No.15 神風
シャトランス・地下4階
「分かった。やってみるよー」
溜息を吐きながら通話を終えるタマミをカンナとシュンは見ていた。
「どうしたの、タマミちゃん?何かあった?」
「お兄ちゃんがBIG7の人と戦ってるみたい。攻撃を変更させる為に槍で作れる風が必要なんだってー、どうしてだろう?」
その言葉にカンナは何かに気づいたようだ。
何故なら、攻撃方法を変更できる守護霊は限られているからだ。
その違和感をカンナは見逃さなかった。
「…どう言う事?何であの3人と戦ってないの?キョウさんは今、何を考えてるの?」
状況を確認する為、レイカをケンシロウに任せ3人で校舎の外に出ることにした。
まずは、カンナとシュンが守護霊に偵察を頼む。
しかし、自分達がこの校舎に入った時と比べ物にならない程の悪天候だ。
オクトール諸島を覆い囲む真っ黒な雨雲から雷雨が降り注いでいる。
一瞬でいいのだ。偵察出来る時間が欲しい。
ならば“彼女”に任せるのがいいだろう。
ミルクに連絡し、快晴に上書きするように指示した。
「多分、コレ、ダイスさんがやったんだと思う。ミルクちゃん以外に天候を変更できる生徒はいない。ダイスさんは出目によって出す物が違うから可能性は高いと思う」
「だからお兄ちゃん、風を起こしてくれって言ってたんだねー」
「カンナさん、隼達が帰ってきたぞ」
シュンの言葉に帰還した八咫烏達に気付き、労いの言葉をかける。
オクトール諸島・北の島
「可笑しいな…」
この状況をダイスが気づいていない訳がない。
天候を変更され、不気味にうろつく鳥達がいるからだ。
賽を手のひらで転がしながら辺りを伺っている。
「あぁ、成る程。仲間意識ってやつ?僕には理解出来ないな。同じ学校の生徒ってだけでそっちの味方をするんだ。まぁいいけど、手加減とかいらないよね?レディ、100面ダイスに変更して」
次々にサイコロを投げていく、出てきた目は《30》《95》《77》だ。
数字指定せずランダムで有れば釣竿や使えない物が出てくるのはご愛嬌だ。
その中でダイスは野球ボールを手に取った。
「ヴィクトリアが側にいればホームランも夢じゃないのにな!!」
勢いよく投げた2球のボールは何かを追うに変な軌道を描いている。
「…さぁ、誰に当たるかな?楽しみだね」
No.15を読んでいただきありがとうございました。
次はNo.16「ヒット」をお送りします。




