No.18 弱点
コテツはオクトール諸島に訪れる前にロシアとチュウゴクのBIG7に対する情報は粗方調べていた。
その中でシャンランに対する情報を思い出していた。
コードネーム:パンダ
可愛らしい名前だが、実際に彼女達を見ればこの名前はミスリードになるだろう。
この名は守護霊の姿を誤認させる為でもあった。
共通点といえば、守護霊が白黒の動物という事だろうか?
10年前から始まり、ペルケレ、トワコ、コテツと守護霊を召喚する人物が増えてきたが、シャンランは守護霊使いとしては新米だが幼い頃から恵まれた身体能力でカバーしている状況だろう。
確かに、コテツの視点から見ても優れた身体能力を持っている事が分かる。
しかし、精神的な部分はどうだろうか?
彼女はまだ21歳の女性だ。
そんな年頃の女性が国の為に殺戮を繰り返している事はかなり異常な事だろう。
それを自覚してやっているのなら彼女は殺人鬼だ。
しかし、普通なら耐えられる筈がない。
どこかで精神崩壊している可能性も考慮しなければならないのだ。
そもそも、霊感があり守護霊を所持している時点で異常な集団なのはコテツが一番理解しているだろう。
戦いを推奨しているのなら尚更だ。
「…」
そう思うとコテツは自分の過去を思い出し、相手に同情した。
こう言う時に人間がする事手段の一つをコテツは知っている。
「依存」だ。
神でも人でも何でも良い、自分の生き方を教えてくれる存在に依存するのだ。
そうやって、自分を「正当化」するのだ。
自分が悪である事を認められず、真実を目を向けてしまったら壊れてしまうからだ。
「彼女は誰の為に戦っているんだろうな…」
『コテツさん、どうなさいましたか?』
「ミズキさん、もう少し彼女についての情報が欲しい。彼女の弱みを知りたいんだ。その上で…人質をとりたい。彼女の心の核を壊す」
『コテツさんにしては珍しいですね。…周辺情報を確認します。同じ高度にペルケレ様がいらっしゃいます』
「分かった、一旦攻撃を中止する。集中力も限界だ。そちらに向かおう」
No.18を読んでいただきありがとうございました。
次はNo.19「人質」をお送りします。




