No.5 黒い波
オクトール諸島・上空
「ねぇ、ねぇコテツ。まだ着かないの?」
「もうすぐだ。早く座席に戻ってくれ」
「はーい」
旅客機の中、ダイスはスキップをしながら自分の座席に戻る。
しかし、その態度とは異なり表情に笑みはない。
その様子をヴィクトリアが座りながら見ていた。
「どうだ、ダイス。あいつらの姿はあったか?」
「いいや、それ以上にシャトランスの生徒が移動してるみたいだね」
オクトール諸島・地上
「タオユン先生、ご協力ありがとうございます」
カレッジへの避難の為、テレポートが使える生徒と共にタオユン先生が来てくれた。
「全く、これで30回目ですよ。私の能力に回数制限がないからと言ってこき使いすぎですよ」
「ポートマン、過去の事を忘れたか。異能力を殺人の為に使った罪だ。課外授業と思え」
「…はぁ、分かりましたよ」
瞬間移動の方法は彼の手に間接的に触ればいい。
輪を作るように手を繋いだ後、一瞬にして姿が見えなくなった。
「カンナさん、1、2年生の避難は終わった。BIG7は?」
「もうすぐ来るよ。…どっちとも」
シュン君の報告を聞いていると、タマミちゃんもこちらに駆け寄ってくる。
「今日は空港が忙しくなりそうだねー。お兄ちゃん達も準備出来てるよー」
「カンナ君、ヴァニラ君達の位置が分かったよ!今、コロシアム側の海上にいるみたい。どうする?」
「もうすぐ、コテツさん達が来るので其方に対応してもらってください。私は母の所に行かなければいけないので」
この日の為にBIG7を始め、沢山のOBに来てもらった。
位置情報をワットさんに探って貰い、偵察が出来るクレアさん達に頼んだ。
準備は万端。
改めて、自分には心強い仲間がいるなと実感する。
ここからは戦争だ。オクトール諸島は完全なる無法地帯だ。
この中で誰が死んでもおかしくない。
「タマミちゃん、シュン君。じゃあ、行こうか“あの人”の所へ」
母のネックレスを握りしめながら校舎の方に向かった。
オクトール諸島 北の島
「ヴァニラ様、部隊の手配が整いました。ご指示を」
「私とラトゥーシュカ、シャンランで残りのBIG7を叩きます。貴方達は守護者を叩いて。邪魔だから」
「はっ、畏まりました」
その後、彼女は咄嗟に盾を展開した。
「ヴァニラ、上空にいる奴はコテツか」
「えぇ、早速来てくれたみたいね。こちらとしても助かるわ。シャンラン、お願い出来る?」
「仕方ないネ。悟空、顕現するヨ」
No.5を読んでいただきありがとうございました。
次はNo.6「地下の戦場」をお送りします。