バジリスク解体
「はぁ、これを解体するの?」俺は嫌そうに言う.
「あぁ、お宝だよ。」ミロクはいつもの通り楽しそうだ.
[はぁ、観念したよ。]
「天叢雲剣の小太刀を使わないと、捌けないよ。」
「あぁ、解った。」
「まず皮は、石化防止に優れた防具になるよ。」
「おぉ、慎重に剥げって事だな。」
「くふふ、意外とお肉も美味しいんだ。」
「あぁ、部位ごとに切り分ける。」
切り分けた肉を、ミロクが持ってその場から消える。
「心臓は、薬の材料になるよ。」
「へぇ。」そう言いながら、俺は切り分ける。
切り分けた物をミロクが持つ。
一瞬で、心臓が消える。
「後、目と舌は希少部位だよ。」
「え? これが?」
「くふふ、おつまみに最高だよ。」
「げぇ、舌はともかく、目は嫌だ。」
「くふふ、バジリスクの目は、一個100Gになるよ。」
「マジかぁ?」
「くふふ、人生で一回ぐらいは味わった方が良いよ。」
「考えておく。」
「内臓も珍味として売れるよ。」
「こんな物が?」
「くふふ、生姜を利かせて、甘辛く煮れば最高の味になるよ。」
「ふむ、一回ぐらいは試して見るか。」
「くふふ、人生観が変わると思うよ。」
「そうか。」
「魔石は最低50Gになるよ。」
「あぁ。」俺は魔石をはぎ取ると、ミロクが一瞬で持ってくれた。
「骨は、う~ん、要らないかな。」
「持って帰れば売れそうだけど?」
「たいした収入にはならないから、破棄で。」
「解った。」
「くふふ、塵になれ!」ミロクの言葉で、バジリスクの残骸が塵になる。
「さて、帰るよ。」
「おぉ。」
俺達は、南の門に向かって走る。
当然、出会ったお肉は解体した。
ゴブリン44、オーク74、オーガ44、金鶏53、コカトリス12。
「くふふ、良い稼ぎだね。」
「あぁ。」その価値を知らない俺が返事をする。
「くふふ、一生楽して暮らせるよ。」
「え?」
「バジリスクも、レッサードラゴンも、勇者認定される獲物だよ。」
「いや、バジリスクはともかく、レッサードラゴンは、ミロクが狩ったよな。」
「くふふ、ムサシでも瞬殺だったよ。」
「はぁ?」
「謙虚だね?」
「いやいやいや、あの化け物を俺が狩る?」
「くふふ。」
「あ~、出来そうだ。」
「くふふ、そうだよね。」
「俺、どうなったんだ?」
「神の身代わりとして開花したのかな?」
「へぇ?」
「その反応が良いね。」
「ぜはー、ぜはー、ぜはー、きっつい。」俺は南門の前で、膝に手を当てて息を整える。
「くふふ、予定より3時間も早く着いたよ。」
「おぉ、バジリスクはどうなったんだ?」朝もいた門番が俺を見て聞いてくる。
「狩ったよ。」
「おぉ、流石だな。」
「とりあえず、この町の組合に納品しようか?」ミロクが言う。
「あぁ。」俺は組合に向かった。
「おや、神の身代わり様、納品ですか?」俺の顔を知っているお姉さんが、声をかけてくる。
「あぁ、そうだ。」
「はい、ではこちらのカウンターではなく、奥の解体場に。」
「あぁ、解った。」
「では、こちらで納品してください。」お姉さんが、大き目の素材を納品するところに案内する。
俺は、其処にミロクが持っていた物を取り出す。
「ゴブリンの魔石、120個。」
「あぁ、屑魔石です、30Gですね。」
「あぁ、それで良い。」
「オークの良い肉1080kg。」
「おぉ、これは良い肉です、648Gですね。」
「うん。」
「オーガの爪68匹分。」
「136Gですね。」
「うん。」
「金鶏81羽。」
「え? 金鶏?」
「うん。」
「マジですか?」
「1羽10Gです。」
「そんなに?」
「めちゃめちゃ美味いんですよ、しかもめったに獲れない物を81羽ですか?」
「あ~、1羽は俺が食う。」
「では、800Gです。」
「うん。」
「次は、コカトリス18羽だ。」
「は?」
「え?」
「こ、こ、こ、コカトリスですか?」
「うん。」
「お待ちください。」そう言ってお姉さんが奥に走っていく。
「くふふ、半分はリーンに持っていったら?」
「あ、そうだな、じゃぁ9羽にするか。」
「うん。」そう言ってミロクが9羽を持ち、その場から消える。
「お、お待たせしました。」お姉さんが恰幅の良い男を連れて来た。
「あ、あれ? 減ってる?」
「あぁ、悪いな、お土産を忘れていたから、半分にした。」
「でも、まだ9羽ありますから良いです。」
「コカトリスを持ってきたのは君か?」男が言う。
「はい。」
「しかも、大量に。」
「駄目なら、仕舞いますが。」
「いや、問題ない、あぁ、失礼した、此処の副組合長をしているオーマ・ドーンと言う、宜しく頼む。」
「はぁ、俺はム「神の身代わりのムサシ様だろ、宜しく頼むな、昨日はナマズを納品してくれたそうじゃないか、ありがたい事だ。」
「で、コカトリスなんだが、買取価格は1羽60Gなんだが、大量だから色を付けて70Gで買う。」
「良いよ。」ミロクが俺の声で言う。
「おぉ、ありがたい。」
「じゃぁ、決済宜しく。」俺はカードを渡す。
「はい、今回の買い取りは2214Gです。」端末を処理しながらお姉さんが言う。
「ははは、今後とも御贔屓にお願いします。」オーマ・ドーンが俺の手を握りながら言う。
「あぁ。」
「はい、決済完了しました。」お姉さんがカードを返してきたので受け取った。
「じゃぁ、また来るな。」
「「はい、お待ちしております。」」お姉さんとオーマ・ドーンの声がハモった。
宿に帰った俺は、ニホに金鶏を渡した。
「これは、金鶏?」
「あぁ、足一本分で料理を作ってくれ、残りは好きにしていいぞ。」
「あの。」
「ん?」
「このようなものにお支払いする「あぁ、要らない要らない、料理を作ってくれることが対価で良いから。」
「でも。」
「良いんだよ、後でテトをもふらせてもらうから。」
「え~。」テトが困った顔をする。
「そう言う事なら、存分に、夜伽をさせても構いません。」
「俺が構うよ!」
「「え?」」ニホとテトが同時に言う。
「あんたら、俺を貶めてるのかよ!」俺が叫ぶ。
「くはぁぁ。」金鶏の料理を喰った俺はその場で撃沈した。
「マジで、恍惚を味合わせてくれる味だった。」
賄いで食べた、ニホとテトも撃沈していた。
「金鶏でこれなら、コカトリスはどうなるんだろう?」
「くふふ、死んじゃうかもね。」
「何それ、怖い。」
「くふふ、くふふ。」
オーク肉の値段計算が違っていたので訂正しました。