No.8 生き残り
オクトール諸島・北の島 コロシアム
「やぁ、守護者の諸君!僕はダイス。宜しくね!」
彼のウインクに反応したのは何故かキョウだけだった。
しかし、彼もまた下を向きブツブツと何か言っている。
「三次元の男の娘なんて絶滅危惧種だと思っていたのに!!」
「五月蝿いぞ、キョウ。それで、作戦はあるのか?人数は揃っている。接近戦から遠距離戦まで対応出来るぞ」
ウサマルの言葉に始まり、作戦会議が始まった。
「今、コテツが上空で囮をしてくれているんだ。相手を陸上に誘き寄せてもらってる。僕は外から攻撃を仕掛けようと思ってるんだよね。キョウ君だっけ?僕について来てくれる?」
「男の娘からの指名♪───キO(≧∇≦)Oタ────♪喜んで!!」
去った二人を見つめながらヴィクトリアは溜息を吐いていた。
「お前達の仲間にもおかしい奴がいるんだな。君達もそうなのか?」
「キョウと一緒にしないで下さい。私は彼とは違いますから、安心して下さい」
「一番おかしいのってヤンなんじゃ…ヒっ、辞めてよ!睨まないで!」
足並みが揃わなくなる前にウサマルが仲裁し事なきを得た。
「私達が調べた限り、オプリニチキは200人の集団だ。数は多いが守護霊の使い方は完全に素人だ。しかも霊感が無い者までいる」
「成る程、なら俺達に出来る事は少数で大勢を叩くゲリラ戦と言う事だな。俺がいる限り完璧な防御は保証する」
「頼もしいな。今、二人には海岸に向かって貰っている。ダイスが大津波を起こして全てを巻き込む作戦だ。何か他に良い案はあるか?」
「立地から言って、コロシアムは良い防波堤になる。水攻めと籠城戦を使えば200人など容易いだろう。まずは城の確保からだな」
数分後・コロシアム内
「おいっ、アイツらはどこ行った!?」
「さっきまでいたはずでしょ!全く、早く探すわよ!ヴァニラ様が何と言うか…」
足音が遠くなったのを合図に鏡から「反射せよ」という言葉で姿を表した。
「馬鹿者、敵の情報すら相手は持っていないのか。情報戦は戦の基本だろうに」
コロシアムに侵入し、入り口を封鎖しながら中央の試合場に向かう。
しかし、オプリニチキが同じように侵入し守護者達の討伐にあたっているのだ。
「ダイス達は準備出来たようだ。連絡すれば直ぐに津波を起こせる。フラン、あまり時間が無い。偵察を頼む」
『分かったわ!私、頑張る!』
「エルヴァイラ、申し訳ありませんが狭い場所では戦車が出せません。幸運な事に霊感が無い者もいるとの事、先に試合場について相手の様子を見てきてください」
2人が守護霊に指示を出し、周りの敵を蹴散らしながら試合場へと向かった。
No.8を読んでいただきありがとうございました。
次はNo.9「正義と我が儘」をお送りします。