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No.17 猿と鳥

オクトール諸島・北の島


>「「コテツ、上空から相手を探して!頼んだよ!」」


戦闘機の無線を通してダイスの会話を聞いたコテツは呆れていた。


「全く、こっちも暇じゃないんだぞ」


そう言いながらも彼は操縦桿を握り相手の攻撃に備えている。


気を緩めれば四方八方から攻撃が飛んでくる。

それが“彼女”のやり方であり“武器”だからだ。


ダイスの援護に向かいたいのは山々だがこの状態では何も手を貸すことは出来ない。

早急に事を片さなければ、偵察など無理だろう。


『コテツさん、どうされますか?ダイスさん、かなり機嫌が悪かった様に聞こえたのですが…』


「子供じゃないんだ。自分の機嫌ぐらい自分で治せるだろう。俺は彼女を片付けてから向かうとダイスに伝えてくれ」


『かしこまりました』


彼女を片付けたいのだが、ガラス越しに見る世界では彼女は豆粒にしか見えない。

しかし、コテツに視覚は必要ない。

目を閉じ、自分の感覚で相手を探す。


「…いた」


見つければ急降下を開始し、シャンラン目掛けて爆弾を投下する。

上手く投下出来たのだが、その攻撃を意図も容易く無効にしてしまうのがシャンランなのだ。


「悟空、拡張するヨ」


拡張された如意棒によって爆弾を空中分解される。

実はこれを1時間以上繰り返しているのだ。


一言で言うならこれは一対一の“持久戦”であり“長期戦”でもある。

どちらも体力と集中力が削られないよう、当たり前の事を当たり前にやり隙を絶対に見せない。

特別な事もしない。


しかし、終わりが見えなければ苛立つのが人間だ。

ダイスから連絡を受けたコテツは内心焦っていた。


穏やかな彼が苛立ち、援護を要請すると言う事は危機的状況なのだろう。

出来るなら自分も早く其方に向かいたい。

しかし、それは相手の思う壺だったとしたら?


「ミズキさん、爆撃の準備を。何度も攻撃して相手の隙を作る他ないな」


『相手も強敵ではありますが、1人の少女です。肉体的な強さはあっても精神的な強さがあるとは限りません。ここはじっと耐えましょう』


次の攻撃に備える為、準備を開始する中コテツはシャンランをじっと見つめていた。






No.17を読んでいただきありがとうございました。

次はNo.18「弱点」をお送りします。

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