No.36 調査報告
「君、僕に何か恨みでもあるの?」
睨み返したダイスだったが、トワコが間に入り仲裁を持ちかけている。
「辞めて。皆、こんな状況下でピリピリしているの。ダイス君、武器を収めて」
確かにこの状況下ではダイスに勝算などないだろう。
トワコの言う通り、武器を解除した。
「兄上の言う通りであったでござるな。其方であろう。アメリカのBIG7、コードネーム:ダイス。それとも、本名の方が良いか?キャンベル・アーサー殿?生粋の軍人は血の気が多いでござるな」
「僕、その名前嫌いなんだ。にしても、僕の本名を知ってるなんて可笑しいな?僕の存在事態アメリカの国家機密なんだけど。君“普通の生徒”じゃないよね?何、隠してるの?」
「何も隠し事などしてはおらぬ。“誰も知ろうとしなかっただけ”拙者が夜間、何をしようと周りは此方には目を向けようともしなかった。拙者にとっては好都合の環境でござったがな。お陰でかなりの情報が手に入ったでござるよ」
「ふーん、君は誰かに依頼されて学園にいたスパイって所か。ねぇ、君の目的は何?」
「拙者の目的は10年以上前、ニホンで起こった殺人事件の犯人を捕まえる事。容疑者は海外に逃亡し、行方をくらませておる。兄上が在籍する“国際警察”は指名手配犯を世界中捜索するものの手がかりが一つもない。さすれば、消去法しかないでござろう」
「世界中探し回って辿り着いたのがシャトランスだったと。でも、関係者しか入れない。だから君が選ばれた。霊感があるから」
突然の会話に周りがザワザワと騒ぎ始める。
無理もない。自分の通う学園の中に殺人犯が紛れ込んでいるかもしれないからだ。
しかし、そんな事“関係者”達は既に知っている情報であり各々が自分の目的のためにこれまで動いてきたのだ。
もう既に集大成間近と言ってもいいだろう。
「今、国際警察がオクトール諸島に向かっておる。ヤシロ容疑者をニホンに連れ戻す。ダイス殿にはそれに協力して貰いたい。頼めるであろうか?」
「嫌、僕そんな人知らないし。何かの勘違いじゃないの?それより、僕はカンナのお使いを遂行しないといけないから」
そう言うとトワコは何かに気づいたのか、ダイスに耳打ちした。
「...は?リリィ、それ本当?カンナが殺人犯の親族かもしれないって」
「私もうろ覚えだけど、事故か夫が妻を殺したみたいな事は覚えてるの。本人に聞いて見ないと分からないわ」
少し、ダイスは考えたあとこう口にした。
「なんかやる事増えちゃったな。とりあえず、君は僕について来て。...後でカンナに問いたださないと」
No.36を読んでいただきありがとうございました。
次はNo.37「昔話」をお送りします。




