21.発明家
マリアとマリーはいくら呼び掛けても出てこない勇者をとても心配していた。
マリーが扉付近で待機して、マリアがエルフたちに助けを求めにいくことにした。
マリアはエルフの家を何件も訪問したが、扉を物理的に破壊するのに協力してくれるものはいなかった。
「勇者様はお休みになられたいだけですよ」
「眠りを邪魔しちゃいけないよ」
「エルフの里のベットは上ものだから気に入ったんだよ」
などといいやんわりとお断りされ続けたのだった。
ジョアンが里のものたち流した勇者を怒らせてはいけないという注意を守っていたのだった。
しかし勇者が人よりも優れた聴覚で影口をきいてしまったとは、誰も想像すらしていなかった。
エルフの中には泣きそうな顔でお願いしてくるマリアをみて良心が痛むものもいたが、閉鎖的なエルフの里で決まりを破るなんてことはできなかった。
里の居住区画から離れたとこにある最後の1軒にマリアは訪問した。
マリアには理解できない機械や乗り物らしきものが敷地内にあった。
「どなたかいませんか~」
家の中から轟音が聞こえたと思ったら、煙がでてきた。
扉が突然開くと、中から小汚い何かが出てきた。
「あんた、うちの家になんかようなの?」
小汚いが女らしい声をだす汚物が話しかけてきた。
「勇者様が心配なので、扉を開けて助けて欲しいんです」
小汚い女がマリアに近づいて、上から下まで観察している。
「あ、あんた人間なわけね。勇者がこの里に来ているって本当なの?」
「そうです」
小汚い女は何か閃いたみたいで、
煙がなくなった汚部屋に戻り、でかい筒を持ち出してきた。
「さっそく案内して」
汚れた手で握手を求めてきたのだった。
マリアは握手したが、手には油なのかなんだか分からない得たいのしれない汚れがべっとりとついてしまったのだった。マリアは顔に嫌悪感がでていたが、その小汚い女は筒に顔をすりすりしながらマリアの表情には一切気にしていなかった。重機の荷台にその筒を載せて勇者の元に向かったのだった。
マリアが扉に案内すると、扉を破壊するといって、マリアとマリーを家の外にだしたのだった。
マリアがでて3分すると、爆音とともに来客用の家は勇者の寝てるであろう部屋の部分が吹き飛んでしまった。
勇者は突然の衝撃と爆音で目覚めた。
「くそ、これが予言の魔王軍の襲撃か」
勇者は吹き飛ばされて、受け身を取ろうとするが、4本の腕は動かずに足も本調子ではない。
受け身を取れずに地面に叩きつけれた。
「もうどうにもならんしこれで俺も終わりだな」
異臭を放つ汚物が勇者に近づいてくる
「俺の負けだ。すきにしろ」
その汚物は、飛び跳ねて勇者の顔にすりすりしてきたのだった。
人間よりも優れた嗅覚の勇者にとってはまさに拷問そのものだった。
「勇者様、好きにしていいんですね。私の実験につきあってください」
勇者はこの汚物が何を言っているのか理解が追いつかない。
爆音で集まった他のエルフたちはその光景をみて青ざめていた。
勇者を怒らせるなというおっ達しが里の厄介者にされていたエミが破ったからだ。
「誰かエミに連絡したやついるのかよ」
「エミは無視する決まりでしょ?」
エルフ一同、エミにいつもどおり何も里の情報を連絡していないことに気づいたが後の祭りだった。
エミは重機らしきものを使って勇者を乱暴に荷台に積んで、運ぶのであった。
エミはマリアはマリーについてこいとジェスチャーをした。