No.23 隠れ家
シャトランス・地下
拘束された状態で連れてこられたシャンランはレイカの指示に従うものの不服そうな顔をしている。
「あら、どうしたの?あぁ、ごめんなさい。手錠を外すのを忘れてたわ」
手錠を外してもその表情は変わらない、その態度にレイカは首を傾げている。
「…どうして私を助けるネ」
「どうしてって。それぞれの立ち場は違うけど、命は平等に存在するもの。私は誰も死んでほしくないの。私が言っても説得力はないでしょうけど」
その言葉にシャンランは溜息を吐いた。
「良くそんな綺麗事を言えるネ。そういう偽善者は世の中に沢山いるヨ」
「あら、いいじゃない偽善者でも。綺麗事でも誰かが言わないと、戦いで人が死ぬのが当たり前になってはいけないの。そうでしょ?」
シャンランは少し考えた後、話をこう切り出した。
「それはそれとして、まずは2人を探さないといけないネ。何処に行ったネ。彼奴ら」
「此処に来る前にいなかったって事は北側にはいないでしょうね。そうなると南側。案外近くにいるのかもしれないわね。でも外に出れば大変よ?今回は運が良かったのもあってすんなり地下に迎えたけど、タイミングが悪ければ奇襲されていた可能性もあったもの。派手な移動は出来ないわね」
そう言いながらレイカは監視カメラで2人の居場所を調べているケンシロウを見ている。
そのあと、ケンシロウが2人の元へ戻って来た。
「おかしい、何処の施設にも見当たらない。逃亡したのか?」
「それは有り得ないネ。じゃないと、コテツが我を見張らずレイカに監視を頼んだ意味がわからないヨ。見つかっていないから探しに行った、そっちの方が筋が通るネ」
「確かにそうね。他に監視カメラが無い場所ってあったかしら?…あぁ、あったわね。イブが良く行ってたもの。そこでシャンランさんとお話ししたわよね?いや、ちょっと違うかしら?」
「何言ってるネ、レイカ?我はイブと余り話した事ないヨ?喧嘩してから口も聞いてないネ。あれ?何処だっけ?」
「庭園か。盲点だった。野外は基本的にカメラが無い。守護者達の居場所も殆どバッチだけで居場所を把握していたからな」
「じゃあ、行き先は決まりネ。後は…邪魔者が彷徨いていなかどうか」
No.23を読んでいただきありがとうございました。
次はNo.24「奇襲」をお送りします。




