表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/59

No.11 言い訳

シャトランス・地下4階


自分でも自覚してないのだろう。

母は目を見開き、私に訴えかけてくる。

しかも、涙を流しながらだ。


「どうして?どうしてそんな事を言うの?だって事実じゃない、私は殺されたのよ?カンナが一番良く分かってるでしょう?」


「…そうだね」


母の言葉を肯定しながらも、呆れるしかなかった。

その証拠に溜息を吐く程だった。

これではどちらが親か分からないが、私は母を(とが)めた。


「あのさ、昔、自分がされて嫌な事は他人にしちゃいけないって学校で教わらなかった?シュン君から聞いたよ。メイさんを殺そうとしたんだって?何でそんな事をしたの?」


母は首を傾げ、目線を斜め上に向ける。

当時の事を思い出しているのだろう。


「私もビックリしたのよ?アダムと夜に散歩していたら、銃声が聞こえたんですもの。そっちに向かったら2人が撃ち合いをしていて…シュン君が知らない女の子に傷付けられてたから、彼が危ないと思って殺そうとしたの。だって、殺されるのは怖いでしょ?見ず知らずの人間を救おうとは思わないもの。カンナだってそうでしょ?」


ここまで聞けばまだまともな方だろう。


「じゃあ、何でシュン君にメイさんを殺させたの?それが一番可笑しいんだよ。シュン君を守りたいなら何で人殺しをさせたの?自分が手を汚す事だって出来たはずだよね?」


『おい、バカンナ。それ以上言うのはヤメろ』


八咫烏さんに口留され、後方を見るとシュン君が扉の隙間から銃口を向けている。

発言次第では撃つという事だろう。


しかし、そこからまた異変が起こった。

母が更にボロボロを涙を流したのだ。

子供の様に責められてた事で追い詰められたのかもしれない。


「分かってる。分かってるのよ。自分でも悪い事をしたのは分かってるから。私は生きてちゃいけない人間だったのよ!後少しで死ぬから!死ぬからもう許してよ!」


その言葉を聞いた時、この人は最低な人間だと確定した。

どれだけ罪を犯しても、どれだけ他人の人生をめちゃくちゃにしようと自分1人の命で償おうとする。


自分の命を軽くしか見ていないのだろう。

母らしい答えだ、コレが二つ目の命なのだから。

反省の心など微塵も感じない。ありえない。


その時だった、

「パァン!!」


ショットガンが母の右足を貫通し崩れ落ちた。


「シュン君!!ヤメテ!!」


私の怒号を尻目に倒れた母は笑みを浮かべていた。

No.11を読んでいただきありがとうございました。

次はNo.12「決別」をお送りします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ