闘気を強めて森に入る。
「それでも、ちょっかいを掛けてくる奴はいるんだな。」俺はオーガキングを狩りながら言う。
「まぁ、一応上位種だからね。」
「オーガキングは、魔石と爪と心臓だっけ?」
「くふふ、よく覚えていたね、偉い、偉い。」
「あぁ、最初に狩ったミロクの神気を喰った奴だからな。」
「くふふ、じゃ、解体!」
「あぁ。」俺は一瞬で解体を終わらせた。
「持つよ。」ミロクがそれを持ってくれた。
「さぁ、先に進むぞ。」
「くふふ。」
*********
「オーガキングが児戯だった。」
「くふふ、随分狩ったね。」
「あぁ、まさかオークキングやマスターミノタウルスが襲って来るとは思わなかった。」
「くふふ、肉ダンジョンみたいだね。」
「もう少し闘気を強めるか。」
「くふふ、その方が良いかもね。」
*********
「何なんだよ、鵺とか麒麟とか神獣だよな。」
「くふふ、鵺はお肉が美味しいよ、それと毛皮と魔石。」
「あぁ。」
「麒麟もお肉が美味しい、そして魔石と皮と蹄。」
「はぁ。」俺はため息をつきながら解体をする。
「何か、レッドドラゴンに近づく度に魔物が強くなっていないか?」
「当然だよ。」
「え?」
「レッドドラゴンの放つ魔素が魔物を強化しているからね。」
「え? そうなの?」
「ドラゴンの魔素はそう言う効果があるんだよ。」
「マジかあ。」
「でも後山一つだよ。」
「はぁ、全力を出せって事だな。」
「くふふ。」
*********
「ぜはー、ぜはー、久しぶりに疲れた。」俺たちはレッドドラゴンがいる山の麓に到着した。
「くふふ、もう日が暮れるから、ここで野宿かな。」
「そうだな。」俺はそう言いながら野宿の準備を始める。
「まず、地魔法で寝れる場所を作る。」俺は簡易式だが寝れる部屋を作り出す。
「そして、飯だ。」俺は竈を作り、火を火魔法で作って其処に網を乗せる。
「竈に洗った米を入れた鍋を置く。」俺はミロクから鍋を貰って窯に乗せる。
「で、さっき狩ったオーク肉の良い所を厚く切って網に乗せる。」俺はそれを実行した。
「じゅわ~」オーク肉が焼けていく。
「さ~て、焼けてきたら俺特製の付けダレに漬けて、もう一度網に乗せる。」
「くふふ、美味しそうだ。」
「美味しそうだじゃない、美味しいんだ。」
「くふふ。」
「ついでに、味噌汁も作る。」俺は周りにあった食べられる野草をまな板で刻んで鍋に入れる。
「くふふ。」
「そこに溶き卵を投入。」
「くふふ。」
「米も炊けたな。」俺は鍋を見て言う。
「さて、更にキャベツを千切りに。」俺はミロクからキャベツを貰って千切りにする。
「くふふ。」
「さぁ、食べようか。」俺は地魔法で机といすを作り、机の上に同じく地魔法で茶碗と皿、そしてお椀を作って置く。
「ご飯をお椀によそい。」
「くふふ。」
「キャベツの千切りをよそった皿にオーク肉を乗せて。」
「くふふ。」
「味噌汁をよそい。」
「くふふ。」
「キャベツに俺特製のマヨネーズをかけて完成だ。」
「くふふ、野宿とは?」
「快適な環境?」
「くふふ、すべての冒険者が君を仲間にしたがるね。」
「なんで?」
「くふふ、君は自分が規格外だと言う事を自覚した方が良いよ。」
「え?」
「カリナ様も言っていただろう?」
「うん?}
「君が提供する、お風呂と食材に心を掴まれたって。」
「あれ? そうだっけ?」
「くふふ、朴念仁。」
「?」
「とりあえず、出来たから食べようか。」俺はテーブルに料理を並べる。
「くふふ、ポテトサラダはいらないのかい?」
「あぁ、忘れていた、ミロク。」俺はミロクからポテトサラダを貰って皿によそう。
「くふふ美味しそうだ。」
「あぁ、ミロクももう自分で食べられるんだろう?」
「くふふ、そうだね。」
「んじゃ、お互いに腹ごしらえをするか。」
「くふふ、解ったよ。」
俺たちは晩御飯を堪能した。
「さて、明日はレッドドラゴンとの対峙か。」
「くふふ、話が通じる奴だと良いね。」
「振りにしか聞こえない。」
「そんな事は無いよ。」
「なんかフラグを立てられているような気がする。」
「くふふ、無いから。」
「そうなのか?」
「うん。」
「んじゃ、俺は明日に備えて寝る。」
「うん、お休みムサシ。」
「ぐー。」
「寝た?」
「ぐー。」
「くふふ、本当に寝てる?」
「ぐー。」
「くふふ、久し振りの添い寝ターイム!」
「ぐー。」
「何もしないよ、一緒に寝るだけ。」
「ぐー。」
「と、油断させて、パンツにこっそりと手を。」
「てい!」俺はミロクの腹に一発入れた。
「ふぎゅう。」ミロクが意識を失う。
「寝ろ!」俺は安眠を勝ち取った。




