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殺し屋少女の青春  作者: ミント
7/10

終わる初恋?

     7、生きるか死ぬか

状況を、呑み込めない。

衝撃的な経験をした人がよく言う言葉。

今、私はとんでもない状況下にある。

修騎が──私の初恋相手が殺された。

殺し屋の兄さん、瑠衣に。

私が用意した殺人道具をつかって。

瑠衣は苦しそうな顔をして、私を見ていた。きっと、自分の意思で殺したわけじゃないだろう。

組織の上の人に、命令されたとか、そんなことだと思う。

状況が呑み込めないわけがない。呑み込めないのは、現実。

修騎がこの世からいなくなったという


現実だ。

──────────────

若菜に何て言えば良い?

正直に話しても、この状況だと言い訳にしか聞こえないだろうな。

ここにいると、いつか修騎の親たちが帰ってきてしまう。俺と修騎の有り様を見て、発狂して怒り狂い、秒で警察行きだ。


………………………………警察、か。


俺はジーンズのポケットからスマホを取りだし、電話番号を入力し始めた。


だが、「1」と打ったところで、俺の手からスマホがふっ飛んだ。


驚いて顔をあげると、すぐ目の前に俺を睨みつけている若菜がいた。

それは多分、今まで1度も見なかった、若菜が本気で怒っている顔。

「──ごめん……ほんとにごめん……でもこれは命令なんだ。幹部からの」

結局、正直に話した。若菜にしたら、言い訳でしかないのに。でも、若菜は、俺から離れなかった。声をあげるわけでもなく、ただ、静かに言った。

「知ってる。こんなこと瑠衣がしたいわけないし。私が恋愛に夢中になって仕事に支障が出ないようにとかそんなことでしょ」

若菜は俺のことを俺が思ってるより分かっていた。若菜が天才的な推理ができるからではなく、それが『信頼』だと分かると、こんな時に嬉しくなってしまった。すると若菜は俺の胸に顔をうずめた。肩が小刻みに震えてる。

──泣いてる?

「いつかは……こうなると、思ってた」


驚くほど悲しい声だった。


途端に、俺の目からもたくさんの涙が出てきた。

若菜は顔を上げて、強い意思のこもった口調で、声をふりしぼって言った。

「修騎がいなくなったのは寂しいし、悔しい。でも、自首なんてしないで。───これ以上、いなくならないで!」

涙で溢れた目と言葉は一瞬、俺も知らない若菜の過去を映し出した。

俺が見つけたときはボロボロで、弱っていた。なにか、深刻な過去があったと思う。それでもここまで人を殺したり好きになったり、精一杯生きてきたんだ。

それに比べ、ほんとに俺は、情けない。ちょっとした興味でこの組織に入り、酒を飲んで若菜を困らせて、初恋相手を命令だからといって殺して。

だから、せめて慰めて、守ってあげたい。

謝りながら若菜をずっと抱きしめていた。


なんでこんな悲しい結末を迎えないといけないんだろう。

そう考えたとき、頭に浮かんだのは、この、自分が憧れて入った、若菜を連れて行った、殺人鬼達が集まった巨大組織だった。

──────────────

腹を刺されて、死んだ。

二人ともそう思ってる。

若菜、俺のことを思ってくれてたんだな。俺が話しかけてもそっけないから、脈なしかと思ってたけど、嬉しい。

でも、好きになってしまったらもうおしまい。何故なら俺も若菜が好きだから。

傷口が塞がっていく。最後の任務だ。

二人が帰る前に連れていかないと。

若菜に、生きるか死ぬかをはっきりしてもらおう。

二人のもとへゆっくり歩いていった。



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