No.41 守護
「ダイスさん、早くこっちへ!!」
彼の手に掴み、螺旋階段を駆け降りる。
後ろから何かを引きづる音がし、恐怖を煽られるが、それで足を止める訳にはいかない。
真下を見れば母は無事に地面に着地出来たようだ。
しかし、足を負傷している為移動は困難だ。
私達も出来るだけ其方へと向かわなければならない。
しかし、それを拒むように雷鳴と目が眩むような雷が私達に放たれた。
「きゃっ!?」
自分が駆け降りようとした、次の段は黒焦げになり破壊された。
すぐさま、一段飛ばしで対応したが、こんな事をされては心臓が保たない。
しかし、ペルケレ先生も闇雲に階段を破壊する訳にはいかないだろう。自分が動けなくなるからだ。
「タマミちゃん、ママは!?着地してる?」
「今、着地したよ!待ってて、3人も下ろすから!」
タマミちゃんの近くに寄り、風を起こしてもらった後、階段から一緒に飛び降りる。
滞空時間中は無防備だ。
19階、60mから飛び降りる恐怖を堪えながら着地する時を待つ。
空中で仰向けとなり、ペルケレ先生の動きを見ていると失目しそうな程の激しい雷と、塊ごと落ちてくる階段の姿があった。
「(ヤバい!死ぬ!!)」
目を逸らしても死ぬ。逸らさなくても死ぬ。
階段がどこへ落ちてくるのか予測しなければならないのにそれが出来ない。
悍ましい恐怖が勝り、脳が思考停止しようとしているのだ。
結構、何も考えられず地面へと着地した。
足が竦み、動かず、匍匐前進をしながら壁際へと移動しようとした。
「(死にたくない!死にたくない!)」
しかし、壁際へ向かいたいのだが視線が本能的にチラチラ動き、視点が定まらない。
「皆んなは?何処?」
その言葉の後、視界が真っ暗になった。
そのあと、劈く悲鳴を私は聞く。
No.41を読んでいただきありがとうございます。
次はNo.42「犠牲」をお送りします。




