No.40 狙い
彼の狙いが今ようやく分かった。
その言葉の通り、何度でも母を殺そうとしている。
「カンナ、どうしたの?」
私は咄嗟に母を庇おうと前に出た。
現在進行形で母は生きている。
まさか、罪を償う為にこんな面倒な事をする奴がいるだろうか?
ペルケレ先生は人を集めて目の前で母を殺すつもりだ。
過去の事件など関係ない。
死体がないなら作ればいい。
凶器がないなら作ればいい。
非常に不味い事になった。
ここは、彼の陣地内だ。
母を庇いながら外へ連れ出す事など出来るだろうか?
彼が私の目を見つめている。
目を泳がせば動揺していることなど直ぐにわかるだろう。
彼の口が開きそうになった時、咄嗟にこう言った。
「皆んな、早く逃げて!!」
「オッツォ、顕現してください。エレベーターを停止させます。逃しませんよ」
雷を帯びるハンマーによって、校舎のブレーカーが一気に落ち、夕日しか頼れる明かりが無くなった。
微かな光を頼りに咄嗟に母を背負い校長室から去ろうとする。
「カンナ、無理よ。私を背負ってここから逃げるなんて」
「無理じゃない!タマミちゃん、協力してくれる?風を使ってママを一階まで運んで欲しいの!」
「勿論。ペルケレ先生、とうとう本性を表したねー。また、何か仕掛けてくるのかな」
そのあと、シュンくんも武器を出し私達に話しかけてきた。
「俺も練習用の弾を使って目眩しをしておく。これで少しは時間稼ぎ出来るだろう」
「ありがとう。シュン君。でも、一階の出口は自動ドアで開かないのは変わりないし武器で破壊するしかないね。八咫烏さん、逃げている間に偵察をお願い。《奥義・烏合の衆》さぁ、みんな頼んだよ」
煙幕の中、カラス達が飛び立っていく。
「カンナ殿、このまま一箇所にいては危険でござる。我々はどうすれば!」
「ペルケレ先生は10年以上前に母を殺した犯人なの!彼の目的は生き返った母親を大勢の前で殺す事!シュウマ君やダイスさんは母親を護衛してもらえますか!?私達3人でペルケレ先生を食い止めます!」
シュウマ君が去る中、ダイスさんは階段の前で立ち往生していた。
「...何?僕達今まで犯罪者と手を組んでたの。僕も人のこと言えないけどさ。あり得ない、あり得ないよ。こんな事の為にこんな面倒で遠回しな事やって僕達を巻き込んだ。彼は人間なの?悪魔じゃないの?」
パニックになるダイスさんの手を引いて、私達は螺旋階段を駆け降りた。
No.40を読んでいただきありがとうございました。
次はNo.41「守護」をお送りします。




