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No.25 発見

シャトランス・庭園


カンナとシュンから逃走した3人は庭園を隈なく探し、ヴァニラとラトゥーシュカの居場所を探していた。


「キィィ」


教会の木製の両扉を開けるものの暗闇のみで人気がない。


「此処にもいないヨ、何処に行ったネ」


溜息をつきながらシャンランが外に出ると、囮なった悟空が彼女の元に帰って来た。


「オイ、シャンラン。お前、怪我してないか?」


「何、言ってるネ」


そのあと、悟空が駆け出したので何かと思い、付いて行った。

しかし、突如立ち止まる。

下を注意深く見ると少量の血痕を見つけた。


「…!?」


辺りを見渡すものの、人影はない。

しかし、血痕が他の所にも散らばっており気になったシャンランは慎重に後を追った。


庭園・北東部


行き止まりまで向かったその先には桜の花びらが風に乗り、舞っていた。

この時、彼女は此処がゴールだと直感で分かった。


ニホン式の家屋の扉を開け、ドスドスとあえて派手な音をだし室内に上がり込む。

相手を警戒させる為だ。


歩を進めると誰かの声が聞こえてくる。

内容は分からない。

しかし、既視感のある声色(こわいろ)だった。


彼女にとっては見られない襖を慎重に開けると、六つの瞳と目が合った。

手前にいたヴァニラはドキリと身体を震わせるものの、シャンランを見ればホッとしたのか胸を撫で下ろした。


「良かった。シャンラン、驚かせないで。敵かと思ったじゃない」


「何言ってるヨ。そしたら抵抗すればいいネ、その為に私達は守護霊を…」


その言葉にヴァニラもラトゥーシュカも首を振った。

良く見ればいつも側にいるはずの守護霊がいない。

何か違和感を感じたシャンランは格室内、庭先にかけて探したが小梅以外の守護霊は此処にいなかったのだ。


「シャンラン殿、丁度いい所に来た。今先程、言葉を唱え守護霊を元の霊界へと帰還させた。貴殿も望むので有れば直ぐに行える。どうだろうか?」


「くっ、余計事ヲ!!」


問いかけたヒデキチに対し、シャンランは穏やかに対応出来なかった。

この状況下で自分の武器を手放せば待っているのは「死」だ。


彼の胸ぐら掴むシャンランを2人は必死に止めた。


「辞めろ、シャンラン!!これは俺達の望んだ事だ、ヒデキチは悪くない。誰かが、降参しなければこの戦いは終わらないんだ。それが、偶々(たまたま)俺達だったという話だけだ」


その言葉を聞いたヴァニラはポロポロと涙を流していた。


No.25を読んでいただきありがとうございました。

次はNo.26「これから」をお送りします。

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