No.14 追走
オクトール諸島・海岸
キョウの言葉に促されたラトゥーシュカとヴァニラは共にジェットスキーに跨り中央の島を目指している。
『キョウ、本当にこれで良かったのかな?僕、心配だよ』
「ダイスさんは殺気立って冷静な判断が下せないんだよ。何度も人の死に触れてるから命の重みが分かってない。自分より年下の後輩達を殺そうとしている所を黙って見てる程僕もビビりじゃないからね。行くよ、ケイ君、実物顕現してくれるかな?」
キョウが海の中へと飛び込んだのと同時に海面に巨大な生物が現れる。
遠くから見れば島にも見えるだろう。鯨だ。
人間の一歩より鯨の一泳ぎのほうが効率がいいと考えたのだろう。
キョウは彼の背中に乗り、ダイスを探している。
「レディ、8面ダイスに変更して。《数字指定:8 鯨波》」
その言葉の後、あまりに不自然な高波の存在をキョウは察知した。
「不味い!ダイスさん以外海上だ。ケイ君、《葉》に展開して!武器範囲を2人の所まで延長して」
『えっ!?出来るけど、耐久性が低くなるよ!?』
「早く!やってから考えればいいから!」
無理矢理延長させた細長い水槽は巨大な波の影響で激しく振動を立てている。
波に巻き込まれるなかったのはいいものの、振動は不安感を煽るのに十分だった。
今までどんな相手にも手加減してきたキョウにとって初めて「ヤバイ」と思わせたのはダイス以外にいるだろうか?
彼の攻撃手段はサイコロの面だけ存在する。
最大で100通り、多様性ならキョウも引けを取らないがそれでも限界があるものだ。
海に身を隠す中、キョウは必死に考えた。
自分が2人を守るには限界がある。
助けを得る為、携帯を手に取った。
自分と同じ守護者達はそれぞれ自分の任務に当たっている。
誰かいないだろうか?
ダイスの攻撃を妨害出来る存在が。
「メイさんならどうするかな...」
彼女はズル賢い人だった。勝つ為には手段を選ばなかった。
イカサマなんて息を吐く様にしていただろう。
合法と言わないと彼女に怒られそうだが。
「...分かったぞ、彼に勝てる方法が」
自分の知っている中で適合者になりそうな人物を出していく。
とは言え、彼女にも大事な任務がある。
今こそ、兄の勘に頼るしかない。
出てくれる事を信じ、電話をかけた。
「「もしもし、どうしたのお兄ちゃん?」>
「「シスコンで良かった!!」」<
意味不明な単語を叫ぶキョウを電話越しでタマミは絶句していた。
それに構わずキョウは話を進める。
>「「タマミ、お願いがあるんだ。タマミの槍で風を起こしてくれ。出来るだけ遠くからが良い。敵に見つからないように。出来るか?」」
<「「え?今、外どうなってるの?地下にいるから分かんないよ」」
あたふたするタマミにキョウは指示を出した。
No.14を読んでいただきありがとうございました。
次はNo.15「神風」をお送りします。




