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No.32 墓場

「楽しそうな話をしてるね。僕も混ぜてよ」


熱風の発生源がにこやかな笑みを浮かべながらこちらへ近寄って来た。


先程は怒りを露にしていたのは何だったのだろうか?

...いや、それ以上の彼、ダイスの中には表現出来ない程の怒りが込み上げているのだろう。


「...ヤンさん、世界で一番敵に回しちゃいけない存在って知ってますか?」


「母親では?」


「それも正解ですけど、闇堕ちした男の娘はもっとヤバいんだよなー。逃げますよ!ヤンさん!早く!」


ヤンはキョウに手を引かれ、ダイスから遠ざかろうとする。


「キョウ、今更ですが武器を展開した方がいいのでは?私も貴方も防御出来るでしょう」


「それが無理だからこうして逃げてるんですよ!水中に潜伏していたのに弾丸みたいな武器が飛んできたんですから。ウサマルさんは今どこですか!?万能な鏡ならまだ勝機はありますよね」


「確かに、彼が側にいれば私達が死ぬ事はないでしょうね。エルヴァイラ、急ぎます。顕現してください。歩くよりはマシでしょう」


戦車に乗り込む姿をダイスが逃す筈がない。


《56》《1》《1》《73》《87》


「僕が君達を逃すとでも?」


次の瞬間、2人は石の様に動けなくなり当然、戦車も動かせなくなってしまった。

更には蔦が身体に纏わりつき、更に拘束を強めていく。


ダイスの攻撃方法は最大で100通り存在する。

時に運が絡む事になろうと彼の強さが衰える事はない。


「さっきは邪魔が入ったけど、僕は君達と仲良くしたいだけなんだ。だから、諦めちゃいなよ。君達みたいな実戦経験の乏しい守護者達に僕は倒せない。弱い者は強い者の言う事にしたがっておけば良いんだよ。

って、聞いてないか」


ダイスは蔦の絡み付いた戦車の方に足を進める。

無防備な戦車のハッチを開けば、一ミリも動かない2人がいた。


『ねぇ、ダイス。この2人どうするつもり?』


「うーん、あっ良い事思いついた。戦車なんだからガソリン積んでるよね?《数字指定:9 ライター》じゃあね、さようなら」


その言葉の後、ダイスは戦車の中にライターを投げいれた。


No.32を読んでいただきありがとうございました。

次はNo.33「不可能」をお送りします。

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